秀樹杉松

祖父と孫、禾と木、松と杉

内田康夫さんの訃報に接し、驚きと悲しみでいっぱいです。『孤道』続編 刊行を見られずに、無念だったでしょう。心から哀悼の誠を捧げます。

 今朝の朝刊の1面に、内閣支持率の急落が報道されている。やっと国民も「殿の乱心」に気がついてきたんだな、と感じつつ社会面を開いたら、次のような記事が出ているのに驚いた。

 

  内田康夫さん死去

  83歳 作家、浅見光彦シリーズ

 記事によると、13日、敗血症のため東京都内で亡くなられたとある。葬儀は近親者で営まれたそうです。私は内田康夫ファンで、小説は全冊読みました。6日前の3月13日に「坂めぐり(第33回、北区西ヶ原)で、「大炊介坂」の側の「平塚亭」へ立ち寄って団子を食べ、店内に掲示されていた内田さんの写真とサインをカメラに収めてきました。この日、3月13日の坂巡りは、本誌「秀樹杉松」92巻2566号として同日付の本ブログに投稿したばかりです。

 「浅見光彦」は西ケ原に住み、団子屋に足繁く通っていたことになっていますが、もちろん内田康夫さん自身のことでしょう。これをお読みくださっているあなたは既にお気づきかもしれませんが、私が坂めぐりで西ヶ丘に行って団子屋に立ち寄ったのその日(3月13日)に、内田さんが死去されたのです。

 内田さんへの哀悼の気持ちを込めて、その部分を再録します。お読みください。 

 ◉本誌「坂めぐり 第38回」(18-3-13) からの抜粋

 平塚亭(内田康夫/浅見光彦

 内田康夫の小説によく出てくる。あの、浅見光彦シリーズの主人公「浅見光彦」は近くに住んでいる。

 内田康夫氏の旧居がこの近くだったようです。私は内田康夫氏と「浅見光彦」が大好きです。

 病気のために休筆した『孤道』は、他の人による完結ということになっているが、出版は未だでしょうか?平塚亭には「第16回北区内田康夫ミステリー文学賞」の授賞式は3月17日、のポスターが貼ってありました。 

   平塚亭には、内田康夫のサインと、浅見光彦一家の写真が掲げてありました。浅見光彦がよく食するという団子を、私も昼食がわりにいっぱいいただきました。

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◉本誌「内田康夫の小説」(2017-08-14) からの抜粋

 このブログは『Atelier秀樹ノート』(『秀樹杉松』の前身:2015-09-01)の再録です。

 前半は省略し、後半部分を再録掲載します。 

内田康夫の小説>

 内田康夫の小説は、全部で150冊を超える。それを全部読んでしまったのだから、自分でも驚いている。内田小説については、『Atelier秀樹ノート』で70回にわたって取り上げた。その中から、四つ引用します。→

 何故これほど、内田康夫の小説を取り上げたのか

 「内田康夫の小説」シリーズは、合計70号に達した。何故かくも熱心に集中して「内田康夫の小説」をノートしたのか、自問自答してみたい。

 内田康夫の小説は「気軽に読めて面白く為になる」。これが全てである。いわゆる“エロ”“グロ”が無く、「旅+歴史+事件」である。事件と言っても、筆者(Atelier秀樹)には添え物にしか見えない。「事件」を借りて実は「人間と社会」を描いている。究極的には「自然と人間」を謳歌したロマン小説、だと筆者は認定して惚れ込んでいる。嘗て読みまくった松本清張以来かな?

 70号にわたって取り上げたが、小説そのものの作品論、読書感想などはとても手に負えないので、ほとんどは巻末の「解説」などのメモに終始した。内田小説の大きな特徴は、作者自身による「自作解説」にある。初期の頃は奥さん(女流作家)の手になる解説もあった。もちろん、文芸評論家や他の作家による解説もあるが、何と言っても圧巻は内田自身の「自作解説」である。

 自作解説には、その作品の背景・ネライ・取材状況などだけでなく、作者自身の近況・心境も縦横に綴られている。小説の舞台となった各地方の地理・歴史をふんだんに使い、旅行の楽しさを謳いあげている。まさに、面白くて為になる。何回も書いたように、旅行しない(できない?)筆者(私)は、内田の小説を読みながら地図帳を広げて、旅行した気分に浸っている。行ったことのない地方の風景・風俗・伝説などは新鮮で、筆者の頭と心にストレートに入ってくる。

 名探偵・名刑事による推理小説が主流だが、「浅見光彦」というルポライターが主人公になっているのも大きな特徴である。まさにフリーな「居候」の素人探偵が、地元警察、事件の関係者と一緒に事件解決に当たる。素敵な女性との出逢い、共同行動も魅力的だ。浅見は女性に優しいのか、女性は苦手なのか、どっちにせよ、女性の心を捉えるようだ。兄が警察庁刑事局長との設定は異色で楽しい。厳しい母親、浅見に妙に気を遣う?お手伝いさんの存在も面白い。

         (Atelier秀樹ノート第24巻 No.1189 /2015.9.1)

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                      『秀樹杉松』92巻2573号  18-3-19   #blog<hideki-sansho>213       

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