秀樹杉松

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川上未映子『夏物語』を読む ~私には難しいテーマ・内容でしたが、なんとか読み切りました。

 

近くの書店を覗いて、川上未映子さんの小説『夏物語』に出会いました。651ページの分厚い文庫本で、8月10日発行の最新刊でした。(単行本は1年前に出たようですが)

 

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   川上未映子『夏物語』 / 文藝春秋 (文春文庫 2021.8.10)

 

著者の「川上未映子」さんは、知ってはいたが読んだことはない。『夏物語』のカバーには「世界が絶賛する最高傑作!」と大きな活字が踊っている。そして、「米TIME誌 ベスト10」「米ニューヨーク・タイムズ 必読100冊」「米国図書館協会 ベストフィクション」、とも書かれている。

 

書名の『夏物語』だけでは主題・テーマがわからないが、アメリカについて書かれた本かも知れない。それだけだったら、1000円も払って買うこともないかと思いつつ、念のためカバーの「著者紹介」を見た。

早稲田大学坪内逍遥大賞奨励賞、芥川賞中原中也賞芸術選奨文部科学大臣新人賞、紫式部文学賞高見順賞、谷崎潤一郎賞渡辺淳一文学賞など、年齢は44歳ぐらいのようなのに、錚々たる受賞歴に輝いている。

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この『夏物語』は、上記の米国TIME誌・N.Y.Times・米図書館協会に加えて、日本でも第73回毎日出版文化賞 文学・芸術部門(2019年)も受賞していることが判明。「ここまで見せられたら、読まない訳にはいかないか」と、小説のテーマ・主題を確認せぬまま購入。しかし「買って読んでよかった」。

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読み出したらやはり、私には難しそうだ。自分の知らない世界・考えたこともないテーマが示唆される。「俺の読む本ではないかな」と困惑。何しろ、新聞や普通の小説には出てこないような、単語や表現が堂々と出てくる。とても付いて行けそうにない。これって、自分が「遅れている」のか、それとも作者が「進んでいる」のか?

 

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だが読み出した限り、読み切ることが著者への礼儀だと読み進んだ。そして次第に、カバーに記された「世界が絶賛する最高傑作!」は オーバーではないかも、という気持ちも出てきました。

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読み終わって、ブログ『秀樹杉松』で取り上げようと、作者の川上未映子さんについてネット情報で調べてみたら、あるわあるわたくさん出てきました。海外進出に際し、アメリカの文芸エージェントと契約していること。『夏物語』の英訳版『Breasts and Eggs』が、2020年4月にアメリカで出版され、続いてイギリス、ドイツ、イタリアでも刊行されたこと。「世界が絶賛する最高傑作」というキャッチコピーは、なるほどこういうことか。

 

他にも、文学には直接関係ないが、「美人で椎名林檎に似ている」とか「生い立ちが複雑」など、、、。「椎名林檎」さんの名前は聞いたことはあるが、よくは知らないので今調べたら、「シンガーソングライター」で、平成20年度芸術選奨新人賞受賞、東京五輪の「4式典総合プランニングチーム」に選出、と出てきました。

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さて、この辺で先に進みます。本書の内容・テーマにはいっさい触れません。私にはとても手に負えない、苦手の分野だからです。登場人物などを少し紹介します。

主人公は「夏目夏子」

=小説を書こうと決めて、20歳ごろ上京。13年後33歳で小さな文学賞を受賞して、小説家としてデビュー。親戚は、夏子の姉巻子とその娘緑子。夏子の父は失踪、母はシングルマザーで働き倒しで病死。このほか、夏子のバイト仲間、出版社の編集者などが登場する。

 

あなたもぜひお読みになってください。それだけの価値がありそうな小説です。

 

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写真:Atelier 秀樹

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『秀樹杉松』124巻3814号 2021.8.16/ hideki-sansho.hatenablog.com #854