秀樹杉松

祖父と孫、禾と木、松と杉

週刊文春「貴乃花答える!」を読む。長年の大相撲ファンの私は、貴乃花親方を理解支持しています。

 私は子供の頃からの大相撲ファンで、戦時中の双葉山羽黒山・照国・安芸ノ海横綱時代を知っているのです。あの双葉山が引退したのは、いま調べたら、昭和20年(1945)秋場所ですから、大日本帝国”と”双葉山時代”は同時期に終焉を告げたのですね。

 戦時中は照国のファンでした。その後、東富士・代の山・吉葉山鏡里の4横綱時代を経て、栃錦若乃花(初代)の栃若時代、大鵬柏戸の柏鵬時代と変遷しました。これに続いたのが北の湖時代、貴乃花時代(若貴時代)でした。貴乃花ハワイ出身の巨漢力士(横綱曙・武蔵丸大関小錦)、ライバル柏戸との間に繰り広げられた、壮烈な大相撲には本当に興奮しました。こうした環境で22回の優勝を達成した貴乃花は、大相撲史に大きな功績を残しました。

 私は今でも「歴代の最強横綱貴乃花」であると思っています。優勝回数だけで横綱を評価する傾向がありますが、それは一面的な評価ではないでしょうか。大相撲隆盛時代を築いた最大の功労者であり、”一人横綱”とは無縁であり、ハワイ出身の3巨漢力士との真摯な相撲を取り、若貴時代”で大相撲を盛り上げた功績は偉大でした。

 その意味でも、今回の協会執行部の一連の対応には大きな疑問を覚え、批判を禁じ得ません。加害者である横綱日馬富士への処理はおろそか(そっちのけ)にして?、被害者側の貴乃花親方への批判攻撃に終始した、まさに本末転倒の対応としか思えません。貴乃花親方が沈黙を守ったことをいいことに、マスコミも含めて、多くの人々が無責任な言いたい放題を繰り広げました。しかし、私と同じ気持ちで見守ってこられた方も多いのではないでしょうか。 

 

 貴ノ岩に対する日馬富士の暴行傷害事件を起因とした、貴乃花親方に対する協会執行部の理不尽で不当な攻撃は、見過ごすことはできない事案です。にもかかわらず、私は沈黙してきました。貴乃花親方が沈黙を通しているので、下手な発言(ブログ投稿)は控えてきました。それにしても、あの環境の中で終始沈黙を守ったのは、「さすが貴乃花だと感心しました。

貴乃花親方攻撃」はまだ続くでしょうが、理事選挙も終わったので、取り上げてみたいとやっと思いました。「理事候補選挙」とは驚きました。そういう決まりなんですね。それにしても、評議員会議長は、今回の日馬富士暴行傷害事件を混乱させたキーマン(ウーマン?)だったように思えてならない。協会執行部と軌を一にして?貴乃花親方攻撃」の旗振りをしたように見えた。公平中立であるべきポストには、それにふさわしい適任者を当ててほしいものですね。 

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              貴乃花答える!」週刊文春 (2/8発売号)から

 「貴乃花答える!」は週刊文春の記事のタイトルですが、中見出しは引用者がつけました。以下、「週刊文春」の記事から、貴乃花親方の発言を抜粋引用します。貴乃花親方の「日馬富士暴行事件」と、大相撲に対する考え方、の片鱗がうかがえるからです。今にして思えば、これまでの私自身の「沈黙」が果たしてよかったかどうか、発言を躊躇しすぎたのかの反省も込めてです。 /  Atelier秀樹

 

<1票でも出る〜選挙結果は予想通り>

 →(理事候補選挙の)結果は順当です。無風で決まるのはどうかと思いましたし、私は1票でも出ると決めていました。選挙になっただけでも意味があったと思います。だから、まあ予想通りですね。…1票でも出ると決めてから、誰とも票の工面の話はしませんでしたし、私としては意思表示ができただけでも十分。これでいったん(4期務めた理事は)お役御免です。今後は自分の部屋と一門を、陰となり日向となり、支えていくだけ。もう「貴乃花」の名前は、前面に出なくてもいいんじゃないですか(笑)。

 

<立候補は私の意思表示>

 → …貴ノ岩の事件があって、彼の復帰とともに、自分ももう一度、立ち上がっていきたいという思いが私には強くありました。こういう出来事が二度とあってはいけないし、出ないと、今の協会のあり方を認めたことになっちゃいますから。立候補はそうした私の意思表示でもあるので、一歩も引けなかったんです。

 

日馬富士暴行事件>

 → 殴った、殴られたと言った、相撲界ではよくある話 ー で済まされる事態ではなかったんです。土俵ではなく酒の席で、凶器も使われ一人が一方的に重傷を負わされたんです。貴ノ岩には両親がいなくて、私は実の親以上にあの子の親をやらないといけないと思ってきましたから。後々、暴行の様子が分かってくると怒りに震えました。あいつらそこまでやったか、よくもオレの子に手を出してくれたな、挙句に、それをよくも躾のためだと言えたもんだな、と。

 

<相撲界全体が向き合うべき問題>

 → そもそも、内々で解決するようなことじゃないでしょう。うちの部屋の子だから、モンゴル人だからではなくて、それぞれに師匠がいるし、本来は相撲界全体が向き合わなければいけない問題じゃないですか。なのに、被害者の貴ノ岩にも非があるように言われてしまったやられた方も悪者にするって、考えたら恐ろしいことです。

 

 <伝統や歴史には、なり手と送り手が必要>

 → 伝統や歴史って、なり手と送り手がいないと引き継いでいけないんです。それは当たり前のことで、相撲協会のあるべき姿とは、人を大切にすることです。それが相撲界の未来を左右するんです。私の現役時代と比べて、力士の数は大きく減少しています。相撲を次の時代へ繋いでいくためにも、このままじゃいけないんだと、その一心で戦ってきたつもりです。

 

<何かあれば直ぐ「対貴乃花の構図」>

 → 正直、肩の荷が下りたと思うところもあります。本当は看板を背負ってやっていくのはあまり得意ではないんですよ。その逆に見られちゃいますけど。8年前に二所ノ関一門を飛び出した時も、支えてくれる仲間がいるなら、よしやってやろうと、マッチを擦ってくれる人が周りにいて、火が点いて、腹を括ってやってきました。でも矢面に立つと、あちこちから矢が飛んでくるんですよね。何かあれば、すぐ貴乃花の構図で話題を作られてしまって…。

 

<自分からは仕掛けない主義>

 → 私は仕掛けられても自分からは仕掛けない主義なんです。昔からのことだからあれこれと言われても免疫がありますし、好きに言わせておけばいいと思ってますよ。…

 

阿武松新理事への期待>

 → 阿武松さんは、これまで私の懐刀としてやってきてくれた方で、今度は私が逆にそうさせていただくつもりです。相撲協会は、お互い土俵で戦ってきた力士が部屋の師匠になり、組織運営にも関わります。相撲は単なるスポーツではなく、神事でもあるので、古きよき伝統を守っていくために、外部ではなくて、元力士が舵取りをしていくことはとても大切なことです。

 

<政治ではなく、理念を掲げて>

 → 私は、相撲のようにまっすぐ堂々と勝負して、それでいいじゃないかと思うのですが、結局は政治力がモノを言う世界なんですよね。協会の運営は、政治ではなく、理念を掲げてやっていくべきなんですが、阿武松さんにはその波に飲み込まれず、一門の骨格を守り通して欲しいと思っています。

 

<理想は 大相撲全体が一つの一門に>

 → …うちの一門は、集まってきた仲間達で作り上げてきた自信があります。支える側に回って、一門の柱をさらにどう太くするか、思案しているところです。一門制度自体が問われている時代だと思いますし、ゆくゆくは大相撲全体が一つの一門になるのが理想です。ひとまずは協会と一門を遠目から見てみるいい機会なのかもしれないです。

 → …ドロドロした部分ではなくて、大相撲本来の魅力を見せていくのが、今後の主題かなと思っています。うちの部屋から、一人でも多く相撲界の未来に役立つ子が出てきてくれればいいなと、厳しく、甘やかさず、次世代の力士を育てていくことが、一門や協会のためにもなるわけですからね。

 

貴ノ岩を応援してもらいたい>

→(貴ノ岩は)だいぶ元気になってきていますし、身体を動かして汗をかけるところまできました。事件の後は、母国のモンゴルでも叩かれて大変でした。心身に傷を負ったわけで、これをバネに、いったんしゃがみ込んで、そこからさらに飛躍して欲しいと思っています。でも、頭部の怪我だけに後遺症も心配だし、医師と相談しながら、親としては本人のはやる気元を理解しつつ、体調管理には万全を期したいです。

→(幕下転落を回避させる特別救済措置について)事件の被害者なんですから、本来なら、幕内に据え置きでよかったんじゃないかと思っていますよ。復帰は大きな試練です。皆さんには是非、応援してやってもらいたいです。

 

<これからも真っ直ぐな気持ちで>

→ 私は15歳で相撲の世界に入って、30歳で現役を引退しました。その後、親方として15年。不思議なもので、15年区切りなんですよ。本当に相撲が大好きな少年が、力士になって、青年になって、親方になってここまで来て、正当なことをやるには、どうしても時間がかかるものです。今は一区切り、一区切りと。心新たにして、これからまたまっすぐな気持ちでやっていこうと思っています。

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                   『秀樹杉松』91巻2548号  18/2/8   #blog <hideki-sansho>188

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