秀樹杉松

祖父と孫、禾と木、松と杉

WALK=歩く ~我がウーキングの足跡~【前篇】

 

 

わが山歩記」に続き、「我がウーキングの足跡」の一部をお届けします。14年前の2008年に書いたものです。

<第一部> ウオーキング総論

<第二部> 7年7ヶ月のウオーキングの記録

<第三部> 4万km(地球一周)踏破の記録

 

からなる膨大なレポートの中から、<第一部>中心に圧縮し、2回に分けてブログに投稿します。W(ウオーキング)に関心のある方、考えたことのない方も、ご高覧いただければ幸いに思います。(2022年7月1日 Atelier秀樹)

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<はじめに>

 

 ○2000(平成12)年12月12日にウォーキング協会に加入した小生は、毎日のように歩き続け、2008年7月7日に歩行距離が4万㎞に達し、「地球一周」を認定された。

 

 ○その後も「歩き」そのもの、つまり良き生活習慣は今後も継続するつもりだが、4万キロ達成を一つの区切りにしたいと考えている。“後期高齢者”ではないが、小生のウォーキングも前期を終え、今や“後期”に入ったと捉えている。

 

 ○“地球一周”後の小生のウオーキングは、それまでのような距離の測定は一切せず、歩行総キロ数を計算することもしない。いわば、“脱距離”“脱記録”に切り替えた。その意味で、従来のような狭義のウォーキングではなく、もっと広い意味での「歩き」である。それが前期と後期の分水嶺だ。

 

 ○そこで、距離と記録に明確に立脚した“前期ウォーク”4万キロ達成までの7年7ヶ月間)を振り返り、中間的なまとめを書いてみることを思い立った。小生のウォーキングは本文で記すように、他のウォーカーに比して可成り独特な面がありそうだ。だから、約8年間のWの足跡を辿ってみるのも、あながち無意味ではないように思える。

 

 ○面白いことに気付いた。WALK」の冒頭Wを取り除いた「ALK」は「アルクと発音できる。小生にとっては大きな発見だ。つまり、「歩く」と「WALK」は同根かも知れない?。この“発見”は小生のオリジナリティに属する筈だ、と一人悦に入っている。本稿の標題を『WALK=歩く』とした所以である。

 

 ○「古稀」(70歳)を迎えた年に“自分史”の執筆を思い立ち、これまでに『子供の頃の想い出』『青春の追憶』『わが山歩記』の3編を書き下ろし、それぞれ1冊にまとめて簡略製本した。その流れで言えば、本稿は<自分史シリーズ>No.4に相当する。

 

 ○本稿に於いては、「ウォーク」「ウォーキング」「Walk」「Walking「W」をバラバラに使用してしまったが、無理に統一するのもどうかと思ったからである。その時の気分で、実際そのような使われ方があちこちでされている。

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<第一部>ウォーキング総論

 

(1)歩く

 

 ○確か教科書に出ていたと思うが、人間は考えるであるパスカルの有名な言葉。一本の葦のように弱いが、人間は考えるという強い力をもっている、という意味なそうだ。

 

 ○平凡な我々にも言えることは、人間は四つ足動物などとは違い、二本ので立って歩く動物である」。通常は歩くが、急ぐときは走る。

 

 ○現代に生きるわれわれは、忙しい・面倒くさいで、ついつい運動不足になってしまう。だから、意識的に運動しなければならないが、スポーツの不得手な小生は何をしてよいのか困る。自分一人で直ぐにでも簡単にできるのは「歩く」ことしかない。

 

 生活習慣病克服には、アル中(歩き中毒)は“もってこい”のようだ。

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(2)歩き始め

 

 ○いつの間にか下腹が出てきて、ズボンのチャックが閉まらなくなり、或る年の職場の定期健康診断で「中性脂肪が多いから運動するように」と医師に勧められた。運動といわれても、「歩く」以外に考えられないので、意を決して?日曜日に代々木公園に出かけた。往復とも歩いたので、全部で2時間ぐらいはかかった。これが歩き始めであり、目的は「健康のため」だった。

 

 ○週1回だったので、1年間でせいぜい40数回の程度の歩きにとどまったが、それでも効果はテキメンで、翌年の健診には引っかからなかった

 

 ○一年間の歩きで直ちに効果が出たのには驚いた。同時に気持がホット緩み、「せっかくの休日には家でのんびりしたい」もう歩かなくても大丈夫だろうと妥協心が生まれ、再び元の「歩かない生活」に戻ってしまった。

 

 ○ところが(やはり)、翌年の健診にまた引っかかってしまった「歩く」と「歩かない」の差が決定的であることを思い知り、それからは真面目に?歩くことにした。週休二日制の始まりで、週2回に増えた。

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(3)思わぬ”試練”

 

 ○人間の心の動きや身体の状態は、実に不思議だ。とんでもない落とし穴が待っていた。慣れるに従い、ただ歩くだけでは退屈を感じるようになり、折角止めていたタバコにうっかり手を出し、歩きながら喫煙するハメになってしまった。平日は禁煙を守り、休日に外を歩く時だけ喫煙する事態に陥ったのである。

 

 ○気が付いたら、「健康のため」が「喫煙のため(不健康のため)に歩いている感じになっていた。完全にアベコベである。思いもよらない「試練」に見舞われた。突然の「作用」は「反作用」をもたらすのだろうか。

 

 ○その後、禁煙の努力やトライは何回も繰り返したあげく、やっとタバコと決別したが、後年心筋梗塞」に倒れた。ストレスが直接の引き金になったようだと医師に言われたが、中性脂肪とタバコ(既に禁煙してはいたが)が絡んでいることは否定できない。喫煙血管を収縮させるので、心臓に悪いことははっきりしている。

 

 ○「歩く」のは簡単なようであるが、結構大変なものであることを知った。

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(4)ウォーキングの開始 ~ウォーキング協会加入~

 

 ○自分で歩くだけではつまらないと感じていた折、駅のチラシか車内広告で、私鉄がウォーキング・イベントを時々開催しているのを知り、京王線小田急などの主催ウォークに何回か参加した。高尾山~陣馬山のスタンプウォークへも足を運んだ。

 

 ○新聞のイベント欄にも注意していたところ、「寅さんの歩いた道ウォーク」開催が載っており、「これだ!」と早速参加してみた。確か、千葉県北部の歩く会主催で、コースは千葉県市川市から東京葛飾柴又だった。有名な伊藤左千夫の「野菊の墓文学碑」「矢切の渡し」映画『男はつらいよ』の寅さんの舞台・柴又、など見所一杯のウォ-キングだった。

 

 ○この「寅さんウォーク」で配られたチラシを見て、「歩く会」とか「ウォーキング協会」があることを初めて知った。独り歩きだけでなく、会に入って大勢で歩くのもよいと考え、東京都ウォーキング協会」(TWA) に加入した。

 

 ○どうせ入るなら入会日を覚えやすい日付にしようと、平成12年12月12日に「東京都ウォーキング協会」に入会した。入会時の東京都ウォーキング協会(TWA)は、五つの地区協会(中央・東部・西部・南部・北部)に分かれており、杉並区が属する「中央」に入った。入会後まもなく、5協会が解消してTWAに一本化された。

 

 ○TWA加入に伴い、日本ウォーキング協会(JWA)の“加盟団体維持会員”となり、この日を期して、単なる「歩き」から「ウォーキング」「ウォーク」に発展した。入会から4か月後にJWAが初心者用の楽しいウォーキング教室(講師:高部郁夫深見賢一両先生)を開講したので、緊張感を以てこれに参加した。

 

 ○確か5・6回の参加で「修了証」を貰った。そして、協会の毎日2キロは歩こうのスローガンに共鳴し、それを忠実に実践した。その積み重ねの結果として、7年7か月後の2008年7月7日、「地球一周4万キロ歩行」を達成した。

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(5)例会・大会(IVV-Walk)の魅力

 

 ○W協会員になって単なる「歩」から「Wに発展し、例会や大会(いわゆるIVV-Walk)に参加した。最初は週1回(土曜か日曜)、途中から平日も含め週2回位に回数が増えた。

 

 IVVとは「国際市民スポーツ連盟」の略称。本稿では、IVV公認の例会・大会を「IVV-Walk」と称し、自分で自主的に歩くWを「My-alk」と称して区別した。

 

 ○IVV-Walk には、4万キロ達成の時点で624回参加を記録した。何とも言えない程素晴らしいIVV-Wの魅力は、小生の実感では次の3点に集約されそうだ。

 

 W参加がてら、今まで行ったことのない知らない土地に行くことができる。一人で出かけるのは、なかなか容易ではないので、これがWの大きな魅力だ。熱海、真鶴半島、城ヶ島、日光、鎌倉、江ノ島、河口湖など、一寸遠い地方への日帰りWは素敵だった。

 

 四季折々の自然や文化に接することができるの季節なら、梅、桜、水仙、菜の花、紫陽花、ツツジ、花菖蒲、バラ、ひまわり、彼岸花カタクリ、スミレ、ラベンダー、チューリップ、コスモス、大賀蓮(古代はす)など、ありとあらゆると言ってもオーバーではない花々が見られた。

 

 花火大会、ビール工場見学(試飲)、森林浴、は新緑、はモミジ、銀杏などのW参加が待ち遠しかった。各地七福神、百観音などの寺社巡り、水辺・公園巡り、そして山手線一周、浅草サンバなど。多彩なWは枚挙に遑(いとま)なしだ。

 

 ④毎日一人で歩くだけでなく、時には団体Wに参加して、多くのウォーカーの皆さんと一緒に歩くのも、IVV-Wの楽しみだ。いつの間にか歩友に出合い、その輪が拡がり深まる。歩友に会い、一緒に歩きながら、昼食を共にしながら、積もる?話に夢中になる。挨拶や会釈だけでもよい。再会を祝し互いの元気を慶び合う。

 

 ○IVV-Wの楽しさを最初に教えてくれたのは、W協会員になって間もない2000年12月30日から2001年元旦にかけての、伊能W·ラーストスリーデーマーチと銘打たれた、横浜から東京日比谷公会堂までのWであった。確か、20世紀から21世紀への世紀移行をWで祝す、との意味合いが込められた企画だった。

 

 ○猛烈に寒い三日間だったが、年末の30日は横浜一帯を歩き、大晦日横浜-川崎、新世紀開けの2001年元旦は川崎-東京を夢中で歩いた。銀座通り一杯にウオーカー達が手を繋いで行進し、これこそ当に「マーチ」であった。終点の日比谷公会堂での踏破報告、解散セレモニーは熱情と厳粛さに満ちたものであり、その時の感動は今でも覚えている。小生のW出発の号砲となった。

 

 ○新世紀開け2001年の甲州夢街道W」への参加が、今から思えばIVV-Wの楽しさと喜びを教えてくれた。仕事(パート)の関係から毎回は叶わず、半分しか参加できなかったが、甲州街道を西に行くに従って、自宅からの出発時間が早くなり、各地での歓迎を受け、次々に色とりどりの素晴らしい土地・自然・人々に迎えられた

 

 ○真夏の日射の中を“必死に”歩いたものだ。このシリーズの中で知り合った歩友が少なくない。その意味で、甲州夢街道Wは、名前の通りまさに夢のWであった。

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(6)My-Walk(自分で歩く)の魅力

 

 ○自分で歩くMy-Wの魅力も一杯だ。第一に、自宅をスタートとゴールとするので、交通費や参加費が全くかからず、自分の都合の良い時間に好きな所を歩ける。これが最大の魅力だ。

 

 ○W協会によって予め設定され、与えられたコースをそのまま歩くのではなく、自分でコースを開拓設定し、距離測定などの自己管理を行うという意味で、自主的·創造的なWになる。

 

 ○何よりも、自分で歩くことがWの基本なので、それを実践する楽しさが実感される。IVV-WMy-Wの両立で、Wは多彩で安定感が出る。

 

 ○自分で歩く楽しさ、それが基本だとの考え方や実践が、ウォーカーの間にもっと広まることを願って止まない。

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(7)ウォーキングの用語

 

 ○歩くことが健康に良いことが分かっても、なかなか実行に踏み出せない。思い切って始めたけれども、一人では持続しない。歩け運動の組織「歩こう会」とか「歩け歩け協会」に入って、仲間と一緒に楽しく歩くようになる。

 

 ○不思議なことに、歩く·歩きがいつの間にかウォーク」「ウォーキングと呼ばれるようになり、「歩け歩け協会」も「ウォーキング協会」と改称されている。(勿論、「歩く・歩け」を会名や協会名にしている団体も残ってはいるが)。

 

 ○横文字が登場したことをとやかく言うつもりはないが、歩くイヴェントの名称に「ウォーク」と「ウォーキング」の両方が使われているのが気になる。

 

 ○さらに、二日間開催される場合「ツーデーウォーク」と「ツーデーマーチ」というように、ウォークマーチの両方が思い思いに使用されている。「日本マーチングリーグ」(JML)加盟の場合はマーチに統一されてはいるが、地方リーグの場合は、ウォークもかなり使われている。

 

 ○マーチは軍隊の行進からきているそうだが、正直あまり馴染まない用語のように思える。因みに、地域ブロックと関係ない「日本さくらウォーキングリーグ」「日本・温泉と健康ウォーキングリーグ」には「ウォーク」が使われている。「マーチ」と「ウォーク」の混乱も、いささか気になるところだ。

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(8)ウォーキングとは?

 

 ○「歩く・歩き」をわざわざウォーキング(ウォーク)と呼ぶ。これは単に横文字を使うだけでなく、ウォーキングする人たちの間では、若干違う意味で使われる。

 

 ○即ち、ウォーキング(ウォーク)といえば、そのつもりになって、歩幅を大き目に、少し急ぎ足で、最低30分位は続けて歩く・・・と理解され、使われているようだ。

 

 ○日本ウォーキング協会JWA)の「歩行記録認定制度」においては、“認定の対象となる歩行記録”として、例会や大会への参加(完歩証明)のほかに、「個人またはグループで自然に親しみ、健康・体力の維持増進等の目的を持って歩いた距離(朝夕の散歩等を含む)」と明記されている。

 

 ○しかし、次のような但し書きが付いている。

 → 但し、毎日の日常生活で歩いている距離(通勤・通学・仕事や買い物などで歩いた距離)は対象となりません

 

 ○上記に引用した「歩き」を、日本ウォーキング協会は「ウォーキング」として認定するということだ。但し書きに該当する「日常生活で歩いている距離」は含まれず、「自然に親しみ」「健康・体力の維持増進の目的を持って」歩いた場合に限られている

 

 ○また、同協会が毎年発行している会員用のWalking Diaryの内表紙には歩こう365日、2kmまではいつも歩こうと記されている。目的を持った歩きだけでなく、一定の距離、即ち2キロ以上を続けて歩き通すことを想定しているようだ。同時に5分や10分の短時間ではなく、最低30分ぐらい継続した歩きを「ウォーキング」の認定の前提としているようだ。

 

 ○4万キロ達成後の小生の「歩き」は、上記の(狭義の)ウォーキングに該当しない部分もあるだろう。だから、距離や記録とは関係のない歩き(散歩)として扱うことにした。気軽にノンビリ歩けるからである。

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写真:Atelier秀樹

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『秀樹杉松』131巻3953号/2022.7.1/hideki-sansho.hatenablog.com  No.993