私は一昨年(2018)、門井慶喜『銀河鉄道の父』(158回直木賞受賞)を読み、本ブログ「秀樹杉松」(2018年4月1日号)に感想を投稿しました。その後『家康、江戸を建てる』も読みました。今回の門井慶喜『自由は死せず』は、門井さんの小説3回目ということになります。
慶喜は本名かどうか知りませんが、幕末と明治維新の時代に力を注いでいるように、私には見えますが、果たしてこの「慶喜」の名と関係あるのか、興味があります。
本書の表紙
閑話休題。新刊書に接すると必ず、出版社によるカバー、帯に注目します。なぜなら、そこにはその本の内容などが、コンパクトに紹介されているからです。もちろん “売らんかな” のPRでしょうが、私はその本を買うときは必ず確かめています。それがオーバーな文章なのかどうかは、読んでみてわかるからです。
著者:門井慶喜さんのプロフィール(本書奥付より)
もとより、本項は出版社(双葉社)の宣伝では全くなく、一読者の感想の一端にすぎません。次に掲げるのは、本書の帯に印刷されているPR文です。読んでみた私の感想とピタリでした。ですから、本項のタイトルにも引用しました。(簡にして要を得た、さすが名案内文ですね)
→「明治の元勲・板垣退助、没後100年 その志を令和の世に問う長編歴史小説」
表紙の帯
さて、板垣退助といえば、「板垣死すとも自由は死せず」と、自由党結成などで有名です。しかしそれ以上となると、意外と知られていないのではないでしょうか。没後百年に『自由は死せず』を書いた著者:門井慶喜さんにまずは敬意を表します。
私は少しは高齢なので、いまの若い人たちよりは板垣退助のことは知っています。それと、専門が政治学なので、もしかしたら(専門が違う)同輩の皆さんよりは、いくらか詳しいかもしれません。
なにせ本書は、小説といっても、推理小説などではなく「長編政治小説」なので、関心・興味がなければなかなか読み切れないかもしれません。かくいう私も(多忙が主たる理由ですが)読了に1ヶ月かかりました。そのかわり、幕末明治維新期の歴史の勉強にはなりました。
それと、「薩長」の人物中心ではなく、土佐藩(高知県)が中心舞台なので、(歴史は常に勝者によって書かれる、と言われますが)勝者、すなわち薩長、特に長州側から見た歴史(薩長史観)ではないので、落ち着いて読めました。
表紙の帯
本書の内容にわたる感想は、省略して、表紙の写真と出版社のPR文の掲載にとどめます。正直いえば、読後感をまとめるのは容易ではなく(手に負えない?)、拙劣な私の文章より、現物に即した正確な LIVE情報 をお届けした方が懸命だと思ったからです。
因みに、私は薩長の敵とされた東北出身者です。だからといって、偏見を持っているわけではありませんが、塩梅辛酸騒狸の言動を見ていると、なるほどなあ、あれが専制をほしいままにした長州の遺物かな、と思索を馳せたりする昨今です。
本稿に目を通され上で、現物(本書)をお読みいただければよろしいかと考えます。
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<写真撮影=Atelier秀樹>
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『秀樹杉松』112巻2964号 2020.1.31/ hideki-sansho.hatenablog.com #604