親川記 : 東京の川歩き
(12) 竪川 (河川敷公園
「昭和の日」の今日4月29日(月:休日)は午前中仕事。天気が好いので急遽午後から、過日歩いた竪川の残り部分(大横川交差店点~旧中川合流点)に出かけた。全コース完歩を目ざし、張り切って行ったが、実はこの部分は平成2年に埋め立てられ「河川敷公園」になっていたのでビックリした。真上を高速道路が走っているので、地図では判らなかった。最初はがっかりもしたが、大きく変貌した姿を見て、高速道路直下の川の運命はこんなものかと納得。
都営新宿線の菊川駅下車。三つ目通りを北上、竪川の三之橋を右折(東進)。菊花橋を過ぎて大横川と交差。直ぐ近くの大横川南辻橋をパチリ。
いよいよこれからスタートと思いきや、竪川の流れはここで途絶えていた。つまり、大横川と交差せず the end となっているのには実に驚いた!呆然と高速道路の方を眺めたら、スカイツリーの上半身が見えたのでパチリ。次の新辻橋から川の埋め立て跡を見たら、コンクリートが丸見えで、工事用の資材が置かれている。竪川の面影(埋め立てなかった西側の流れ)は全くなく、“変わり果てた無惨な姿”にしばし悄然とした。
「牡丹橋」の跡地には「牡丹橋親柱モニュメント」が建てられ、「牡丹橋は江東内部河川整備にともない、平成2年にその役目を終えて撤去し、新たに道路として整備されました。永い間、親しまれた旧橋の面影を慕い、橋名板と親柱の一部を残してその歩みを記します。」と記されている。そして橋名の由来となった近くにあった牡丹園と、昭和59年当時の牡丹橋の写真も添えられている。もちろん写真に撮ってきたが、大げさに言うと、これを見られただけで今日行った甲斐があった。歴史の現場に臨んだ実感がした。
ナンバー橋で知られた竪川の「四之橋」(四ツ目通り)はかろうじて残されてはいた。近くの猿江恩賜公園入口の写真撮る。青い松本橋過ぎると横十間川と交差。だがここでも竪川の流れはない。この辺りから「竪川河川敷公園」が始まる。
小さな木橋、小規模遊園地、整備された遊歩道・散策路、分断された小さな流れ、綺麗な色のかわいい橋、東屋、「鯉池」で群泳する大きな鯉たち。
竪川の東側部分が埋め立てられたのには驚きがっかりもしたが、河川敷公園として生まれ変わっているのを目の当たりにして、そんな気持ちもクリアされ、なんか感動に襲われた気分にもなった。これまで歩いた川は「親水公園」として親しまれているが、ここは「河川敷公園」として(未整備の箇所もあるようだが)生れ変わり、区(都)民の憩いの場として発展するのを祈りたい。
五渡亭園(三代歌川豊国)の浮世絵が展示されている。地元亀戸の蕎麦屋が収集所蔵している作品を借用しての展示なそうだ。河川敷を飾るにふさわしい芸術品の展示だ。合計23枚もずらりと展示されているので、二枚セットで全部をカメラに収めてきた。
五之橋(明治通)、城東高を過ぎると昭和橋。昭和橋は橋名のある部分だけが取り残されている。間もなく「竪川大橋」。川名を橋名にした、竪川の橋を代表する文字通り「大橋」だ。
この後も河川敷公園は、創意ある形で(高速道路直下という異形?ながら)続く。亀戸7丁目には、竪川と隣接並行する「旧千葉街道」の標識が立っている。中之橋過ぎると、竪川最東の「新六の橋」。
本所六ツ目の旧竪川の「六之橋」が埋立で廃橋(単なる道路)となり、新たに架橋されたのがこの「新六の橋」。ネットで調べると、新六の橋も撤去されたので、「旧新六の橋」だとの解説もある。どうやら、旧を廃して新を架けたという簡単な事情ではないらしい。こんなことならもっとよく見てくればよかった。ここで暗渠となり、竪川(正式には旧竪川?)は the end。
首都高速下を進むと旧江戸川。旧中川に架かるのが「逆井橋」。「逆井の渡し跡」のモニュメントがあり、歌川広重の「逆井のわたし」のスポットのようだ。
逆井橋のすぐ右手(南側)には「虹の大橋」が架かっている。橋名の通りの広大な橋で、橋向には巨大な団地、直ぐ隣には「大島小松川公園」がある。ネットで調べたら、神奈川県宮ヶ瀬に架かる自殺の名所?の「虹の大橋」が出てくるだけで、江東区と江戸川区の区界をなすこの橋はちょこっとひっかるだけ。
ここから帰宅の途につく。地図見て旧中川を遡上して京葉道路(中川新橋)に出る。前の日に出かけた「小松川境川親水公園」の水源「菅原橋」に向かうバス通りだ。バス停「浅間神社」で、都営地下鉄に乗るには亀戸行き、錦糸町行、両国行きのどれがよいか迷い乗車待ちの人に尋ねる。「直ぐその先を左折すれば10分で都営の〇〇駅ですよ」と教えてくれたが、地図めくってもはっきりしないので、両国行きバスに乗りそこから大江戸線で帰宅。
後で地図をゆっくり調べたら教えてもらった通りで、駅はきのう帰りに乗った「東大島」であった。しかも驚いたことに、逆井橋から北上せずに南下すれば直ぐに目的の都営地下鉄「東大島」に乗れたのに、わざわざバスで両国へ行って大江戸線利用、という大ポカもしでかした。最初からの予定なら綿密な計画建てるのに、急に午後出かけたから犯したミス。やはり出かける前の準備大事だね。
(秀樹杉松 83巻2398号)