秀樹杉松

祖父と孫、禾と木、松と杉

葉室麟

葉室麟『大獄 西郷青嵐賦』を読む。維新前夜の西郷吉之助(隆盛)、いま必読の歴史小説。

葉室 麟『大獄 西郷青嵐賦』(文藝春秋 2017) 名作を次々に発表した葉室麟(1951-2017)は、昨年暮れの2017年12月23日に逝去されました。訃報に接した私は、直後から今日まで図書館から貸し出して既に35冊以上を読み、幾つかについてはこの『秀樹杉松』で取…

葉室 麟『この君なくば』を読む。ーこの君なくば一日もあらじ。懸命に生きる男女の清冽な想い。勤皇佐幕で揺れ動く幕末が舞台。

葉室 麟『この君なくば』(朝日新聞出版、2012) 私は特定の作家の作品を集中的に読むことが多い。その際はできるだけ、発行年順に読むようにしている。最初から全冊読むつもりなら機械的になるが、面白そうなものを選ぶとなれば、やはり書名が気になる。『…

葉室 麟『あおなり道場始末』を読む。仲良し3きょうだいが主人公。運命のいたずら、思いがけない展開と興奮、壮烈な派閥争い。息つまる波乱万丈の、推理時代小説!

葉室 麟『あおなり道場始末』(双葉社、2016) 葉室小説の出だし(序章)がいつも絶妙である。特に主人公などの登場人物の描写が優れており、わかりやすい。最後まで読み切ってから念のため冒頭に戻ってみると、なるほど全てはここから出発している、と思い…

葉室 麟『草雲雀』を読む。~ブログ『秀樹杉松』投稿200号記念に、名作をお届けします。

葉室 麟『草雲雀』(実業之日本社、2015) 「草雲雀(くさひばり)」という美しい書名にひかれて読もうとした。やっと「利用中」が解けて、図書館から借りだして読むことができた。 主人公は幼馴染の清吾と伊八郎。そして、伊八郎の父・清吾の妻。藩首脳の派閥…

葉室 麟『はだれ雪』を読む。「忠臣蔵を独自の視点で切り取った勇気と希望の物語」(www.bookbang.jp)。いつものセリフで恐縮ですが「感動しました」。

葉室麟『はだれ雪』(角川書店、2015) 葉室麟作品を30冊も読んだ私ですが、書名だけでは主題や内容はわかりません。この際だから正直白状しますが、魅力的な書名の『花や散るらん』を読もうかと思ってネットで調べたら、赤穂浪士事件がテーマだとわかり、…

葉室 麟『潮騒はるか』を読む。亡くなる年の作品。シーボルトの娘「いね」も登場。

葉室麟『潮騒はるか』(幻冬舎、2017) 前号の葉室麟『星火瞬く』に続いて、『潮騒はるか』を取り上げます。前回の主人公アレクサンダー・シーボルトは、シーボルト事件で日本を追われたシーボルトの息子でしたが、今回登場の「いね」はその姉(腹違い)です…

葉室麟『星火瞬く』を読む。幕末を舞台とした「革命家」たちの登場。シーボルト父子、バクーニン、清河八郎、小栗忠順、勝麟太郎、高杉晋作。~葉室麟、異色の歴史小説。

葉室麟『星火瞬く』(講談社、2011) これまで読んできた葉室麟の「時代小説」の感動とはやや異なるが、幕末の日本を舞台とした国際色豊かな「歴史小説」として、面白く為になった。小説の「わたくし」役はシーボルトの息子で、語り手でもある。その意味では…

葉室麟『霖雨』を読む。広瀬淡窓と私塾「咸宜園」。漢詩「休道他郷多苦辛…」

私の注目点の一つは、葉室麟の小説の書名。「風」と「花」のワードが多い。 → 風渡る、風の王国、風花帖、風かおる、風の軍師黒田官兵衛、 花や散るらん、柚子の花咲く、橘花抄、無双の花、辛夷の花 今回読んだ『霖雨』(りんう)の書名も珍しい。霖雨は長く降…

<桃栗三年、柿八年。柚子は九年で花が咲く> ~葉室麟『柚子の花咲く』を読む〜「われらは先生が丹精こめて育ててくださった柚子の花でございます」

葉室麟『柚子の花咲く』(ゆずのはなさく。朝日文庫版,2013)を読みました。柚子は九年で花が咲く。葉室麟の小説には珍しく、殺人事件の発生から始まる推理小説でもある。巻末の江上剛氏の「解説」を引用します。「主人公の筒井恭平のまっすぐな生き方が魅力で…

『山月庵茶会記』(葉室麟著)を読みました。~牀前月光を看る(李白) / 少年老い易く学成り難し(池塘春草の夢) / 色よりも香こそあはれ(古今集) / 百花春至為誰開(碧眼録) / 空蝉の世にも似たるか花桜(古今集) / 巨勢山のつらつら椿(万葉集) / 照りもせず曇りもはてぬ春の世の朧月夜(源氏物語)、、、

葉室麟の小説の書名は、私には抽象的・簡潔・華麗に思われますが、今回の書名『山月庵茶会記』(講談社,2015)は、具体的で字数も6字。葉室作品のもう一つの特徴は、小説の中に和歌や漢詩などの挿入が多いことでしょう。小説のストーリーの面白さだけでなく、…

葉室麟『峠しぐれ』 『春雷』『秋霜』を読む。「革命」をもって「王道」をまもる ~『孟子』の<湯武放伐>。経世済民、惻隠の情、忍びざるの心……。

葉室麟の『峠しぐれ』『春雷』『秋霜』 の3冊を読みました。これで計14冊を読んだことになります。今回の3冊も名作で、感動しました。『蜩之記』『潮鳴り』『春雷』『秋霜』の4冊は、豊後・羽根藩を舞台とする「羽根藩シリーズ」と呼ぶそうです。小説の内…

葉室麟『蛍草』を読む。 月草の仮なる命にある人をいかに知りてか後も逢はむと言ふ(万葉集)

葉室麟『蛍草』(2012双葉社)を読みました。その美しい書名:蛍草(ほたるぐさ)に惹かれて。魅力的なのはきれいな書名だけではない、小説の内容も素晴らしい。風早家の女中「奈々」が主人公で、奥方「佐知」、嫡男「正助」、娘「とよ」、当主の「風早市之進」…

葉室麟『おもかげ橋』を読む。高田村、姿見橋=俤の橋=面影橋、於戸姫、南蔵院、氷川神社、太田道灌、山吹の里、高田馬場、堀部安兵衛の仇討ち、赤穂義士、穴八幡宮、流鏑馬

葉室麟『おもかげ橋』を読んだ。葉室氏の作品の特徴の一つが「美しい書名」にあることは以前にも書いた。『蜩ノ記』『さわらびの譜』『辛夷の花』『風のかたみ』『柚子の花咲く」『蛍草』『峠しぐれ』『橘花抄』『恋しぐれ』『風渡る』『陽炎の門』『霖雨』…

葉室麟『さわらびの譜』『辛夷の花』『風のかたみ』を読む

葉室麟氏は昨年12月23日に逝去された。悲報を知った直後から葉室氏の作品を読み始め、これまで乾山晩愁・いのちなりけり・秋月記・蜩ノ記・散り椿 の5冊を読み、さらに今回、さわらびの譜・辛夷の花・風のかたみ という美しい書名の最近作3冊を読みました…

葉室麟『散り椿』は名作ですね。映画化され、9月公開。岡田准一・西島秀俊の共演で!

前々号で葉室麟『蜩ノ記』の感動を書きました。さすがは直木賞受賞作品でした。今回取り上げる葉室麟『散り椿』は『蜩ノ記』の翌年に書かれたものですが、私はまたまた「感動しました」。どちらも甲乙つけがたい卓越した作品ですが、わたし的には『散り椿』…

葉室麟『蜩ノ記』(ひぐらしのき) を読んで感動しました!

本ブログ『秀樹杉松』2521,2522号 (17年12月) で、葉室麟『銀漢の賦』(松本清張賞)を取り上げ、その後『いのちなりけり』(直木賞候補)と『蜩ノ記』(直木賞受賞)を読みました。今回は、葉室氏が5度目でついに直木賞を受賞した『蜩ノ記』を取り上げます。私は…

葉室麟氏の逝去を悼み、作品を読む

遅ればせながら読んで、感動しています。 / Atelier秀樹 ◉葉室麟氏の訃報に接しました。1951年生まれなのでまだまだお若い。ご冥福をお祈りします。実は私は人並みに本は読んでいるつもりですが、恥ずかしながら、葉室氏の作品を1冊も読んでいませんでした…