秀樹杉松

祖父と孫、禾と木、松と杉

クラシック音楽への憧れ

     定年退職後は、専ら趣味を楽しむ人もいる。ゴルフ、旅行、パチンコ、麻雀、将棋、釣り、マイカー、スキー、・・・。多くの人が打ち込むこれらの趣味は、どれも小生には無縁だ。“無趣味が趣味”で、我ながら情けない。

 

 定年を目前にして一番心配したのは、「定年後何を趣味に生きようか」だった。冗談ではなく、本当の話である。小生の趣味を強いて挙げれば、音楽、読書、山歩きぐらいだったが、登山は58歳で打ち止めにしたので、定年後に持ち越したのは読書と音楽。読書は定年後は誰でもすることなので、特に趣味という程のものではないだろう。

 定年後のわが人生は決して平坦ではなかったが、その間にあって読書とクラシック音楽は、小生の精神・内面史にとり重要な位置を占めている。クラシックについては、機会があればメモってみたいと考えたが、音楽にめちゃ弱い小生はなかなか着手できず、気持だけは温めつづけてきた。それが、今回「定年後のわが人生」を書く動機の一つになった。

(以上は『定年後のわが人生』E-1「クラシック音楽への憧れ」(2011年執筆)からの引用です。以下の文章も同じ引用です。何回かに分けて紹介します。)

 

1)日本フィル定期演奏会 

 支援の気持もこめて日本フィルハーモニー協会に入会(サポーター)した。日本フィルハーモニー交響楽団(日フィル)の年10回の定期演奏会サントリーホール)会員になり、日フィルの名演奏を楽しく聴いた。小生が聴いた最初の演奏会は、

第523回定期演奏会(2000年9月8日夜)>(サントリーホール

 レスピーギ:「ローマの泉」/パガニーニ:ヴァイオリン協奏曲第2番ロ短調ラ・カンパネッラ」/プッチーニ:グローリアミサ 

 演奏:日本フィルハーモニー交響楽団

 指揮:沼尻竜典(急病の客演指揮者マルチェッロ・ヴィオッティに交代)

 独唱:大間知 覚(テノール)/副島 明也(バリトン)/澎 庚亨(バス)

 合唱:日本フィルハーモニー協会合唱団(合唱指揮/井崎正浩)

 であったが、本格的なプロの演奏をS席で堪能した。

 年10回の定期演奏の他に、年末の「第九」なども鑑賞した。内外の著名な指揮者や演奏家の独演も含め、日フィルの演奏に心から拍手を送った。サントリーホールに赴く度に、クラシック音楽を楽しんでいる自分は幸せだと思った。

 演奏会はもちろん無料では聴けない。身近な人間には「贅沢だ」と嫌みを言われるので、9年間楽しんだ日フィルに別れを告げた。無念の思いを込めて。最後となったのは、

 <第612回定期演奏会>(2009年7月10日夜) (サントリーホール

  ストラヴィンスキー詩篇交響曲武満徹:樹の曲

   演奏:日本フィルハーモニー交響楽団

           指揮:広上淳一 / 合唱:東京音大

であった。523回から612回までの、丁度90回の演奏会(仕事で2回ばかり聴けなかったが)を楽しむことがことができ、思えば、至福の9年間であった。

 有り難う、日フィル!、頑張れ、日本フィルハーモニー交 響楽団!

     

 2)クラシックのお勉強

 『子供の頃の想い出』に書いたように、小生はハ長調以外は音符が読めない。だが音楽は大好きで、小学校入学時に謡曲を歌って先生に注意され、現役の若い頃は歌声運動に参加した。しかし、クラシック音楽は特別で、“音楽の理論が分かる人でなければ理解できない、難しくて高尚なものだ”と敬遠していた。それでも、年末恒例のベートーヴェン「第九」や「運命」などは、理屈・理論抜きに“いいなあ”と思った。

 定年後の趣味の一つに「クラシック音楽の鑑賞」を据え、日フィルの定期演奏会に足を運んだり、CDを買い求めて聴いたり、解説本・音楽史を読んだりして勉強も始めた

                                                              (「秀樹杉松」82-2363 )