秀樹杉松

祖父と孫、禾と木、松と杉

葉室麟『さわらびの譜』『辛夷の花』『風のかたみ』を読む

   葉室麟氏は昨年12月23日に逝去された。悲報を知った直後から葉室氏の作品を読み始め、これまで乾山晩愁いのちなりけり秋月記蜩ノ記散り椿 の5冊を読み、さらに今回、さわらびの譜・辛夷の花・風のかたみ という美しい書名の最近作3冊を読みました。読後感を書きたいが、下手な拙文では意を尽くせないので、出版社・販売社の名文を引用させていただきます。  /  Atelier秀樹

 

葉室麟『さわらびの譜』

 株式会社角川書店 2013.9刊

 (kadokawa.co.jpより) 

 姉妹の思いを乗せて、千本の矢が政治の非情を射貫く。爽快な長編時代小説。

 扇野藩の重臣、有川家の長女・伊也は、藩の弓上手、樋口清四郎を負かすほどの腕前。競い合ううち清四郎に惹かれる伊也だったが、妹の初音に清四郎との縁談が。くすぶる藩の派閥争いが彼らを巻き込む。長編時代小説。

 

葉室麟『辛夷の花』(こぶしの花)

 株式会社徳間書店 2016年4月刊 

amazon.co.comより)

 九州豊前の小藩、小竹藩の勘定奉行・澤井家の志桜里は近習の船曳栄之進に嫁いで三年、子供が出来ず、実家に戻されている。近頃、藩士の不審死が続いていた。現藩主の小竹頼近は養子として迎えられていたが、藩主と家老三家の間に藩政の主導権争いの暗闘が火を噴きつつあった。

 藩主が襲われた時、命を救った木暮半五郎が志桜里の隣家に越してきた。剣を紐で縛り”抜かずの半五郎”と呼ばれてきた男が剣を抜く時! 小藩の藩政を巡る攻防と志桜里の思い

 

葉室 麟『風のかたみ』

 朝日新聞出版 2017.3刊(初出「一冊の本」2015年9月号から2016年8月号に連載)

  (publications.asahi.comより)

 九州豊後・安見藩の女医である桑山伊都子は、目付方の椎野吉左衛門から藩の重臣である佐野家一族の女たちを“生かす”よう命ぜられる。

 佐野家当主の了禅と一族の男子は藩主に叛旗を翻し、ことごとく上意討ちとなっていた。生き残った了禅の妻ら佐野家の女たちは白鷺屋敷に軟禁されており、伊都子は傷を負った女たちの治療も担っていた。佐野家の嫁や女中のなかに懐妊している女子がいるらしく、安見藩お世継ぎ問題とも関わりがあるようだ。
 やがて、死んだとされていた次男・千右衛門が生きているとのうわさが流れ、白鷺屋敷に烏天狗の面を被った曲者が忍びこむ……。

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  『秀樹杉松』90巻2535号 # blog <hideki-sansho> 175

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