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「日本プロ野球界に革命を!」~広岡達朗『広岡イズム』を読む

広岡さんを 巨人監督 &「副コミッショナー」にしたかったですね

                            /  Atelier秀樹

 私の好きな監督は、三原脩広岡達朗落合博満栗山英樹の4氏です。その広岡達郎氏が『広岡イズム』という本をつい先日出しました(ワニブックスPLUS新書)。サブタイトルは「“名将”の考え方、育て方、生き方に学ぶ」。もちろん早速買って読みました。私の下手な感想よりも、先ずは本書の表紙カバーに記された文章を紹介します。
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 ヤクルトと西武の監督で日本シリーズに優勝、セ・パ両リーグで日本一を達成した“名将”広岡達朗が、85歳になった今、野球人生を通じて会得した思想と体験を一般の読者に伝えるために書き記した、後世への“遺言”ともいうべき書が本書である。

「指導には信念を込めろ」「How to do(こうやれ)を教えろ」「理論は超越しなければならない」ほか、47の“広岡イズム”を凝縮。スポーツ関係者にとどまらず、すべての指導者、教育者、管理職、経営者必読の一冊!

 

 ◉上記の出版PR文まさにその通りであり、私ごときが付け加えることはありませんが、冒頭の<まえがき>にはびっくりしました。そしてすごい共鳴を覚えた。さすがは広岡さんですね! 

<まえがき>

 この国をよくしていきたい。危機的な状況にあるこの国をどうにかしたい。大人としての責任感と誇りを持った人ならば、今、誰もが感じていることでしょう。「こうあって欲しい」と願う国の姿は確かに見えているのに、国のあり方はどんどんと違う方向に流れていってしまう。なぜなのでしょうか。「国の舵取りをするのは政治家の仕事」と、気楽に構えていられない状況にあることは、最近のドタバタ政治劇を見れば明らかです。政治家の責任感を持ち、自分を律して国を正しく導こうとする、厳格さを感じさせる政治家はいなくなりました。……

<本書の構成>

第1章:天命を生きるのか、宿命で終わるのか。第2章:指導者がすべきこと。第3章:「人を育てる」とは。第4章:「組織を育てる」とは。第5章:日本人が目指すべき姿。第6章:人生で本当に大事なこと

コラム ▼ 日本プロ野球界に革命を! ▼ 王貞治一本足打法はこうして誕生した。 

コラム▼ 日本プロ野球界に革命を!>

 日本のプロ野球に革命を起こす。これは、私が監督時代から長く取り組み続けてきたことです。新しいチャレンジを行い、言葉も発してきました。しかし、一人の力ではなかなか実践できないことばかりです。野球に育ててもらった選手は、一人一人がその恩返しとして、球界の改革に働くことです。そうすれば、日本の野球はメジャーに負けないほど、面白いものへと成長するはずです。 

 その第一歩として、強豪チームで采配を振るった監督は、次に弱小チームの監督になりなさい。巨人のように、大金を使って即戦力の選手を集められるチームが勝つのは当たり前。勝てないほうがおかしいのです。

その先頭に、原辰徳に立って欲しい。……

<絶頂期に惜しまれるなかで去れ>(第4章「組織を育てる」とは)

 私は、50歳で西武の監督になったとき、これが監督として1球団を日本一に導く最後のチャンスと考えていました。身体を張って教えられるのは50代までと思うからです。

 だからこそ、選手たちへは、彼らの引退後も見据えた教育を行いました。野球界に残る者もいれば、別の世界で第二の人生を始める者もいます。いずれも、年齢的に人の上に立つことになるでしょう。現役時代に必死になった経験と、そのときの指導者から受けた教育が、引退後の人生の糧となっていきます。

 また、後進を育てるのも、監督の重要な役目です。私が指導した選手で監督になった者は、田淵幸一工藤公康伊東勤若松勉石毛宏典など大勢います。指導者になってからは、あのときの経験が生かされていると、多くが語ってくれています。

<あとがき>

……どんなに正しいチャレンジをするときにも、半分は賛成してくれるけれども、半分は反対するでしょう。半分はあなたの敵になる、ということです。その敵のうちの一割でも味方にできたら上出来。これも人間界の真理のようなものです。その心構えさえできていれば、いざ事を起こすのが怖くはなくなります。

 私も監督時代、管理野球」「海軍式野球」と随分批判されました。それまでの日本野球にないものを、次々と導入したからです。選手の半分からは文句を言われ、そっぽを向かれました。しかし、半分の者は付いてきてくれ、今、野球界を背負い、また人を育てる立場にある。そうやって、自分が行ってきた教育は、次世代へと受け継がれていくのだと思います。

 人は必ず育ちます。また、これからの時代を担う子供達のためにも、日本をより良い国に導くためにも、信念を持って人を育てていかなければならないのです。

      2017年 9月                広 岡 達 朗

 

                                              (秀樹杉松 87巻/2471号)2017.10.31      #111