秀樹杉松

祖父と孫、禾と木、松と杉

征西大将軍・懐良親王(後醍醐天皇の皇子)の九州統一と、壮大な「夢」~北方謙三『武王の門』を読む~

 

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          北方謙三『武王の門』新潮文庫

 

1)『チンギス記』(一、二) に続いて、北方謙三氏の歴史小説第1作とされる

『武王の門』を読みました。文庫版2冊・970ページの長編で、坂めぐりなどの合間を縫い、図書館の返却期限を気にしながら、毎日少しずつ読んだ。30年前の作品ですが、興味深く読みました。続きをご覧ください。 / Atelier秀樹 

 

2)次の3点に注目しました。

 ①通常の歴史小説(信長・秀吉・家康、江戸幕府・幕末)と異なり、南北朝という古い時代(14世紀)が舞台。

 ②主人公が、南朝征西大将軍に任命された、後醍醐天皇の皇子・兼良親王(1329-83)という異色。

 ③兼良親王は四国を経て九州に渡り、足利方と交戦。肥後の菊池武光らの協力を得て、十年間太宰府を中心に活躍。九州統一を果たし、九州を一つの国家とするなどの、壮大な夢を追い求めたこと。

 

3)私の拙い文章では覚束ないので、文庫本(新潮社)の裏表紙に印刷された、明快なコピーを紹介します。

 

<上巻>

 鎌倉幕府を倒し、後醍醐天皇が敷いた建武の新政も、北朝を戴く足利尊氏に追われ、僅か三年で潰えた。しかし吉野に逃れて南朝を開いた天皇は、京の奪回を試み、各地で反撃を開始する。天皇の息子・兼良は、全権を持つ征西大将軍として、忽那島の戦を皮切りに、九州征討と統一を目指す。兼良の胸中にある統一後の壮大な「夢」とは―-。新しい視点と文体で描く、著者初の歴史小説

 

<下巻>

 兼良は肥後の名将・菊池武光らと結び、悲願の九州統一を果たした。そして太宰府を西征府の拠点とし、朝鮮半島の高麗や中国大陸の明接触することで、全く新しい独立国家の建設を夢見る。しかし、足利幕府から九州探題に任ぜられた今川了俊は、兼良の野望を打ち崩すべく、執拗に軍を進めた――。二十数年にわたる男の夢と友情のドラマを、ダイナミックに描いた一大叙事詩の完結!

 

 『秀樹杉松』98巻2692号 2018-10-1  /  hideki-sansho.hatenablog.com #332