秀樹杉松

祖父と孫、禾と木、松と杉

自分史 Review 9)「青春の追憶  第三章  真理と自由の館 ~真理の青春~(上)

 

民主主義の殿堂 国会議事堂/真理と自由の館 国立国会図書館

真理と自由の館 国立国会図書館

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<編集註記> 

 ○以下に投稿する「自分史Review(9)真理と自由の館~真理の青春(抄)」は、15年前の2007年に執筆したものです。書いたのは15年前ですが、書かれた対象の時代は終戦(1945)からわずか10年後の1955年なので、今(2022年)から数えると、何と67年前のことです。

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 ○平成19年(2007年)4月29日の「春の叙勲」で、「瑞宝小綬章を受賞しました。先般の叙勲は国立国会図書館司書」としての活動が、「国家・公共に対して功労がある者」(春秋叙勲) と認められたからのようです。

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 ○この際、国立国会図書館(National Diet Library=NDL)について、若干書きとめたいと思います。仕事一筋に精魂を傾けた図書館生活の中から、書いておきたいこと、書いても良いだろうと思われること、をメモしてみました。

 

 ○冒頭で「国立国会図書館司書」と書きましたが、この場合の肩書は官名であり、「資格としての司書」ではありません国立国会図書館司書·調査員·参事の三つの官名の職員で構成されています。

 

 ○司書部門の官名が「国立国会図書館司書」、調査部門は「同調査員」、事務部門は「同参事」です。したがって例えば、人事異動で総務部から閲覧部へ異動すると、「参事」から「司書」へと官名がかわる、というシステムです。

 

 ○資格としての「司書」は、図書館法(昭和25年4月30法律第118)という法律で規定されています。昔なら「図書館職員養成所」、戦後は「図書館短期大学」、さらに「図書館情報大学」の卒業生に「司書」の資格が与えられました。

 

 ○図書館情報大学筑波大学に合併したので、今は筑波大学図書館情報学がそれに該当し、一般の大学でも「図書館情報学コース」修了者には「司書」の資格が与えられます。就職してから、大学の夜間や夏期講習で資格を取る人もいるようです。

 

 ○小生は、『図書館法』にいう「司書」の資格はもっておりません。NDLは司書の資格を持っていなくても受験でき、受かれば採用してくれからです。広く人材を求めるためなそうです。上述のように、司書業務の他に、調査員・参事の仕事もあるからです。これは、NDLと他の図書館の大きな違いです。

 

 ○そのかわり、入館してから厳しい司書業務の研修を受けます。小生たちより以前は、この司書研修修了者にも「司書」資格を与えたそうです。司書研修を受け、実務で司書業務を経験するので、図書館員としての実力は確かでです。

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<第1節>国立国会図書館とは?

 

国立国会図書館の選択

 

 ○何だ、図書館か、、、」と父をして落胆させたらしい図書館。当時(昭和30年=1955年)の田舎には、生活に関係した役場、学校、郵便局、駐在所などがあり、人の命に関わる病院があった。図書館は存在しなかったので、「図書館」の言葉も聞いたことのない村民が普通だったと思います。

 

 ○△△省などの「役人」、大会社の「会社員」、あるいは学校の「先生」、、、そんなことでも、父は期待していたのでしょう。まさか息子が”図書館に就職しようとは、全く予想してなかったと思います。父や10歳上の兄はもしかして、「図書館」は聞いたことがあるかもしれないが、他は「図書館って何?」だったでしょう。

 

 ○「国会図書館」といえば、議事堂の中にある“小さな図書室”で、議員さん達が新聞や雑誌を見たりする所、ぐらいに思ったに違いない。また、国会に置かれる「国立国会図書館」とは別に、文部省設置の「国立図書館」が存在する、、、とも。

 

 

 ○「それは良かった、おめでとう!」の言葉を、父の口から聞くことはなかった。「せっかく東京へ出して大学入れたのに、、、」。父はきっと、小生の「図書館に就職」にガッカリしたのだと思います。

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 ○しかし小生にとっては国立国会図書館は当然の選択であり「理想の職業·職場」であったのです。本当なら、その辺のことを父によく説明し、国立国会図書館がどれだけ大切で、重要な国の機関であるか、分かって貰う努力をすべきだったのかも知れません。

 

 ○本稿の見出し「真理と自由の館(ヤカタ)」は、国立国会図書館法」前文に謳われる設立宣言「真理が我らを自由にする」の名文からとったものです。

 

 ○先の『子供の頃の思い出』で強調したように、子供時代に戦時・戦後を共に経験した小生の信条は「平和と民主主義」に尽きます。だから、普通の役所や会社などに勤める気にはなれなかった。つまり、利潤追求や偉そうな仕事よりも、「理想と夢のある仕事に就きたかったのです。

 

 ○だが実際には、そんな職場があろう筈もないと思ってましたが、それに近いのを発見したのでした。それこそが、反戦·平和の理想の旗を高く掲げた「新憲法と軌を一に誕生した国立国会図書館であったのです。こんな難しい話を父にしても、理解して貰えたかどうか。

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国立国会図書館の理想 ~崇高な目的と使命~

 

 ○国立国会図書館は、戦後(昭和23)に誕生した、新しい国の機関です。

国立国会図書館法」の前文に、次のように設立の目的と使命が掲げられている。

国立国会図書館は、真理が我らを自由にするという確信に立って、憲法の制約する日本の民主化と世界平和に寄与することを使命として、ここに設立される」

 

 ○「これだ!」と小生は叫んだ。“平和と民主主義”の理想に燃える青年で、この設立目的に心を打たれない人はいないだろう。東大法学部を首席で卒業した○○氏が、行政官庁を一顧だにせずに、国立国会図書館を選択した話は余りにも有名です。

 

 ○設立の第一目的は「真理がわれらを自由にするという確信に立って」いることです。第二のお目的は、憲法と一体のもので憲法の誓約する日本の民主化と世界平和に寄与することを使命」としていることです。因みに「真理がわれらを自由にする」は、新約聖書の「真理はあなたたちを自由にする」に由来するそうです。

 

 ○戦時中は、議員や国民が真理(真実)から眼を閉ざされて自由を失い、不幸な戦争に巻き込まれたとの反省から、国会議員の自由な調査研究及び国民が真理真実を知るのに不可欠の施設機関として図書館を位置づけているのです。

 

 ○国立国会図書館は通常「国会図書館」と略称されます。「国立」に意味があるので、正確さを欠く呼び方ですが、略称だと思えば致し方ないでしょう。対外的には Natinal Diet Library(NDL)。

 

 ○diet(ダイエット)は「食事制限」でも知られますが、日本・デンマークなどの「国会」the Dietと呼びます。因みに、英国・カナダの国会はParliament,、米国の議会はCongressと呼ばれます。NDLがモデルとした米国の議会図書館は、Library of Congress(LC)。(ちょっと紛らわしいですね!)

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国立国会図書館の設置  

 

 ○昭和20年(1945年)8月15日の敗戦により、日本は新しい民主・平和国家として再起すべく、1年後の昭和21年11月3日に新憲法が公布され、翌22年5月3日に施行されました。これにより明治憲法下の帝国議会から、新憲法による国権の最高機関たる「国会」が生まました。

 

 ○新憲法に示された我が国の新しい進路に適合し、新日本建設の基礎となるような図書館が必要だとの声が高まった。さらに、国権の最高機関にふさわしく、国政審議に遺漏のない、強力な調査機能を備えた国会図書館の設置が必要となったのです。

 

 ○「国会法」第30条において「議員の調査研究に資するため、国会に国会図書館を置く国会図書館は一般にこれを利用させることができる。」と規定されました。

 

 ○当時の国会議員や図書館関係者は、国会図書館の設立こそは、民主主義政治の促進と文化的日本の建設の礎石となることを信じ、その設立に最大の情熱を傾けたのです。

 

 ○こうした経緯の上に立って、国立国会図書館法(昭和23年法律第5号)により、1948年(昭和23年)2月25日に、国立国会図書館が発足したのでした。初代館長には憲法学者で新憲法制定時の憲法担当大臣だった金森徳次郎氏が迎えられ、同年6月5日、赤坂離宮を仮庁舎として正式に開館に漕ぎ着けました。

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国立国会図書館 (NDL)の誕生

 

 ○「国立国会図書館法」が昭和23年(1948年)2月に公布施行され,、国立国会図書館が誕生しました。この「国立国会図書館法」の前文が、既に紹介した格調高い真理がわれらを自由にする云々です。羽仁五郎参議院図書館運営委員長が本会議で行った説明を引用します。

真理がわれらを自由にする。これが国立国会図書館法案の全体を貫いている根本精神である。今日のわが国民の悲惨な現状は、従来の政治が真理に基づかず虚偽に基づいていたからである。(略)人民主権によって選挙せられた国会の任務を果たして行くため、その確かなる立法の基礎となる調査機関を完備しなければならない。

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「国権の最高機関」国会の役割

 

 ○明治憲法下では、主権は天皇にあったが、新憲法では国民が主権者になりまし天皇主権から国民主権に)。つまり、国民が主人公の「民主政治」へと、大転換したのでした。因みに民主政治では、主権者である国民が一番偉い

 

 ○主権者国民の選挙で、国会議員が選ばれます。だから、主権者によって選ばれた国会議員は二番目に偉い、ことになります。議員が集まって大事なことを話し合ったり、法律や予算などを決めるところが「国会」なのです。

 

 ○その国会が総理大臣を決めるので、内閣総理大臣は三番目に偉いというのが、民主政治の仕組みでしょう。この論法は、大学で政治学を学んだ小生独自の解釈ですが、「国会議員奮起せよ」「総理大臣イバルな」を示唆した表現です。

 

 ○「天皇主権」がなくなり、国の権力は立法(国会)、行政(政府)、司法(最高裁判所)の三権分立となったのです。そして、立法府国会が「国権の最高機関と規定されました。”一番偉い”主権者=国民が選んだ代表(国会議員)で構成されているから。

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国立国会図書館の役割、使命

 

 ○国会が国民の負託に応えて「国権の最高機関」にふさわしい役割を果たすためには、議員が自由に調査研究できる体制が保証されなければなりません。この要請と期待に応えて、調査に必要な資料文献を収集所蔵し、優秀なスタッフを擁する国立図書館として国会に置かれたのが、国立国会図書館なのです。

 

 ○館法前文に「真理がわれらを自由にする」とか、「日本の民主化と世界平和に寄与する」などの高邁な理想が謳われているのは、憲法同様に反戦平和” ”民主主義への熱い思いや願が込められているからです。小生はそこに生き甲斐と働きがいを感じ、職場として選択したのでした。

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霞ヶ関(行政府)と永田町立法府

 

 ○日本は“官僚国家”といわれるほど、官僚すなわち国家公務員が隠然たる力をもち、国策決定や行政面で大きな役割を果たしています。行政府は霞ヶ関に集中しているので、霞ヶ関=官僚のイメージが一般的。

 

 ○これに対し国会立法府は永田町にあるので、永田町国会と言われます。行政改革などでは官僚が抵抗するのことが多いので、永田町(議員) 霞ヶ関(官僚)のバトルと呼ばれる場合もあります。

 

 ○だが、ここで見落としてならないことは、永田町」には国会議員だけでなく、立法府の官僚たる国会職員衆議院参議院国立国会図書館もいるという事実です。ともすれば、霞ヶ関の官僚ばかりが注目を集め、官僚は霞ヶ関にしか居ない、と思わされている面もあるが、それは全く違うのです。

 

 ○永田町の国会にも優秀な官僚(国会職員)が揃っており、彼らが国会議員をしっかりと支えているからこそ、国会議員は大きな顔ができるし、霞ヶ関とも対峙できるのです。小生も、永田町官僚の一人でした。

 

 ○国会三機関の国家公務員は国会職員とも呼ばれる。行政府とちがい、政府与党の国会議員だけでなく野党の国会議員もここにはいます。与野党で構成される国会は、国民の声をより多く反映しています。

 

 ○国会には、文字どおり国民の代表が集ってます。行政府の官僚は「一般職国家公務員」だが、立法府と司法府の官僚は「特別職国家公務員」と規定されています。因みに、内閣総理大臣国務大臣・大使などのエライ高官、さらに防衛庁職員・国会議員秘書・総理秘書官なども「特別職国家公務員」です。

 

 ○国会職員と裁判所職員は、行政府職員に較べてより高い倫理性と中立性が求められ、固い守秘義務も課せられています。国会職員の場合は、「国家公務員法」と「国会職員法」の適用を受けています。

 

 ○同じ役所でも、霞ヶ関永田町では違うことも少なくない。その一つは、組織機構の名称が異なることだ。行政府は大臣の下の機構は局-課編成だが、立法府部-課が基本。(法制局、調査局だけが例外)。つまり、「永田町の部長」は「霞ヶ関の局長」と同格なのです。

 

 ○NDLも創立当初は「局」制だったが、衆議院参議院に歩調を合わせて、半年後に「部」制に切り替えました。これを知らずに、局長は部長の上だと思いこむと、霞ヶ関の役人が永田町の役人より偉い誤解することになるのです。

 

 ○役所というものは、違いを出すようにできているようで、同じ国会でも、衆議院参議院で別の言い方をしたりします。例えば「会議を開きます」と「開会します」、「第一委員室」と「第一委員会室」など、微妙な相違がある。

 

 ○因みに、お隣中国では外務省のことを「外交部」、外務大臣を「外交部長」と呼ぶ。つまり、部長が一番偉く局長の上だ。このように、職名だけでポストの上下は判断できないのです。

 

 ○今回小生が「叙勲」を受けて分かったことですが、新聞発表の氏名に冠せられる肩書(職名)が、霞ヶ関と永田町で異なります。行政府にあっては、「元○省△局×課長」だが、小生は「元国立国会図書館司書」だけでした。国会(立法府)関係はその方式で統一されているのです。立法府は「官名」に留めているが、行政府は「職名=肩書き」。(例えば「元衆議院事務局参事」と「元外務省○局▽課長」)

 

 ○以上いろいろな角度から永田町(国会)と霞ヶ関(行政府)を観てきたが、永田町の官僚もちゃんと見て欲しいからである。“霞ヶ関永田町”の構図を単に「官僚政治家」の視点だけでなく、霞ヶ関官僚永田町官僚」ないしは行政職員国会職員」の観点でも見て貰いたいものです。

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国立図書館国会図書館

 

 ○国立国会図書館の特色の一つは国会に置かれた国立図書館であること、もう一つは国立図書館国会図書館の両機能を併せ持っているので、名称の「国立国会」には意味がある。国会に国立図書館を置いたのは、米国の議会図書館(LC)に倣った面もあるが、国会の調査機能の強化を目指したNDL設立の理念と目的から必要であったのです。

 

 ○我が国には、国の図書館として帝国図書館が上野にあった。文部省に所属し、政府の国策のもとで戦争に協力させられるなどの苦い経験もあったそうです。帝国図書館長のポストは社会的には高かったが、文部省の局長より低かったようです。

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国立国会図書館の源流

 

 ○国立国会図書館の源流は、前項に記した国立図書館たる帝国図書館と議会図書館たる貴族院図書館」「衆議院図書館」に求められる。(両院共用の議会図書館設立の努力も行われたが、実現には至らなかった)。

 

 ○昭和23年の国立国会図書館設立により、帝国図書館支部上野図書館に、両院図書館はまとめて「国会分館」となった。旧赤坂離宮赤坂本館が、三宅坂三宅坂分室が開設された。現在の本館が永田町に新設され、第一期工事の完成に伴い、昭和36年に赤坂、上野、三宅坂の三地区が、永田町新館に移転統合

 

 ○国立図書館国会図書館の両機能を併せ持っているので、「国立国会」は煩わしいが安易に「国会」とだけ呼ぶわけにも行かない面がある。「コクリツコッカイトショカン」は発音も堅苦しく冗長な感じもあるが、正式名称としては致し方ない。

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国会に設置したねらい

 

 ○館法に掲げる高度な使命や機能を果たすためには、時の政府、政治権力から独立させる必要があった。、そのためには、文部省から完全に切り離し主権者たる国民の代表(与野党)で構成される国会に置く、のが賢明であると考えられたのです。

 

 ○もう一つは、国立図書館を国会に置いて豊富な資料・文献を収集整備し、もって国会議員の国政審議に必要な調査研究に資する体制を保証しようとしたのです。

 

 ○さらに、長い間文部大臣の下にあった館長のポストを国務大臣待遇とし、その権限と責任を格段に強化した。国立国会図書館長が文部大臣と同格になり、NDLが文部省と同格の役所になった。立法府に所属させてNDLの立法調査機能を高め、国立図書館としての発展の道も拡がったのです。

 

 ○小生がNDLを職場に選択し、情熱を込めて働き通したのも、この高い理想に共鳴したからであり、憲法と一体の新生の役所で働くのを喜びと感じたからです。多くのNDL職員は、使命感に燃えて仕事をしており、こうした自覚と奮闘によって国会は支えられ、日本の図書館界も発展しているのです!

 

 ○以上ルル書いてきたことは、相当に難しい内容です。だから、父や兄弟達に雑談的に短時間で語ることは容易ではなかった。今から思えば、ちゃんと説明すべきだったかも知れません。以上遅蒔きながら、国立国会図書館」について小生が思っていることを、その一端ではあるが率直に書いてみました。

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NDLの特徴 ~他の図書館と違うところ

 

 ○以上いろいろな観点から見てきたように、NDLは他の図書館と異なる大きな機能と役割を持っているのです。やや堅い話になりますが、次の違いを10項目に要約してみました。

 

 NDLは、国内の全ての出版物を網羅的に収集します。このため、法律(国立国会図書館法)で、国内の出版物はNDLに納入すること(納本制度)が定められています。納本を確保するために、「納本代償金」の制度もあります。他の図書館では、その図書館に必要な図書を予算の範囲内で収集するだけでよい。)

 

 ①-2 最近は、紙資料だけでなく新しい形態の資料も増えており、収集体制の整備が行われています。また、単行本のほか、雑誌・紀要・新聞などの「逐次刊行物」の出版が増えており、図書館での利用も高いので、その収集にも万全を期しています。他館にはない特色)

 

 収集した資料を基に、国内出版物の総目録日本全国書誌を作成する。その情報は国内の図書館等でも利用する。現在は冊子形態ではなく、機械可読形態となっている。他の図書館では、自館の目録作成だけでよい)

 

 収集資料を永久的に保存して後世に残し、文化財の蓄積を図る。他の図書館では利用提供が本務なので、不要となった古い資料は廃棄等の処分にする。)

 

 全国民を相手とした図書館サービス(閲覧、複写など)を提供する。他の図書館では、特定者へのサービス提供だけでよい。)

 

 来館利用者に対してだけでなく、遠隔地からの複写利用などのサービスも提供する。貸出は図書館だけにして、個人貸出はしない(他の図書館の場合、むしろ個人貸出が中心とも言える。)

 

 利用をさせ、保存もする、という二律背反的な仕事を課せられています。最近は、現物の保存・利用提供だけでなく、資料のデジタル化、電子図書館の構築も急速に進んでおり、紙資料の保存のための取り組みは、特に重要です。

 

 都道府県立などの公共図書館大学図書館専門図書館などに対する図書館協力活動(研修、会議、業務交流、講習、技術指導など)を行っています。

 

 行政府や司法府置かれている図書館NDL支部図書館となっています。これら支部図書館との連絡協力活動を行う。国政審議や国民の知る権利を保証するためにも、役所が発行する「官庁出版物」の収集は、この支部図書館を通じて確保しています。

 

 日本を代表する国立図書館National Libraryとして、世界各国の国立図書館との国際協力・国際交流・図書の国際交換などは大きな事業です。

 

 最大の特徴は、国会に対するサービスです。議員や国会会派(政党)からの調査依頼に対する迅速・的確な情報の提供はもとより、国会議員の活動を補助・補佐するための資料・文献の作成などにも当たっています。

 

 ○国会が「国権の最高機関」にふさわしい活動が展開できるかどうかは、図書館が鍵を握っているといっても大げさではないのです。衆・参両院に対して責任を負っているのは、NDLの特徴でもあります。

 

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写真:Atelier秀樹

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『秀樹杉松』131巻3947号 2022.6.17/ hideki-sansho.hatenablog.com  No.987