クラシック音楽の中で「交響曲」が一番好きだ。音楽の理論は知らないが、音楽の最高は交響曲だと思っている。ところが音楽関係の本を読むと、難しい言葉で交響曲が説明される。
曰く「ソナタ形式による多楽章の管弦楽作品」。ソナタ形式がよく分からない。ソナタ形式とは「提示部・展開部・再現部の3部分からなり、再現部の後にコーダ(終結部)が続く」「提示部の前に序奏がおかれることもある」。
こうした解説を読むと、クラシックは理屈っぽくて分からないという気持になる。でも難しく考えることはないようだ。
①先ずは「序奏」で動機を表したり気分的な準備をおこない、②次に、「提示部」で第一・第二主題を提示し、③「展開部」では、提示した主題をさまざまに変形・変奏させる。④再現部で、二つの主題を再現させ、⑤そしてコーダ(結尾部)で終わる。
文章や話には“起承転結”が求められる。交響曲においても、序奏→主題(第一・第二)の提示→主題の展開→再現→終結、の形をとるというだけに過ぎない。
大きな会場で、指揮者の指揮棒(最近棒を持たない人もいるが)に従って、オーケストラが演奏するシンフォニーに酔いしれるのが、小生には最高の幸せだ。
楽器も最初は皆目分からなかったが、演奏会に足を運ぶにつれて、弦楽器(第一ヴァイオリン、第二ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバス)、木管楽器(フルート、オーボエ、クラリネット、ファゴット(バスーン)、金管楽器(ホルン、トランペット、トロンボーン、テューバ、打楽器(ティンパニー&パーカッション)などを知った。(曲により、ピアノ、ハープ、他の打楽器などが加わる)。
正直白状すれば、オーボエは大きな笛かと思っていたが、「高い音を出す木材」という意味のイタリア語 OBOE であることを知ってビックリ。小生の知識はその程度であった。
<愛称のある交響曲>
さて、小生の一番好きな「交響曲」には、第何番だけでなく、“愛称”が付いたものが多い。文字どおり愛されてきただけに、時代の試練に耐えた名曲そのものである。作曲家の生年順に整理すると次のようになる。
①100曲以上を作曲し“交響曲の父”といわれるハイドン(1732)の「告別」「オックスフォード」「驚愕」「軍隊」「時計」
②35歳夭逝にもかかわらず41曲を作曲した天才モーツァルト(1756)の「パリ」「ハーフナー」「リンツ」「プラハ」「ジュピター」
③九つの大曲を残し“交響曲の完成者”ともいわれるベートーヴェン(1770)の「田園」「英雄」「運命」「合唱」
④ロマン派の“開拓者”シューベルト(1797)の「未完成」「グレイト」
⑤ロマン派の“確立者”ベルリオーズ(1803)の「幻想交響曲」「イタリアのハロルド」「ロメオとジュリエット」
⑥ドイツロマン派の代表者メンデルスゾーン(1809)の「スコットランド」「イタリア」「宗教改革」
⑦評論活動もしたロマン派の“推進者”シューマン(1810)の「春」「ライン」
⑧新ドイツ楽派・新ロマン主義のリスト(1811)の「ファウスト交響曲」
⑨巨大管弦楽による長大な曲を次々に発表したブルックナー(1824)の「ロマンティック」「ワーグナー」
⑩近代フランス音楽の基礎を築いたサン=サーンス(1835)の「オルガン付き」
⑪チェコ最大の国民楽派ドヴォジャーク(1841)の「新世界より」
⑫後期ロマン派としてブルックナーと並び称されるマーラー(1860)の「巨人」「復活」「悲劇的」「夜の歌」「千人の交響曲」「大地の歌」
⑬“西欧派”“折衷派”ともいわれるチャイコフスキー(1840)の「冬の日の幻想」「小ロシア」「悲愴」
⑭ワーグナーの後継者として交響詩・楽劇を発展させたリヒャルト・シュトラウス(1864)の「家庭交響曲」「アルプス交響曲」
⑮ニールセン(1865)の「不滅」
⑯スクリャービン(1872)の「法悦の詩」
⑱20世紀前半の代表的作曲家の1人、プロコフィエフ(1891)の「古典交響曲」
⑲ソ連の社会主義レアリズムと自己の芸術的信念との相剋に苦しんだが、20世紀最大の交響曲作家と認められるショスタコーヴィチ(1906)の「レニングラード」
⑳メシアン(1908)の「トゥーランガリラ交響曲」など
”三大交響曲”として挙げられるのが、運命(ベートーヴェン)、新世界より(ドヴォジャーク)、未完成(シューベルト)だが、いずれにも愛称がある。人によって好みがあるので、違う交響曲が挙がることも考えられる。しかし、なるほどと頷けることも確かだ。(「クラシック音楽への憧れ」)
(秀樹杉松 82-2367)