秀樹杉松

祖父と孫、禾と木、松と杉

宮部みゆき『きたきた捕物帖』を読む。 ~「私がずっと書きたかった捕物帖」(著者)

 

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三島屋変調百物語』の第一期(1~5巻:角川文庫)を読み切ったので、最新刊の宮部みゆき『きたきた捕物帖』(PHP研究所)を一気に読みました。

 

宮部さん自身が「ずっと書きたかった捕物帖」(表紙帯)、流石に面白い傑作です。内容には立ち入りませんが、一つだけ「白状」します。書名の「きたきた」から、捕物がやって「来た来た」とか、「弥次喜多」などを連想していました。つまり「きたきた」の意味が不明でした。

 

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本書には第一話~第四話が収録されていますが、主人公(の一人)らしき「北一」が第一話の冒頭から登場し、第三話に「喜多次」が登場します。そこで、「あれ?キタが二人?」と気づきましたが、そこまででした。

 

本書の最終:第四話のラストシーンは、「北一」と「喜多次」の二人きりとなり、「この捕物帖は、この二人を中心に展開しそうだ」、とやっと気づきました。しかし鈍い私は、これが書名と関係するとは、ちっとも思いませんでした。



ブログ<秀樹杉松>に本書を取り上げるべく、表紙カバーと帯の写真撮影をしました。その時「帯」に「新シリーズ始動!」と大きく書かれ、その下に小さな字で、

 

江戸は深川、二人の「きたさん」が事件を通して成長していく

 

と書かれているのを発見したのです。

 

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「きたきた」北一喜多次であることにやっと気づいたのです。自分の「鈍感・想像力貧困」に呆れるばかりです! 因みに、「キタ一」と「キタ次(二)」の1・2番コンビの今後の活躍を期待します!

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なお、本書の捕物舞台は「本所深川」です。3年前に私は東京都内の37の中小河川を歩き「親川記」(しんせんき)と題して29回、「秀樹杉松」に投稿しました。本書「きたきた捕物帖絵図」には、その時歩いた仙台堀川小名木川・竪川・横川、高橋・新高橋・扇橋・猿江橋・小名木川などが掲載されています。本書を読みながら、3年前の「川歩き」にも思いを馳せました。

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一読をお勧めします。

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『秀樹杉松』115巻3038号 2020.8.8/ hideki-sansho.hatenablog.com #678