秀樹杉松

祖父と孫、禾と木、松と杉

呑川(1)

           親川記:東京の川歩き

       28)呑川(1)

                     歩いた日 2013年6月15日     / Atelier秀樹

 

 地図を開くと、世田谷区内を流れる川(緑地緑道を含む)がけっこう目につく。多摩川、 野川、 仙川、丸子川、呑川、谷沢川、谷戸川、烏山川、北沢川、蛇崩川、・・・列挙すると十指に迫るほどだ。このうち多摩川(138km)は多摩川水系の本流で別格中の別格、そして野川(多摩川支流20.5km)と仙川(野川支流20.9km)は20kmに及ぶ一級河川である。以上の3河川は当面の川歩きの対象とはしない。そこで残るは6河川だが、烏山川・蛇崩川は既に歩き済みで、北沢川は以前ウオーキングで歩いたことがある。従って、呑川・丸子川・谷沢川・谷戸川の四つが当面歩く予定の河川となる。

 

 6月15日(土)、第一弾として呑川(初日)を歩いてきた。孫の授業参観(一校時)に顔を出してから出発、帰ってきて直ぐ17時からシルバー就業、という強行軍ではあった。「吞川(のみかわ)」という川名がおもしろい。ネットで見ると、由来としては---飲めるほど水流が清らかであったから、氾濫で多くの村を呑み込んだから、牛が誤って川に落ちて水を飲んでしまうことがあったから---などが出てくる。ドンカワとも読みたくなる。田園都市線の「桜新町」辺りを水源として、世田谷・目黒・大田の三区を流れて東京湾に注ぐ、全長14.4kmの二級河川。もともとは地元の人達は「大川」とか「石川」と呼び親しんでいた。

 

 

 上流の世田谷区深沢7・8丁目は水面残した親水公園、同1~5丁目は暗渠化された緑道となっている。目黒区内で右折(南下)して大田区に入り、間もなく南東に向きを変える。下流大田区東蒲田で左に曲がって北東に進み、一度蛇行して昭和島手前の海老取川(京浜運河)へゴールする。洪水や氾濫を防ぐため、東蒲田から(左折せずに)直進する川を開削して繋げた。これが「新吞川」。元の本流は昭和30年から埋め立て、50年に今の形となり、「旧呑川緑道」と名付けた。このように、「呑川」は東蒲中学校付近で「呑川」(直進)と「旧呑川(緑道)」(左折)とに二分されている。

 

 大田区内を流れる呑川の水は、平常時は落合下水処理場で高度処理された水であり、世田谷区・目黒区を流れている呑川の水ではない。(落合処理場の水は、渋谷川・北沢川・呑川の三川のみに使われる由)。一時間あたり500mmの降雨ならこの平常時態勢だが、それを超過する氾濫時対策として、大田区内の中原街道と交差する場所に「中原幹線」(地下河川)をつくり、大雨時にはバイパスができる仕組みになっているそうである。

 呑川には三つの支流(駒沢・柿の木坂・九品仏)があったが、今は緑道や普通の道路になっている。

 

   さていよいよ今日の呑川の初日歩きに入るが、出がけに、我が家自慢の紫陽花が満開なので10数枚撮影。そのあと孫・樹の授業参観にも顔を出したので、学校周辺の写真も含め、本日は全部で153枚の写真を撮った。下調べで呑川の水源・桜新町サザエさん通」長谷川町子美術館があるのを知ったので、田園都市線桜新町を下車して直ぐ其処へ足を運ぶ。サザエさん一色の街だ。撮りもとったり、帰宅後写真を数えたら何と24枚。この際下手な描写するのは止して、まさに真実が写っている写真に譲る。

 <長谷川町子美術館

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 桜新町の駅前に戻り、改めて呑川歩きのスタートに入る。玉川通(高速道路渋谷線)の約500メートルは、埋め立てられた緑道だが、普通の歩道と変わらない。玉川通を渡ると、此処から親水公園の始まり。先ずはワンちゃんのモニュメント。どこでも見かける亀の日向ぼっこ。もちろんアップでばっちり。親水といっても植物がいっぱいで、水流は見えないほど。

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 半夏生

 紫陽花は予想していたが、見かけない白い花は何だろう?進むにつれて白花が目に付く。そうだ!変わった名前の半夏生(はんげしょう)だ。白いのは花ではなく、部分的に白く“半化粧”した葉っぱな筈だ。わざわざ半夏生を見に遠くへ出かける話も聞くし、夏至を過ぎたころ新聞記事になることもある。川に群生繁茂している姿を目撃できたとは何たる幸運!

 これだけで今日の川歩きは大成功。帰宅して早速ネットで調べた。⇨「半夏生ドクダミ科の多年性落葉草本植物。夏至を過ぎた頃5~15cmほどの穂状花序を葉の付け根につける。花の直ぐ下に位置する葉の表面が白く変化し花弁の役割を果たす。開花期にはドクダミに似た独特の匂いを出す。」

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 なお、「はんげしょう」の名前の由来は、1)半夏生(はんげしょう)の頃に花を咲かせるから、2)葉の一部を残して白く変化する様子が “半化粧”(はんげしょう)に見えるから、の二説がある。しかし異説というよりは、両々相俟って並び立つ説とみなしてよい。

 

 当然、半夏生が咲く頃の雑節「半夏生」を調べた。二十四節気(半月単位)をさらに三つに細分した七十二候(約5日単位)の一つが半夏生。ちなみに、二十四節気の「夏至」は初候・次候・末候の三つに分けられ、初候が乃東枯(夏草枯れる)、次候が菖蒲華(あやめ咲く)、末候が半夏生(ハンゲ生ず:生える)夏至の末候:半夏生の説明「ハンゲ生ず:生える」にいうハンゲ(半夏)は「烏柄杓(からすびしゃく)」の別名であり、「半夏生」とは異なる。ハンゲとハンゲショウ、実にややこしい。時候の名称「半夏生」は“ハンゲ生ず”だからハンゲ(烏柄杓:サトイモ科)からと覚え、葉を白く“半化粧”する薬草は「半夏生」(片白草:ドクダミ科)と覚える以外にない。両方とも半夏生の頃の植物だが、ハンゲ(からすびしゃく)とハンゲショウ(かたしろくさ)は全くの別物。

 

 今日お目にかかったのは、後者の半夏生(片白草)。半夏生夏至から数えて11日目(今は太陽が黄経100度を通過する日)の7月2日が多い。農家にとり大事な節目の日。農作業は半夏生までに終え、五日間は仕事を休む風習もあるそうだ。1年365日を72等分すると端数が5日できるので、この5日間を休みに充てるというのを読んだ記憶がある。なお、この頃に降る雨を「半夏雨」(はんげあめ。地方によっては「半夏水」(ハンゲミズ)、大雨になることが多いそうだ。そういえば今年も、その頃西日本に大雨が降った。

  以上記したような素晴らしい出会い、ハップニングがあり、それを調べて確認し、こうして書き留めるのも、この川歩き(川歩記)の重要な要素である。だからこそ、猛暑の日中を杖をつき、カメラぶら下げ、写真撮りながら、地図帳片手に、フラフラ歩き回るのは楽しいのだ。

  最初の橋「稲荷橋」。深沢中。西山橋。御嶽橋。深沢高。半夏生が一杯。花が満開のように見える。アップ撮影も。伊勢橋。三島橋。日体大。駒沢通。華屋与兵衛で昼食。鴨の親子連れをパチリ。珍しくよく撮れていた。

  呑川橋。此処から緑道。「呑川緑道周辺案内図」掲示板。深沢神社。宮前橋。大 橋。深沢橋。中村橋。深沢中。八幡橋。新橋。下山橋。東深沢小。中野橋。原橋。神明橋。桜橋。境橋。紫陽花、モニュメント。

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   柳橋。緑道のど真ん中に大きな桜の木がいっぱい。ゆりの花。「目黒区みどりの散歩道:呑川・柿の木坂コース」の掲示。今歩いているのは「呑川本流緑道」というようで、支流緑道と区別している。道標の進行方向の矢印「都立大学駅」が掲出されているので、東横線も近い。八雲小、開校百年記念樹(サクラ6本)。八雲橋自転車置場。都議選ポスター。目黒通。中根橋自転車置場。駅周辺の緑道は、実態は「自転車置場道」。都立大学駅

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(注:「川歩き」に忙しく「川歩記」の執筆にどうしても時間がかかるので、6月15日分を五日後の今日20日に書き終えた。呑川歩記はあと2回分残っている。幸い写真に収めてあり、少々遅れても何とか文章は書ける。デジカメって重宝なものですね。

                                        (秀樹杉松 85巻/2437号) 2017.10.1