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日馬富士、劇的な逆転優勝で「一人横綱」の責任を全う  ~「命かけて、全身全霊で相撲とった」~

 優勝決めた「動」と「静」   /  Atelier秀樹

 

 大相撲秋場所千秋楽10勝4敗の横綱日馬富士と11勝3敗の大関豪栄道が対戦、日馬富士が勝って11勝4敗の相星となり、優勝決定戦が行われた。そして、日馬富士豪栄道を降して、見事な逆転優勝を飾った。異例・異常づくめの今場所だったが、最後は横綱優勝で幕を閉じたので、ファンとしては、ホッとしたような気持ちと平幕優勝が見られなくて残念だった、の気持ちが残った。

 

 今回の日馬富士の「大逆転優勝」は、色々な意味で大相撲史に残ったようです。

日馬富士の優勝は、7場所ぶりの9回目。 

10日目終了時、星の差3つからの逆転優勝は、96年九州場所大関武蔵丸以来。

1場所4個の金星配給は、史上初

→優勝インタビューでの日馬富士の話には感動した。

 「今日の一番は、命をかけて、全身全霊で相撲を取った

→優勝決定戦の直前に、十両の照強を相手に立ち合いの練習を繰り返した。これについて訊かれたら「あれは、照強をテレビに出させるためでした」とジョーク。 

<決定戦直前の「動」と「静」>

 優勝決定戦直前に、日馬富士十両照強を豪栄道に見立てた立ち合い練習を繰り返した。その模様はテレビ放映された。このシーンを見ながら、アナウンサーと北の富士さんの話が弾んだ。「立ち合い低く当たるための練習。そのため付き人ではなく、背の低い十両の照強を呼んだ」。

 一方相手の豪栄道は特に何もせず、静かに対戦を待った、とアナウンスされた。対決を前にした「動」と「静」。どっちが有利かわからなかったが、その違いは直後の両雄の対決で証明された。日馬富士は立ち合い低く当たって、一気に豪栄道を寄り切ったのである。まるで、直前の低い立ち合い練習のシーンが、実戦であたかもコピーされたかのような展開になったのには驚いた。

 <活躍した若手に三賞(技能賞の嘉風はベテランだが)

殊勲賞 貴景勝(9勝6敗、前頭5枚目)

敢闘賞 阿武咲(前頭3枚目、10勝5敗)

      朝乃山(前頭16枚目、10勝5敗)  

技能賞 嘉 風(関脇、8勝7敗)

 *ざっと数えたら、今場所勝ち越した平幕力士は20人いる。全員に敢闘賞を上げたい横綱大関が大挙して休んだための珍現象とも言えるが、「のびのびと相撲をとり」「みんなで白星を稼いだ」。だが飛び抜けて強いのがいない「団栗の背比べ」なで、「壮烈な星のつぶしあい」となった春場所

 *いろんな話題を提供して、大相撲春場所は終わった。日馬富士さん、豪栄道さん、ありがとう、お疲れ様でした。そして、平幕の若手(ベテランもいるが)の皆さん、よく健闘して場所を盛り上げてくれました。来場所また会いましょう。

                                                                (秀樹杉松 85巻/2431号)2017.9.24