週2回ばかり早朝パート(シルバー人材センター就業)をしています。やっている仕事は別ですが、そこで元気良く働いている人がおられます。その方から教わり、昨日の午後下北沢の本多劇場へ行き、劇団青年座の第232回公演「安楽病棟」を観劇してきました。 / Atelier秀樹
教えてくれたのは青年座俳優の永幡洋(ながはたひろし)さんです。当日は「下野」役で堂々とした演技を見せてくれました。青年座の名前は聞いたことがありますが、公演を観たのは初めてです。永幡さんから頂いた公演のチラシには、こうあります。
→「帚木蓬生氏の長編小説を劇団温泉ドラゴンのシライケイタ氏が劇化 磯村純演出のもと青年座老若男女21人の俳優たちが立つ」
→「産まれる」ということ 「生きている」ということ そして「死んでいく」ということ
以上の紹介で、この芝居がどういう内容かお分かりでしょう。原作書名=演題の通り、安楽死の問題を正面から取り上げた内容です。しかも俳優さんたちの演技がとても素晴らしかったです。何十年ぶりかの観劇ということもあり、テーマが人生そのものでもあり、本多劇場に足を運んだ甲斐がありました。教えてくれた永幡氏に感謝します。それと、劇団員であるとは聞いてましたが、あんな名演技をする(しかも1971年入団)とは知りませんでした。
実はアフタートークにも参加し、シライケイタ氏(脚本)、磯村純氏(演出)らのお話を聴いたのはたいへん有益でした。会場受付で求めたテキスト(正式にはなんというんでしょうか)の、「青年座のこと 安楽死のこと」(シライケイタ)、「上演にあたって」(磯村純)も精読しました。両氏のアフタートークを聴き、そしてこの文章を読み、そして何よりも青年座俳優諸氏の名演を観劇して、この「安楽病棟」を私なりに理解できました。驚いたことに、永幡洋さんはシライケイタ氏のご両親の同級生とか。
演技者全員の好演に感心しましたが、石母田史朗さんの香月医師と小暮智美さんの城野看護師は、迫力ある演技で、テーマがテーマだけに名演を堪能しました。最終場面での看護師の“医師糾弾”「許せない」のセリフで、何人かの「安楽死」がわかりました。しかし詳細は、公演後に読んだ朝日新聞記者:太田啓之氏の「認知症と安楽死~医師の果たすべき役割とは」で知りました。土壇場のミステリーに関わるからなのでしょうか、劇の途中展開ではそれらしきことは知らされず、ただ「急死する患者がバカに多いんだな」と思っていました。ともかく、太田記者の文章はすごくいい内容で勉強になりました。
さて、これ以上の芝居の内容紹介は控えますが、このブログをお読みくださった方に、あと3日(7月1日まで)残されている観劇をお奨めいたします。それだけの内容です。一人でも多くの方に見ていただき、考えていただければ、と願うからです。
どうぞ下北沢本多劇場へお運びください。
最後になりますが、私は昨日下北沢へ行く前に近くの図書館に寄って、箒木蓬生『安楽病棟』を借り出しました。現職は精神科医師なそうですが、多くの小説を執筆し、数々の文学賞などを受賞していらっしゃるんですね。お名前は「何と読むんだろう」と見知っていましたが、恥ずかしながら作品は確か未読です。公演を観劇して帰宅後、図書館から借り出したばかりの、462ページの長編を一気に読みました。読みたい作家が一人増えました。
(註)帚木蓬生=ははきぎほうせい。
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『秀樹杉松』95巻2626号 2018-6-29 / hideki-sansho.hatenablog.com #266
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