秀樹杉松

祖父と孫、禾と木、松と杉

「令和」改元(4)~日本史の歴史区分を考える。

 

昭和20年の敗戦/終戦を境に、日本は180度の大転換をしました。

f:id:hideki-sansho:20190425202639j:plain
f:id:hideki-sansho:20190425202629j:plain

(1)日本史の時代区分は(吉川弘文館『日本史年表・地図』によれば)、先史時代、歴史時代に始まり、白鳳時代奈良時代天平時代)、平安時代(初期・中期=藤原時代・後期)、鎌倉時代南北朝時代室町時代(戦国時代)、安土・桃山時代、江戸時代(初期・中期・後期)と呼ばれます。都や幕府の所在地による時代名で呼ばれます。

(2)それが明治時代(いわゆる近代)からは、明治時代、大正時代、昭和時代、平成時代と、元号天皇)による呼称へと変わっています。明治維新以降の天皇中心政治の反映でしょうか?6日後に迫った改元後は、やはり「令和時代」と元号で呼ばれると思います。いや、すでにそう呼ばれています。

(3)昭和の初期に生まれた私などは、昭和・平成時代が自分の時代だとの意識が強いです。「明治は(遥か)遠くになりけり」です。昭和の後を承けた平成時代の日本は、戦争のない文字通りの平成・平和の時代でした。

(4)昭和時代は60年以上の長期間に及び、この間いろんなことがありました。

昭和20年の敗戦/終戦を境に、以前と以後は全く異質の時代となりました。つまり、昭和20年8月の終戦までの20年は、大日本帝國憲法明治憲法)下の、天皇制(天皇中心の国家体制=「日本史広辞典」、近代天皇制(岩波日本史辞典)と呼ばれる時代でした。

(5)これに対して。終戦後の70余年は、日本国憲法平和憲法・民主憲法)下の、国民主権の平和と民主主義の時代となりました。国民が国の主人公となり、天皇は「象徴天皇」となったのです。つまりは、日本の歴史は180度の大転換をしたのでした。国民学校生でこの歴史的な変遷に直面した私らの世代は、その時の衝撃を昨日の様に鮮明に覚えております。

(6)私の関心は、後世の歴史家がどう書くか注目しています。それは、60余年にわたる昭和の時代を文字通り「昭和時代」一本で通すのか、それとも昭和時代を終戦前と終戦後に分けた時代区分にするかです。元号天皇名でいえばもちろん「昭和時代」なわけですが、全く異なる政治体制をどう区別・関連づけるかは、大きな課題ではないでしょうか? 実際に天皇退位の動きもあったようですが、当時の日本の支配層や占領者の思惑も絡み、天皇制が維持されたとも言われています。

(7)「国破れて山河あり」はよく覚えていますが、いま念のためネットの「故事ことわざ辞典」で調べたら、→杜甫の詩『春望』の冒頭の句「国破れて山河あり、城春にして草木深し」(国は滅亡したが山や川はそのままで、もちには春が訪れ草木が茂っている)、と出てきました。あわせて、「国れて山河あり」と書くのは誤り、とあります。

(8)昭和20年の日本は「国が敗れた」だけでなく、「国が破れた」に等しい状態でした。あの戦争と敗戦結果、国民は想像を絶する犠牲を払い、苦難を被ったのでした。アジア諸国民も大きな被害を被りました。こういう時代を今の天皇陛下は目の当たりにされたのです(私と同様)。天皇「象徴天皇の立場で展開された諸行動の深奥には、先の大戦への思いが秘められておられる、と私は思います。天皇自らは「象徴天皇」と言われるだけですが、私は一国民として「平和天皇とお呼びしたいのです。

(9)日本史の時代区分は、冒頭に記したように、奈良時代平安時代鎌倉時代室町時代、江戸時代などのように、都や幕府の所在地で呼ばれていたが、何故か明治からは、天皇元号名で、明治時代・大正時代・昭和時代・平成時代、と呼ぶようになりました。天皇制の国家づくりが明治維新の目的であったことと関連していると思います。

(10)さて、1868年の明治維新により、徳川幕府が崩壊し、天皇も京都から東京へ移られ、江戸が東京と改称されました。従来の流れからいえば、武家社会に決別した新体制が東京で始まったのだから、「江戸時代」の次は「東京時代」でもよかったような気がしないでもありません。江戸が東京に改称しただけで、場所が変わったわけではない、との考えもあるでしょうが。

 

以上、令和改元・令和時代の開幕を目前にして、日本史における「時代区分・名称」を取り上げてみました。天皇退位、新天皇即位、平成から令和への改元、、、厳粛な国家的行事が迫っています。私もなんとなく緊張を覚え、厳粛な気持ちになっています。

そんな心境を踏まえて本稿をまとめました。なんか、生真面目な論稿となったかもしれません。『秀樹杉松』は軟派記事が主流かと思いますが、たまには硬い記事も発信します。

……………………………………………………… 

『秀樹杉松』106巻28424号 2019.4.25/ hideki-sansho.hatenablog.com #484