秀樹杉松

祖父と孫、禾と木、松と杉

立春、”春一番” ~「 春はあけぼの」 / 清少納言『枕草子』

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東北の寒村に生まれた自分は、ズーズー弁で育った。小学校(当時は国民学校初等科)で標準語に接したのが最初の、中学校に進学して英語に遭遇したのが第二の、日本の古典・古文を学んだのが第三の、「カルチャーショック」でした。

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ショックというより、新しい言葉・文章・文学を知った喜びだった。

中でも英語には熱中し、単語や文法を貪るように覚えました。高校ではさらに英語に熱中し、校内はもとより県下の学力テストでトップ。近辺3県の合同学力コンクールで2位(トップと1点差)。それほど、英語が好きで猛勉強したのでした。

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中学校や高校で日本の古典・古文に出会った時の感動は、今でも忘れません。源氏物語紫式部)はよく分からなかったが、古典三大随筆と言われる枕草子清少納言)・方丈記鴨長明)・徒然草吉田兼好=兼好法師)の勉強は楽しく、「春はあけぼの」(枕草子)、「ゆく河の流れは絶えずして」(方丈記)、「つれづれなるまゝに、日くらし硯に向かひて」(徒然草)を、得意になって暗唱したものでした。

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<春>

さて、立春が過ぎ、早くも”春一番”も吹き、(暦の上での)春がやって来ました。四季それぞれの好さがありますが、「春」は格別に親しみを感じます。人生も「青春」時代が華ですね!

因みに『学研漢和大字典』には、春の字の本義(解字)が次のように出ています。

はもと草かんむり+音符」の会意兼形声文字で、地中に陽気がこもり、草木がはえ出る季節を示す。

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<春はあけぼの(枕草子)>

春といえばやはり『枕草子』の出だしでしょうか。

春はあけぼの、やうやう白くなりゆく山際、少し明かりて、紫だちたる雲の細くたなびきたる。

現代語訳

春は、あけぼの(夜明け前)(がいい=趣がある)。だんだん白くなってゆく山際の空が、少し明るくなって、紫がかった雲が、細くたなびいている(のがいい)。

【注】

ネット情報によると、「山際」で切れないで「山際」から始まる表記もありました。

春はあけぼの。やうやう白くなりゆく、山際少し明かりて、紫だちたる雲の細くたなびきたる。

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清少納言

平安時代中期の女流作家。随筆『枕草子』は平安文学の代表作の一つ。本名は清原諾子。

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<大納言/中納言/少納言

私は気になってませんでしたが、「なぜ、小納言ではなく、少納言なのか」との質問が、<Y!知恵袋>に寄せられており、模範回答にはこうあります。

律令制の官職では、大・中・少が使われる

大納言は「おほいものまうすつかさ」

中納言は「なかのものまうすつかさ」or「すけのものまうすつかさ」

少納言は「すない(すくない)ものまうすつかさ」

(注1)

ものまうすつかさ=もの申す司=納言=言を納める=下の言葉を上に奏上し、上の言葉を下に伝える、という意味で、言葉のパイプ役を務める職

(注2)

官職名では「大・少=おおい・すくない」で、「大・小=おおきい・ちいさい」ではない。だから、「小納言」ではなく「少納言」。

◉そういえば軍隊でも、少尉・少佐・少将ですね。

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<冬はつとめて>

枕草子の「春はあけぼの」「夏は夜」「秋は夕暮れ」の次は、「冬はつとめて」です。「つとめて」ってなんだろう?と調べたら、(つと) だとわかりました。

(しゅく) 

、あした、朝早く ②(つと)に。③まだき、早い時点・時期

 

◉つまり、「冬はつとめて」は「冬は朝(早朝)」だとわかりました。これで思い出しました。中学生の時に、新任の若い女教師のお名前が〇〇夙(しゅく)先生でした。

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春一番

春先に吹く南寄りの強風。認定基準があり、認定されない年もある。なので、「春一番」と聞けば、なんか春がやって来たようで嬉しくもなります。

 

ところが今回調べて、次のような由来があるのを知ってびっくりしました。

安政6年2月13日(1859年3月17日)、長崎県郷ノ浦町(現・壱岐市)の漁師が出漁中、折からの強風によって船が転覆し、53人の死者を出して以降、漁師らがこの強い南風を「春一」または春一番と呼ぶようになったWikipedia)。

 

 

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写真:Atelier秀樹

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『秀樹杉松』120巻3729号 2021.2.6/ hideki-sansho.hatenablog.com #769