秀樹杉松

祖父と孫、禾と木、松と杉

白子川(1)

親川記:東京の川歩き

(26) 白子川 (1)(2013年6月8日)       / Atelier秀樹  

 

 東京23区地図をこまめに見たら、練馬区に「白子川」が流れている。全く知らない川なので調べたら、練馬区の西端(西東京市に近い)を水源とし、隣の板橋区にも流れて新河岸川に合流する、一級河川であることが分かった。更に面白いことに、水源地一帯を「井頭(いがしら)」と呼び、吉祥寺(正確には三鷹市)の「井之頭」と同義である。全長10kmだというから一日では無理だが、半分でも歩いてみようと思い、6月8日(土)朝から出かけた。きのう午後の「日本橋川」に次いで連日の川歩きだ。

 

 <白子川スタディ> 

 例によってネットで下調べしたが、とても勉強になった。白子川の流域の町名は、大泉町大泉学園町・東大泉・西大泉・南大泉など、「大泉」のオンパレードだ。この地帯は小さな泉があちこちに湧き出ていたので、小泉(おいずみ)と呼ばれたが、市町村登録の際にコイズミと間違い易いので、「小」を「大」として「おおいずみ」で登録たことから「大泉」の地名が誕生した、とのことである。

 なるほど言われてみれば、小沢・小渕・小笠原・小野寺・小川・小山市などは通常は「」と、小林・小泉・小森・小平・小山などは通常「」と読む。だが例えば、小山市と小山氏のように両読みもある。小泉(オイズミ)が大泉(オオイズミ)に間違われるなら、大泉にしようとは苦肉の策といえるが、凄い発想でもある。

 もう一つ発見があった。それは、西武池袋線の「大泉学園駅」と、練馬区の「大泉学園町」に関すること事だ。正直いって小生はこれまで、大泉学園という学校が近くにあるからの駅名・町名だと思っていたが、実はそうではなく、東京高等師範東京教育大学・現筑波大学)か東京第一師範(現学芸大学)を誘致し、園都市として開発する計画(実現しなかったが)に絡んでいることが分かった。

 

 「東大泉」の駅名を「大泉学園」と変え大泉学園町」の町名までつくっての、準備万端の学園都市の建設は結局は実現しなかった。しかし地図で見ると、近辺には学芸大学の付属高大泉校舎・付属大泉小・付属国際中等教育が東大泉地区にある。また、高校・中学校・小学校なども一帯に多く、高等教育機関の誘致に成功しなかったとはいえ、駅名や町名にこめた意気込みに相応しい佇まいをみせていた。

 <白子川歩き>

 白子川の水源地は練馬区東大泉7丁目の大泉井頭公園・井頭泉緑地。最寄り駅の西武線大泉学園南口で下車。ゆめりあフェンテ・7イレブン。念のため店員に道を確認。いなげや・練馬西税務署・大泉南小。今日は授業参観日らしく、道徳科のテーマが校門に掲示されている。200メートルばかり南進すると「井頭」交差点。此処を右折西進。田舎の雰囲気あり農地も見える。「井頭こぶし憩いの森」、アジサイが満開。「井頭体験農園」、近くの住民が野菜栽培にタッチしている姿も。間もなく水源にたどりつく。

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 水源の橋は「七福橋」。赤字で木の板に橋名が書かれ、金網に取りつけられている。その隣には、「一級河川・白子川・上流起点」と、青いブリキ?に白字で書いた川名が表示されている。練馬区土木課の作成とはとても思えない。後で記す水源地域の手作りか?

 上流起点の表現は、白子側はこの七福橋から始まるという意味のようである。これより上流にも水が流れていた形跡は残っている。橋から下流何メートルかはコンクリートの板で覆われており水流は無い。その後の何メートルかも水流は無く、草茫茫である。

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 直ぐに「大泉井頭公園」という名の小公園。「白子川はこの公園から始まります」との練馬区西部公園管理事務所のカラフルな掲示板が建っている。なるほど、公式にはこの公園が白子川の始まりということか。となると、前出の、何メートルか上流の七福橋への掲出は非公式な手製?。そんなことはどうでも良い。地元掲示?の通り、七福橋を「白子川上流起点」としよう。

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 井頭公園にはオブジェもあるが、特筆すべきは何といっても、

登録文化財のねりまの名木「マルバヤナギ」だ。木の高さ9m、根元の太さ2.2mとの練馬区公園緑地課の看板と、練馬区指定天然記念物・井頭のヤナギ(二株)という練馬区教育委員会の掲示標も立っている。二株とも立派な柳の大樹だ。

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 公園の終わりは「井頭橋」。上流起点の「七福橋」から僅100メートル余。橋の側に「白子川源流・水辺の会」の掲示板がしつらえてあり、機関誌「源流通信」などが貼ってある。地道な不断の活動の状況が垣間見られる。役所の行政だけでは限界があるのだろう。頭が下がる思いだ。  

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 決して豊かな水量ではないが、カルガモが泳いでいる。カメラを向けるが動きが速くて追いつけない。シャッターを切った瞬間相手は泳ぐ。アップで撮ろうとすると尚更大変だ。も同じだ。帰宅して写真を見ても、いいものは少ない。その点対照的なのはじっとして動かない亀だ。「いい鴨」というが、小生には「いい亀」だ。一連の川歩きでいっぱい観察し撮影したのは、共通して、鴨・亀・鯉だ。三Kとでも言おうか。

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 橋が続く。火の橋、松殿橋、緑橋。川沿いのてっぽうゆり、ホタルブクロが美しく咲いている。西武池袋線の線路を渡り、泉橋(保谷新道)、宮の橋。近くに本照寺あり。日の出橋、一新橋、宮本橋。近くに「妙福寺」あり。この辺りから水流は東に向かう。中島橋。栗の花満開、枇杷の実がたわわ。東西橋。

 臭いがしてきたので養豚かと思いきや「小泉牧場」。牧舎には何頭かの乳牛がいる。遠くなので拡大撮影試みるが、出来上がりはとても見られたものではない。失敗作は普通は消去するが、作品の内なので残した。イチョウの木2本の保護樹林がある。「アイスクリーム」の幟が風にはためいているので、何処で売っているのか尋ねたら、道の向かいの事務所。歩き疲れて喉も渇いていたので、300円の採りたてミルクのアイスクリームを買う。なんとも美味ではあった。親子連れの鴨パチリ。これは何とか見られる。

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 川の流れは北上。前田橋。学園橋。学園橋は拡張するらしく工事中のようだが、大泉学園通りはにぎやかな街の雰囲気。Flower Shop真珠園があり、店頭に花(売り用)が一杯

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  揃えてあるので、夢中でパチリパチリパチリ。後で数えたらなんと21枚もとってあった。直ぐ隣は「JAあおば・こぐれ村」、区内産地場野菜の大売り出し。昼時なので安売りのお赤飯を求めたら、美味しいキュウリ漬けもどうぞと言われて買う。キューリ3本のうち1本を水洗いしてくれ、2本は持ち帰りを勧められたが、あまりに美味しいのでその2本も(小糠のついたまま洗わずに)ペロリと平らげた。

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 次の橋は北豊島橋。御園橋。ここから水流はVターンして南東に。月見草が強い日射しでやや萎み加減だが咲きほこっている。もちろんパチリ。続いて赤いバラ、これも撮る。直ぐに橋だが、なんと!「月見橋」。しばらくして「外山橋」、ここから川は左折して東北方向へ。そして「東映」。地図見ると側に東映東京撮影所があり、その先が「東映」。撮影所を柵越しに覗くと、何やら子供向け映画の撮影中のようだ。拡大撮影を何枚か撮ったが、出来映えはパットしない。

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 水道橋、三ッ橋過ぎると目白通りで、関東自動車道に東京外環鉄道が交差、二重三重の重なり。川は遮断され、目白通りを渡った先の繋がりがわからない。通行人にきいても明解はなし。なんとか地下道を見つけてくぐり抜けて川の続き発見。大泉氷川橋。そして比丘橋。新橋戸橋。大泉橋戸公園。川は北上。比丘橋下流調節池。弥生橋。向下橋。あかまつ緑地。小さな池と立派な赤松の小公園。朝顔の花が綺麗なので接近パチリ。鴨いるのでまたも撮影。万年橋。水流は東へ。中里橋。大きな桜の木。天井見上げると黒っぽい実がいっぱい見えたので、思い切りカメラを頭上に向けてパチリ。なんとか写っている。区立中里泉公園。別荘橋。不動橋。

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 下中里橋。なんか先刻通ってきたような気がする。いつだったか仕出かしたように、また逆戻りしたかと不安になり通行人に「これと同じ名前の橋を少し前に通りかかったような気がする。八坂小・八坂中はこの先でよろしいでしょうか」と尋ねたら、「それで良いですよ。さっきのは中里橋でしょう。ここは下中里橋ですから」と教えてくれた。

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 川の流れは北上と変わる。自信を取り戻して、上流つまり小・中学校の方向へ歩く。道路隔てて隣接する両校は埼玉県境に建っている。夕方も近いので本日は此処で打ち止めとし、残余のコースは後日の楽しみとすることに決定。和光市の掲示標。和光市南一丁目13。そして「越後山橋」。  

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 きょうはこの越後山橋から引き返すことに。地図で確認のうえ、少し南下してバス通り(土支田通)を目指す。途中に土支田八幡宮。稲荷山憩いの森。昔は「練馬大根」の産地だったが、今はキャベツやブロッコリーとか。広い畑にキャベツが目一杯植えられ、大きなキャベツの塊が整然と連なっている。「生産緑地地区」の看板。ナス畑も。民家の庭には撫子の花。国際興業バスに「土支田八幡宮前」で乗り、西武線石神井公園駅へ。ここから練馬・中野坂上をへて帰宅。きょうも精一杯歩いた。 

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                                                                                                (秀樹杉松 84巻/2413号)