○ブログ『秀樹杉松』は本号でNo.962となります。執筆投稿者としては、どの程度・どんな号が読まれているか多少気になりますが、幸いなことにブログ投稿者にわかる「アクセス解析」が用意されています。
○その「アクセス解析」によると、よく読まれていると思われる号の一つに、「『女遊坂』と『女遊部』/『女遊戸』」(No.837=2021.6.30)があります。見出しタイトルの「女遊」が注目されるからでしょうか。
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○私は坂の研究をしており、その成果を「坂研究メモ」(No.1~24)と題して、本ブログ『秀樹杉松』に執筆投稿しています。件のNo.837(「女遊坂」と「女遊部」/「女遊戸」)は、「坂研究メモ」No.15(2021.6.30)ですが、これに続く2号も含めた合計3号を使って「女遊坂」を取り上げています。
○実を申せば、岩手県の坂を調査研究している過程で「女遊坂」という特異な坂名を発見し、詳しく調べようと翌日ネットで検索したら出てこなかったのです。”一日で消えてしまう”筈はないので、三日間考えた結果、消えたのではなく、探し方が間違っていることに気づきました。
○つまり、前日に「女遊坂」を発見したのは、国立国会図書館蔵書の『南部叢書』第一冊「奥々風土記」の巻五:閉伊郡 からでした。ディジタル化されているので、自宅のパソコンで検索したのでした。
○ところが、翌日改めて検索したら”出てこない”のでビックリしたのです。出てこなかったのは、パソコンでネット検索したからで、国立国会図書館の蔵書検索システムで検索したらチャンと出てきました。(この辺の事情経緯は、既に『秀樹杉松』に投稿済みです)
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ですが念のため、以下若干書き添えます。
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○「女遊坂」の「女遊」を、私も最初は ”女遊び” かと思ってビックリしたのでした。
○「女遊部」や「女遊戸」はアイヌ語の「オナツヘ」「オナツベ」「オナッペ」etc.で、発音の「オナ」に日本語の「女」を当てたものと思われます(女をオナゴといいますね)。
したがって、現代の「女遊」(女遊び、遊び女)とは、全く関係がないのです。
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○オナツヘ・オナツベ・オナツペ(女遊部)の語源はアイヌ語で「オ、ナツ、ぺ」に由来し、「川口の・乾く・川」の意味の 苗字で(myoji-yurai.net)で、岩手県釜石市や宮古市に地名が見られる。釜石市両石町に「女遊部」という集落がある(rover.seesaa.net)。
○オナツベ(女遊戸)を調べたら、岩手県宮古市内のバス停が出てきました。その辺の地名でしょう。それにとどまらず、宮古市には「女遊戸海水浴場」(環境省選定の海水浴場百選の一つ)があることもわかりました。やはり「女遊戸」は宮古市内の地名ですね。
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同じ岩手県なのに、三陸鉄道のトンネルを、釜石市側は「女遊部トンネル」と呼び、宮古市側は「女遊戸トンネル」と呼ぶようです(ameblo.jp)。アイヌ語のヘ・ベ・ペに釜石市は「部」を、宮古氏は「戸」を当てるからです。(註:部屋=ヘヤ、時津風部屋=トキツカゼベヤ、八戸=ハチノへ、神戸=コウベのように、部・戸はどちらもヘ、べと読みますね)
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○因みに、『南部叢書』には「女遊坂」と書かれていますが、『岩手三陸・近世浜街道を往く』(kinsei-iwate-hamakaidou.jp)では、「女遊戸坂」(ヲナツヘさか)となっています。これってもしかしたら、「女遊坂」ではなく「女遊戸坂」が正解かも、の気持ちになります(女遊戸の坂)。
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~以上の詳細は、本ブログ『秀樹杉松』のNo.837,838,840(「坂研究メモ No.15~17)に詳細に書いてあります。
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写真:Atelier秀樹
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『秀樹杉松』130巻3922号 2022.5.2/ hideki-sansho.hatenablog.com No.962