秀樹杉松

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泣くな!シューベルト(1797-1828)~悲運・薄命の天才作曲家

 

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 村田千尋シューベルト〜作曲家◎人と作品シリーズ

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  シューベルト交響曲第5番 / 第8番《未完成》CD〜THE GREAT Composers

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これまでバッハ、シューマンメンデルスゾーン、ヴィヴァルディを取り上げましたが、今回のシューベルトで終了します。シューベルトの生年1797に因んで、「泣くなシューベルト」と覚えています。病気などによって苦悩し、薄命に終わった天才作曲家。さぞ無念であっただろうと思います。泣くなシューベルト

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シューベルト交響曲は長年にわたって1番から10番とされてきましたが、近年、1番から8番までに整理されたようです。小生所有のクラシック音楽関係本でも、以下のように変遷が見られます。

交響曲 第1番~第10番 ~『クラシック音楽作品名辞典』(三省堂 1994)

交響曲 第1番~第8番 ~『クラシック音楽作品名辞典』(三省堂 第3版 2009)

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村田千尋シューベルト作曲家◎人と作品シリーズ(音楽之友社2004) p.195

 

従来、交響曲番号が混乱していた理由は、《ザ・グレイト》と《ガスタイン交響曲》の関係をどう考えるか、ヴァインガルトナーが補作出版したD729に「第7番」という番号を与えるかという点によっている。

 

シューベルトが完成させたものだけに限定してはどうだろうか。もちろん、D729に今後も演奏機会が与えられることは望ましいが、番号を与えるべきではない。しかし、《未完成》D759については、「シュタイアーマルク音楽協会名誉会員推挙への返礼作品として提出」という事実を重視したい。

 

結果としては「未完」に終わってしまったが、シューベルトはこれを完成作品に準じるものとして扱い、新たな意気込みをもって世に送り出たのであるから。したがって、《未完成》を「第7番」と呼ぶことにしたい。そして、《ザ・グレイト》・《ガスタイン交響曲》同一説をとり、これを「第8番」、一般的な言い方をするならば、第8番《ザ・グレイト》とするのがよいのではないだろうか。

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『クラシック名曲ガイド』1 交響曲音楽之友社1994) p.26~27

 

シューベルト交響曲

1978年に出た国際シューベルト協会編の<作品目録改訂版>では、不完全な「第7番ホ長調D729」と、そもそもの存在が疑問視されてきた「幻の傑作」をはずし、「未完成交響曲」は二楽章ながら、ひとつの完成した作品と捉えて、成立年順に配列し直し、これを決定版としている。

 

ここで晴れて<未完成>は「第7番」、ハ長調交響曲は「8番」となったのである。「幻」の<ガシュタイン>も、「第8番ハ長調」と同じ曲か、またはその前身ではなかったのかとされた。作曲者のシューベルトとしてみれば、放棄した曲や手紙の一節で後世の人間がこれほど苦労するとは、思ってもみなかっただろう。(渡辺和彦)

 

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写真 / Atelier秀樹

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『秀樹杉松』132巻3979号 2022.8.22/ hideki-sansho.hatenablog.com #1019