歴史物が好きな私は、半藤一利・保阪正康両氏の本を読みます。私は両氏と同じ1930年代生まれの同世代なので、歴史の共有感を覚えるからです。そして何よりも、昭和史関係では群を抜いた著作があるからです。
半藤一利さんの訃報に接し、書店に出かけて『日本のいちばん長い日』決定版を購入して読みました。
実は『日本のいちばん長い日』だけは読んでいなかったからです。本書は56年前に刊行され、長い間読まれ(映画化も)てきた名著です。
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1965年に<大宅壮一編>で文藝春秋新社から、そして30年後の1995年に「決定版」<半藤一利著>として文藝春秋から刊行されました。私が先日書店で見つけたのは、「決定版」の文春文庫版(2006年刊)の28刷(本年1月刊)でした。
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この辺の事情は、文春文庫版の「あとがき」(1995/5/21)に、以下のように書かれています。
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「ちょうど三十年前のいまごろ、毎朝四時に起きて原稿用紙をしこしことうめた。当時は月刊誌「文藝春秋」編集部次長の職にあったから、社務はかなりきびしかった。…わたくしはこの本を…1965年の夏に書き上げた」
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「当時はいろいろな事情から、大宅壮一編と当代一のジャーナリストの名を冠して刊行された。…こんど決定版として再刊行するにさいし、社を退いて物書きとして一本立ちした記念にと、亡き大宅先生の夫人大宅昌さんのお許しに甘えて、わたくし名儀に戻させていただいた」
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「最初の刊行が三十年前のことゆえ幾つかの誤りがあったことは否めない。…それらをすべて正し、新しい事実も加えた決定版をだすにさいして、名儀者としての責任は明らかにしておかねばならないと思ったゆえもある」
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本書の<序>(昭和四十年七月・大宅壮一:実際の筆者は半藤一利?)には、次のように書かれています。
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「文藝春秋の<戦史研究会>の人々が『日本のいちばん長い日』を企画し、手に入る限りの事実を収集し、これを構成した。いわばこれは”二十四時間の維新”である。しかもそれは主として国民大衆の目のとどかないところでおこわれた」
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「…本書は単に「終戦の日」の思い出ばなしを羅列したものではない。今まで埋もれていた資料をもとに、日本人の精神構造を主題にして構成した、二十四幕の”長編ドラマ”なのである」
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本書は、終戦前日の1945年8月14日正午から、天皇陛下の玉音放送が始まる8月15日正午までの24時間を再現したものです。よくもここまで調べ上げた(文藝春秋戦史研究会)ものだと驚きます。そして、これを文章にまとめた半藤一利の筆力もすごいですね!
三船敏郎主演や役所広司主演で映画化もされている。私は確か、三船主演のものを観たように覚えています。本書(文春文庫版)表紙帯の「大ベストセラー」「不朽の名作」は、全くその通りです。長年愛読されてきた名著『日本のいちばん長い日』(決定版)、未読の方にお薦めいたします。そして、著者の半藤一利さんを追悼しょうではありませんか。
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写真:Atelier秀樹
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『秀樹杉松』120巻3728号 2021.2.4/ hideki-sansho.hatenablog.com #768