以下は『クラシック音楽作品名辞典』(三省堂 2009) による、「ベートーヴェン交響曲第1番~第9番」と、「秀樹杉松」所有のCDです。
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○交響曲第1番
ベートーヴェンの最初の交響曲であり、古典派の様式の影響が強い。
○交響曲第2番
古典派様式を脱しきれないが、すでに第3楽章にスケルツオを用いている。聴覚の疾患に悩まされ、人生に絶望して(ハイリゲンシュタットの遺書)を書いた時期に対応する作品にしては、きわめて明るく、甘美な要素に満ちている。
○交響曲第3番「英雄」
共和主義の象徴であるナポレオンに献ずる予定で作曲されたが、ナポレオンの皇帝就任の知らせを聞いて取りやめたと伝えられ、出版時点では単に「英雄交響曲」Sinfonia eroicaの名が付せられた。
○交響曲第4番
第3交響曲のあとに書かれた作品としては革新的要素が少ないが、充実した曲。
○交響曲第5番「運命」
第1楽章第1主題の動機について作曲者自身が(運命のように戸をたたく)と語ったと伝えられることから、「運命交響曲」の通称で呼ばれ、運命との闘いとそれを克服した勝利を表しているという解釈が生じた。
この通称は、かつては日本だけのものと思われていたが、現在ではドイツでも用いる。ただし(運命の動機)は「熱情ソナタ」をはじめ他の曲にもあり、弟子チェルニーによれば、それはキアオジ(鳥)の鳴き声にヒントを得て作られたものであるという。
第1楽章における大胆な主題操作、第4楽章にピッコロ、トロンボーンを加えて壮大な効果をつかうなど、デモーニッシュな表現による中期の最大傑作。
○交響曲第6番「田園」
1. 田舎に着いて、晴々とした気分がよみがえる。
2. 小川のほとりの情景
3. 農民たちの楽しい集い
4. 雷雨
5. 牧人の歌
自然描写を試みた交響曲は18世紀末には数曲あり、ベートーヴェンの曲も同じ系列に入るが、彼の場合には、単純な描写ではなく、田園の印象に基づく人間感情の表現を追求しており、後のベルリオーズをはじめとするロマン派の標題音楽の先駆をなすと考えられる。
○交響曲第7番
全楽章にリズミックな要素があるため、ワーグナーが(舞踏の聖化)と呼んだ。
○交響曲第8番
比較的短期間に作曲され、規模も小さく軽快であるため「小交響曲」と呼ぶことがある。
○交響曲第9番「合唱付き」
(第4楽章のコラールは、F.シラーの讃歌『歓喜に寄す』より)
第4楽章に声楽を加えたため「合唱付き交響曲」と通称されるが、この通称は「コラール交響曲」と訳すべきであろう。器楽と声楽のの統合された作品を意図した後期の傑作で、交響曲に声楽を用いたこと自体異例のことであり、全人類の理想をうたった歌詞とともに、ベートーヴェンの芸術的極致を示すものとされる。
『クラシック音楽ガイド』(後藤真里子監修、成美堂出版)p.28
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『秀樹杉松』所有の CD
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<写真=Atelier 秀樹>
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『秀樹杉松』141巻4151号2023.6.23
/ hideki-sansho.hatenablog.com.No.1191