東野圭吾の小説『白夜行』と『流星の絆』を読む
東野圭吾さんの『白鳥とコウモリ』を読んで感動した(本ブログ9/24号)ので、『白夜行』と『流星の絆』も読みました。
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『白夜行』は860ページの長編で、時間をかけてやっと読み切りましたが、正直言って(私には)難しく、持て余し気味でした。「俺の読むような小説ではなかったかな?」が、最大の読後感です。
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巻末には馳星周さん(作家)の解説が載っています。以下は、その解説からの引用です。
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○彼(東野圭吾)は正真正銘のトリックスターだ。(p.856)
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<註>
ノワール・・・フランス語で黒という意味。暗黒小説。ロマン・ノワール(roman noir)の訳語
トリックスター・・・神話や物語の中で、神や自然界の秩序を破り、物語を展開する者。、、、善と悪、破壊と建設、賢者と愚者など、異なる二面性を持つのが特徴。
~ 以上 ウィキペディア (ja.m.wikipedia.org)より
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○東野圭吾はいつか暗い ー ダークな小説を書くだろうとは思っていた。それが『白夜行』だったのだ(本書p.857)
○人間の心の暗い側面、邪(よこしま)な断面を描くのがノワールだ。(p.857)
○人間の暗い側面、邪な断面、人間のそうした性質を助長する矛盾した世界。それを描くのがノワールだと定義したならば、『白夜行』はもはや、ノワール以外の何ものでもない。(p.858)
○『白夜行』の構成は複雑巧緻だ。雑誌連載時に連作短編として発表した個々の物語を巧みに結びつけ、融合させ、独立した一篇の長編に仕立て上げる技巧は東野圭吾独自のものだ。(p.858)
○私はノワールとして読んだが、そうでない物語として読む者もいるだろう。いざれにせよ、重要なことはただひとつ。『白夜行』は傑作だ ー これに尽きる。(p.860)
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以上引用紹介した作家馳星周さんの解説で、『白夜行』がどんな小説か大体お分かりかと思いますが、それ故にこそ、私には難しいというか、馴染めない感じの小説でした。(もちろんあくまで、こういう小説に初めて出会った私の感想にすぎません)
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②『流星の絆』(りゅうせいのきずな) / (講談社文庫 2011)
「流星の絆」という書名に惹かれて読んだが、この小説には違和感は全くなく、面白く楽しく読み切りました。「読んでよかった!」です。推理小説なので物語の内容には触れません。ただ、どうしてこういう書名なのかに関心がありました。功一・泰輔・静奈の三兄妹が主人公ですが、次の文章に示唆されています。
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……次々と流星が漆黒の天上を駆けめぐった。わあ、と静奈が声をあげた。泰輔は無言だった。あまりの美しさに声を出せなかったのだ。なぜか涙が出た。
「なあ」功一がいった。「俺たちって、流れ星みたいだな」
意味がわからず泰輔が黙っていると、彼は続けた。
「あてもなく飛ぶしかなくって、どこで燃え尽きるかわからない。だけどさ ー 」功一は一呼吸置いてからいった。「俺たち三人は繋がっている。いつだって絆で結ばれてる。だから、何もこわがるな」(本書p.88)
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間違いなく、感動をもたらす名作です。一読をおすすめします!
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写真:Atelier 秀樹
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『秀樹杉松』125巻3828号 2021.10.2/ hideki-sansho.hatenablog.com #868