<秀樹杉松>の前号(9/3)で、馳星周『四神の旗』を取り上げ、この次は直木賞受賞の『少年と犬』を読むと予告しました。感動の裡に読み終わりましたので、さっそく本号で取り上げます。
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街や神田川・善福寺川などで、愛犬を散歩させている方をよく見かけます。子供の頃は、家で犬・猫・豚・鶏・馬・牛などの動物を飼っていました。今でも覚えているのは「仔犬はとても可愛い」です。しかし、学生時代に新聞配達をちょこっとした時に犬に吠えられ、嫌になってやめました。それ以来「犬は怖い」思いが今日まで続いています。
馳星周『少年と犬』の直木賞受賞を知りながら、同氏の『四神の旗』を先に読んだのは、書名の「犬」にちょっとディスタンスを感じたからかも。しかし『少年と犬』読んでよかった。さすが直木賞受賞作品ですね!直木賞作品でなければ、この本はおそらく敬遠した(他に読みたい本がいっぱいあるから)でしょうから。
「感動」はありふれた表現でしょうが、私には他の表現が思いつきません。まさしく深い感動を覚えたからです。「犬嫌い」「犬は怖い」の私、に与えた影響も否定できないでしょう。
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この小説の内容については書きません。「書いてはならない」「読んでいただくのが一番」と思うからです。しかし、(ストーリーに関係ない)以下に限ってご紹介します。
◉本書の構成
男と犬、泥棒と犬、夫婦と犬、娼婦と犬、老人と犬、少年と犬
◉発行
2020年5月(第一刷)文藝春秋刊 ◉初出誌「オール読物」2017年10月号~2020年1月号
◉「老人と犬」から、本文の一端を紹介します。
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馬鹿げている。犬は犬だ。人ではない。
それでも、弥一は人にとって犬は特別な存在なのだということを理解していた。
人という愚かな種のために、神様だか仏様だかが遣わしてくれた生き物なのだ。
人の心を理解し、人に寄り添ってくれる。こんな動物は他にいない(本書p.234)
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(写真:Atelier秀樹)
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『秀樹杉松』116巻3048号 2020.9.6/ hideki-sansho.hatenablog.com #688