バラク・オバマ『約束の地 大統領回顧録』上巻 を読みました。
正直言って、日本人でこの回顧録を読む人は、多くはないでしょう。私も普通なら読まないのですが、①アメリカの大統領 ②オバマ大統領の回顧録だから、読んでみようと挑戦したのです。
(amazon.co.jp より)
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物心ついた時から、アメリカという国は私の関心から離れたことはありません。戦時中の国民学校生の時は、アメリカ・イギリスは日本の戦争相手で、「鬼畜米英」「米英撃滅」が国のスローガンであり、わたし自身「アメリカなんかに負けてたまるか!」と、子供ながら「憎いアメリカ」でした。
ところが、そのアメリカに日本は戦争で負けたのです。「敗戦」を知った時は何とも悔しかった!。「無条件降伏」した日本は、アメリカの占領下におかれ、来る日もくる日も「アメリカは進んだ国・偉い国」で、「日本は遅れた国だ」とばかり、真逆の風潮に身を委ねる毎日でした。
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私が政治学を専攻し、国際政治に大きな関心を持つようになったのは、如上の歴史環境の中で育ったからに他なりません。ちなみに、高校時代も「日本史」ではなく「世界史」を選択しました。英語が得意だったので、外交官を夢見たこともありました。
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閑話休題。だから私は、アメリカの歴代大統領に人並み以上の関心を持っています。初代ワシントン、16代リンカーン、32代フランクリン・ルーズベルト、35代ジョン・F・ケネディ、そして44代バラク・オバマ、、、。ケネディ大統領暗殺には、非常に大きな衝撃を覚えました。
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アメリカと日本は、政治・経済・軍事・文化など万般にわたって、最も密接な関係にあります。「兄弟」というより、「親子」でしょうか。子供の頃「米英撃滅」「憎いアメリカ」と教わり、その通り思い込んでいたアメリカ。太平洋戦争(第二次世界大戦)でアメリカに敗れ、アメリカの日本占領とそれに続く日米安保条約締結。日本は大きな変化を余儀なくされたのです。
「アメリカの大統領」そして「初のアフリカ系アメリカ人の大統領」だったバラク・オバマ氏。その人の書き上げた回顧録だから、『約束の地 大統領回顧録』を読んでみようと思い立ったのです。苦労しながらやっと上巻を読み切りました。下巻も読んで、初めて「読んだ」と言えるのでしょうが、さあどうするか、考慮中です。
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バラク・オバマは44代アメリカ大統領。在任は2009~2016年の2期。
『約束の地 大統領回顧録』上巻
「あらゆる格差と分断を乗り越えて、“希望の地”アメリカを実現しようと奔走したオバマ政権の前半、その舞台裏を克明に振り返る」
(Google Books bookshttp:// Google Books より)
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書名の『約束の地』(A PROMISED LAND)とは、どういう意味だろうと思ったが、本書の「第一部 賭け」には、次のように書かれています。
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アメリカの ”理念”、アメリカの ”約束”、そういったものに、私は自分でも驚くほどこだわった。
「我々は、以下の事実を自明のことと信じる。すなわち、すべての人間は生まれながらにして平等であり・・・」[アメリカの独立宣言の一部]。これこそ私にとってのアメリカなのだ。
アレキシ・ド・トクヴィル[フランスの政治思想家。著書『アメリカの民主政治』で1830年代のアメリカ民主制を論じた]が書いたアメリカ。ホイットマンやソローが暮らした田舎、身分の優劣が存在しないアメリカ。よりよい暮らしを求めて西を目指した開拓者(パイオニア)たちの、自由を渇望してエリス島に降り立った移民たちのアメリカ。(以上、本書p.34)
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合衆国憲法と権利章典。短所もあるが才能あふれる思想家たちが考え抜いてつくりあげた、揺るぎないそれでいて変化も受け入れる体制。
それが、私の納得できるアメリカなのだ。(本書p.35)
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なるほど、『約束の地』(A PROMISED LAND)とは、「すべての人間は生まれながらにして平等」と謳ったアメリカの「独立宣言」(1776)の約束のことを指していることが、やっとわかりました。
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このように、本書は格調高い文章が続きます。しかし、翻訳も優れているんでしょう、分かりやすく読みやすいのが特徴。どうぞ、皆様もお読みください。
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写真:Atelier秀樹
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『秀樹杉松』122巻3773号 2021.4.27/ hideki-sansho.hatenablog.com #813