秀樹杉松

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【コロナ在宅】司馬遼太郎『燃えよ剣』を読む。~「新選組副長・土方歳三の苛烈な生涯を描く! 5月22日 映画公開  岡田准一主演、原田眞人監督」(表紙カバーより)~

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司馬遼太郎燃えよ剣(新装版) / 文藝春秋刊  2020.4

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コロナ外出自粛”で遠出は避ける。歩いて10分の書店に出かけ、いつものように新刊書コーナーのぞいたら、司馬遼太郎燃えよ剣がありました。司馬さんの本はある時期よく読みましたが、久しくご無沙汰していました。

 

確か、これは読んだはず」と思ったが、「新装版」とあり、活字が極端に小さく、671ページと分厚い。表紙カバーには「5月22日映画公開 岡田准一主演」とある。外出自粛のいい機会?だから、土方歳三を改めて読んでみようか。、、、小活字にはやや苦労したが、読んでよかったです。

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コロナ休暇”は、読書が趣味の私にとっては、本を大量に読む絶好のチャンスです。普段あまり読書の時間に恵まれない人には、本を手にするいい機会だと思います。日本全国で、いや世界中で、多くの人たちが読書を楽しみながら、コロナとの闘いを繰り広げているでしょう。

 

早朝の散歩、ウォーキング、ジョギングも見られます。「コロナとの闘い」は楽しく、平和裡にしたいものですね。塩梅辛酸は「第3次世界大戦」と呼んでるそうですが、「戦争」はいけません

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新選組、そして組長近藤勇・副長土方歳三は、知らない人はいないほど有名。この小説の主人公は土方歳三です。

作者の司馬遼太郎の「あとがき」(次項)にいう、土方の“おかしさ” “喜劇的” ”悲劇は、読み終えた私も同感です。更に言えば、土方歳三は「スッゴク分かりやすい人」であり、かつ、「よく分からない人」、というのが私の感想です。実際にそうだったのか、司馬さんがそのように描いたのか、、、。

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燃えよ剣あとがき(p.664-665)

 

(前略)土方歳三という男の人生が完結してから、ちょうど百年になる。この男は、幕末という激動期に生きた。新選組という、日本史上にそれ以前もそれ以後にも類のない異様な団体をつくり、活躍させ、いや活躍させすぎ、歴史に無類の爪あとを残しつつ、ただそれだけのためにのみ自分の生命を使い切った。

 

かれはいったい、歴史の中でどういう位置を占めるためにうまれてきたのか

わからない。歳三自身にもわかるまい。ただ懸命に精神を昂揚させ、夢中で生きた。そのおかしさが、この種の男の持つ宿命的なものだろう。その精神は充血すればするほど、喜劇的になり、同時に思い入れの多い悲劇を演じてしまっている。(後略)

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司馬遼太郎 プロフィール(表紙カバーより)

大正12(1923)年、大阪市生まれ。大阪外国語学校(現・大阪大学)蒙古語部卒業。昭和35年、「梟の城」で第42回直木賞受賞。41年、「竜馬がゆく」「国盗り物語」で菊池寛賞受賞。47年、「世に棲む日々」を中心にした作家活動で吉川英治文学賞受賞。51年、日本芸術院恩賜賞受賞。56年、日本芸術院会員。57年、「ひとびとの跫音」で読売文学賞受賞。58年、「歴史私小説の革新」についての功績で朝日賞受賞。59年、「街道をゆく“南蛮のみち1”」で日本文学大賞受賞。62年、「ロシアについて」で読売文学賞受賞。63年、「韃靼疾風録」で大佛次郎賞受賞。平成3年、文化功労者。平成5年、文化勲章受章。平成8(1996)年没。

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何十年ぶりかに司馬遼太郎燃えよ剣』を再読しました。そして、いろいろ新たな勉強になり、考えることもできました。これって、間違いなく “コロナとの闘い”  “コロナ外出自粛” の、思わぬプレゼント。あなたは今、どんな本を読んでいらっしゃいますか?

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写真:Atelier 秀樹

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『秀樹杉松』113巻2989号 2020.4.28/ hideki-sansho.hatenablog.com #629