秀樹杉松

祖父と孫、禾と木、松と杉

70年以上前の小学生の頃に読んで、さっぱり分からなかった 菊池寛『第二の接吻』と久米正雄『破船』

 

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いい歳をして ”文学部に入学” したら、なんだかリフレッシュした感じで、”入学論文” をまた書きました。よろしかったら、お読みください。

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○私の小学校 (低学年) 時代は、戦時中の田舎でした.。本好きだった私でしたが、読むものといえば教科書と新聞だけでした。教科書は繰り返し読んで、全部暗記しました。ある日偶然、父(村役場勤務)の机上にあった婦人雑誌の付録菊池寛「第二の接吻」と久米正雄「破船」を収録)を発見、読みにかかりました

 

○しかし、漢字が多い上に、当時の小学生には理解できない水準・内容だったのです。そもそも「接吻」がわからない、ふり仮名してあったので読むことはできたが。今の小学生なら「接吻」や「キス」は知っているだろうし、いざとなればスマホで調べるだろうが。

 

○因みに、何という小説だったか忘れましたが、登場人物の「葉子」にエフコと仮名が振ってあった。偏な名前だね!と10歳上の従兄に話したら、「それはヨウコと読むんだよ」と教えてくれました。当時の振り仮名も読めなかった小学生に、大人向けの大衆小説「第二の接吻」を読むのは、とても無理だった!

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さてこの際ですから、もう少し「第二の接吻」を調べてみました。

 

Google Books(books.google.co.jp)に以下のように出てきました。

第二の接吻

美しき令嬢の残酷な陰謀。翻弄される殉愛のゆくえは…「真珠夫人」をこえる菊池寛の名作

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○次のような情報にもアクセスできました。いい参考文献なので、部分引用させていただきます。

『第二の接吻』あるいは『京子と倭文子』ー 恋愛映画のポリティックス(志村三代子)

 ~(core.ac.uk

○「菊池寛の『第二の接吻』は、1925年7月30日から11月14日まで、『東京朝日新聞』『大阪朝日新聞』で連載され、「異常な好評を博した」と評されたほどの新聞小説であった。その後、12月10日に単行本が改造社から出版されている。(略)

○『第二の接吻』は、、貴族院議員で実業家の川辺宗太郎の令嬢である京子、京子の従姉妹の山内倭文子、そして川辺家に寄宿している村川貞雄を中心とした三角関係の物語である。

○『第二の接吻』の大反響の理由は、当代の人気作家による作品というよりも、「第二の接吻」という斬新奇抜なタイトルにあるだろう。(略)接吻という言葉は、発禁処分とまではならなかったにせよ、当時としては刺激的な言葉であったことは明らかだ。

○『都新聞』の宣伝文句には、

恋愛において、浄きと浄からざるとの境は、只一つの接吻に在りと称せられる。接吻すれば万事始まる」と述べられており、「接吻」がいかにこの小説の重要な要素であるかを繰り返し説かれている。実際、「第二の接吻」は、タイトル通り、「接吻」が物語の重要なカギになっている。(略」

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久米正雄

ウィキペディアによると、

○代表作は、『牛乳屋の兄弟」「蛍草」『受験生の手記』『破船』

 

久米正雄の小説『破船』

 新潮社1922-1923、初出『主婦の友』1922-1923。夏目筆子との失恋事件を小説化したもの。

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日本大百科全書小学館)の「久米正雄(p.560) には、以下のように書かれています。

○1915年(大正4)秋、(久米正雄は)芥川龍之介漱石山房をくぐり、その門下生となる。が、漱石没後遺児筆子に一方的恋情を懐き、それが破局に至ったことは、彼の作風に一転機をもたらすことになる。

 

○すなわち、『蛍草』『破船』前後篇など、自らの失恋体験を素材とした作品を次々と発表し、文名を高めていく甘美な哀愁に包まれたその小説は、世の同情をよぶにふさわしかった。

 

○人気作家となった久米は、以後自ら文壇の社交家をもって任じ、通俗小説の面にも新たな活路をみいだしていった。通俗小説の代表作には『沈丁花』などがある。<関口安義>

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写真:Atelier 秀樹

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『秀樹杉松』125巻3837号 2021.10.22/ hideki-sansho.hatenablog.com #877