秀樹杉松

祖父と孫、禾と木、松と杉

坂研究メモ(2)ネット情報に見る「福島県の坂」~福島市と須賀川市の坂はすごい!

 

 

前号(5/11)記載の通り、「坂研究まねごと」シリーズを発展的に引き継ぎ、「坂研究メモ」を立上げることにしました。

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東北地方の坂リスト」構築を目標に、当面「岩手県の坂」と「福島県の坂」の予備調査をはじめることにしました。既報の通り、坂学会(私も会員)の「全国の坂リスト」には、岩手県1坂、福島県3坂、しか登載されていません。

坂学会 / 岩手県の坂

 ○月見坂平泉町

坂学会 / 福島県の坂

 ○御前坂(おまえ)(喜多方市山都町) 

   椿坂 (会津若松市追出町 鶴ヶ城公園内)

 ○梅坂 (同上)

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ネット情報で調べた限りでも、岩手県の坂も福島県の坂も相応の数存在しているようです。いや、福島県の坂の数は、予想をはるかに上回っており、驚嘆を覚えました。あくまでも現段階では、予備的な下調べに過ぎないので、今後これを叩き台に精査していくことになります。

 

言うまでもないことですが、これはあくまで「秀樹杉松」への投稿であり、坂学会とは関係ありません。ただし、この「秀樹杉松」の叩き台が、坂学会HP「全国坂のリスト」充実プロジェクトに、何がしかのお役に立てれば、と考えています。

 

当初の予定では、「坂研究メモ No.2」は「岩手県の坂」を充てるつもりでしたが、原稿入力段階でトラブルが発生して全部消滅してしまったので、急遽「福島県の坂」を先に据えることにしました。

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坂学会HP「坂プロフィール」には福島県は3坂しか収容さていませんが、ネット情報を調べたら「あるは、あるは」。県都福島市”坂の街””馬の背の街”の須賀川市に多いことがわかり、正直びっくりし、嬉しくなりました。須賀川市が”坂の街・馬の背の街”の面目躍如たる活動を展開していることに、多大の感銘を受けました。

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それでは、ネット情報で調べた内容を掲載します。坂情報としては通常、坂名(別名も)・所在地・プロフィール、坂名の由来、出典などが必要ですが、今回の本稿では、坂名・所在地(市町村名)・出典ネット情報に限り、コンパクトな形での紹介にとどめます。

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ネット情報に基づく坂ファイルに鑑み、当該ネット名を軸に紹介します。従って、重複がほんの少し(片手にも行かない)見えますが、重複を理由に削除はしていません。いずれは、坂名を五十音順に整理し、その段階で当然に重複はなくなります。

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福島県の坂】

 

坂 (福島)  FOURSQUARE (http://ja.foursquare.com) 

 福島県内にある名前のついた坂のリストです。坂名に適宜振り仮名しました。

 

  1. 亀谷坂二本松市

  2. 竹田坂二本松市

  3. 恋人坂喜多方市

  4. 咲田の坂郡山市咲田1)

  5 .一心坂郡山市堂前町)

  6. 金透坂(きんとう)郡山市堂前町金透小学校に上る坂)

  7. 御百目の坂(ごひゃくもく)郡山市

  8. 普賢坂(ふげん)郡山市

  9. 開成館の坂郡山市開成) 

10. 清水台の坂郡山市清水台)

11. 久保丁坂二本松市

12. 新丁坂二本松市

13 .椿坂会津若松市追出町1ー1

14. 梅坂(同上)

15. 明ル坂(あかるか)会津若松市

16 .みかえり坂会津若松市

17 .残念坂会津若松市東山町湯本)

18 .湖辺り坂 (こべり)福島市

19. 薬師坂福島市湯沢)

20. 立綱坂 (たちづな)福島市飯坂十綱町)

21. 支保工坂 (しほこう)福島市

22. 若葉坂福島市

23. 滝の湯跡ちゃんこちゃん福島市

24. 常泉坂福島市

25. 鯖湖坂 (さばこ)福島市

26. 湯道坂 (ゆのみち)福島市

27. 夜行院坂福島市

28. 古戸ノ坂 (ふるど)福島市旭町)

29. 古舘の坂(ふるだて)福島市

30. 二く字坂(ふたくじ)福島市飯坂町平野内町)

31. 仏坂ほとけ)福島市飯坂町仏坂)

32. 地蔵坂福島市西坂下)

33. 花水坂(はなみず)福島市飯坂町町裏~飯坂町西坂下)

34. 飯坂(いいざか)福島市飯坂町立町

35 .分署の坂福島市飯坂町道城町)

36. 権現坂(ごんげん)福島市飯坂町立町)

37 .沢坂 (飯福島市坂町湯沢/飯坂町古土)

38. 透達の坂(とうだ)福島市飯坂町湯町~飯坂町湯沢)

39. 八幡坂福島市飯坂町八幡内~飯坂町湯町) 

40. 伏拝の坂福島市伏拝ノ上/伏拝諏訪平)

41. 御出会坂(おであい)福島市飯坂町釜場)

42. 小滝坂(こたき)福島市飯坂町小滝)こたき

43. 摺上坂(すりかみ)福島市飯坂町鍋沢)

44. 慈恵坂福島市飯坂町西堀切)

45. 上の坂(かみ)福島市飯坂町北原)

46. 七折坂(ななおれ)福島市飯坂町北原)

47. 養老坂福島市飯坂町坂口)

48. はらへり坂福島市飯坂町八幡新田)

49. 堀切坂福島市飯坂町西堀切)

50. 笠松福島市飯坂町笠松

51. 娯楽坂福島市飯坂町東堀切)

52. 大鵬(おおとり)福島市飯坂町館ノ山)

53. 大手門坂福島市飯坂町舘)

54. 大門坂(だいもん)福島市飯坂町大門)

55. 夜蚊坂(よが)福島市飯坂町夜蚊)

56. 御荷越坂(おにごえ)福島市飯坂町中野岸~飯坂町御荷越)

57. 三番坂福島市湯野毛字~三番坂下)

58. 導専坂福島市飯坂町湯野導専)

59. 橋本坂福島市飯坂町湯野湯ノ上)

60. 堰坂(せき)福島市飯坂町湯野湯ノ上)

61. 切湯坂(きりゆ)(福島市飯坂町湯野湯ノ上)

62. 愛宕(あたご)福島市飯坂町湯野湯ノ上~湯野愛宕前)

63. 西根坂福島市飯坂町湯野明倉原~湯野館下)

64. いもがら坂福島市飯坂町館下)

65. 馬洗い坂福島市湯野新湯)

66. 新湯の坂福島市飯坂町湯野湯ノ上)

<編注>

福島市 49郡山市 7、二本松市 4、会津若松市 5、喜多方市 1 

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須賀川市の坂】

 

◎以下の情報ファイルから探し出しました。

*ぶらり坂道 馬の背の街すかがわ - 福島の旅(tif.ne.jp

*まちなか歩きのハンドブック

 ぶらり坂道 馬の背の町 すかがわ(tif.ne.jp

*すかがわ坂物語 まちなかマップ(tif.ne.jp

須賀川の坂「前編1~8」(PDF 6.8MB) - 須賀川市 

city.sukagawa.fukushima.jp

須賀川の坂 - 須賀川市http://city.sukagawa.fukushima.jp 

須賀川駅から釈迦堂坂まで= オリジナル写真満載の地域紹介サイト

townphoto.net

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ぶらり坂道 馬の背の町すかがわ / まちなか歩きのハンドブック(tif.ne.jp

すかがわ坂物語 まちなかマップ(tif.ne.jp

 

<おすすめのスポット>

須賀川の地名の由来の一つに、「スガ」坂が多い所、という説があるくらい坂が多く、まちが馬の背のようになっており、別名「馬の背の街」とも言われている。室町時代、戦国時代は城下町、江戸時代は宿場町、商工業の要地としても栄えた須賀川。いにしえの人々は何を思いこのまちの坂を歩いだのだろう。(まち歩き案内人 堀江祐介)

 

  1. 北町坂
  2. 岩瀬の渡し坂
  3. 舘の坂
  4. 座頭転ばし
  5. 御隠居岳の坂
  6. 観音さがり(時雨塚の坂)
  7. 多代女坂
  8. 庚申坂(鍋転がし坂)
  9. 新地の坂
  10. 治部稲荷坂
  11. 赤ハゲ山坂
  12. 十三塚坂
  13. 暮谷沢坂
  14. 十日山坂
  15. 荒町坂(十二軒坂)
  16. 鍋師橋坂
  17. 南の黒門坂
  18. 道場さがり(蓮池坂)
  19. 藤井さがり
  20. 弘法壇坂(鹿の出口坂)
  21. 長禄寺坂
  22. 北の黒門坂
  23. 釈迦堂坂
  24. 新平坂

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須賀川の坂 - 須賀川市city.sukagawa.fukushima.jp

   ~永山倉蔵

並木坂須賀川城の大手。松並木があることから)

鍋師坂(関街道)

かつ坂(前田川)

針の坂(いわき街道)

田村口の坂(旧道)

狐坂(岩瀬山城=愛宕山

北小屋坂(同上)

大黒石の坂伊達政宗須賀川城に攻め入った)

あまるべの坂=雨呼ばわり口の坂

新町坂

北新町坂

妻恋坂

大黒坂

鍋転ばし坂庚申坂

鎬師橋の坂

三さがり

岩間の坂 

座頭転ばし

十二軒坂

白石坂

赤坂

天王坂

滑川坂

山寺坂

夫婦坂

別れ松の坂

保土原の坂

20. 雨田松ヶ作の坂

21. 長井の坂

22. 高野の坂

23. 国府が原の坂

 

 

須賀川の坂 目次(「広報 すかがわ」に掲載)

 すかがわ史談会副会長の永山倉蔵さん執筆(須賀川市立博物館編集)

*目次だけで、坂名は上記と同じなので割愛します。

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 福島県の坂一覧>NAVITIMEnavitime.co.jp

 ○比曽坂伊達郡川俣町)福島県飯舘村比曽と川俣町山木屋の間にある県道62号・原町二本松線の峠である。

 ○俄坂(にわか)南会津郡南会津郡南会津町

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白河市の坂】

白河市の坂:坂道散歩 8tagarasu .cocolog -nifty.com

 ○善知鳥坂(うとう)跡 (白河市大善知鳥坂)

 ○合戦(こうせん)坂 (白河市合戦坂と八竜神の間にある小さな峠)

 ○花見坂 (白河市花見坂)

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【三春町の坂】

三春町

 ○化粧坂(けはい)(田村郡三春町)・・・地名?

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いわき市の坂】

岩城街道(1)

http:// minyu-net.com

久保坂(平久保町~好間町下好間)

田湯坂常磐藤原町

馬喰坂(ばくろう)(同上)

十六坂鹿島町飯田)

峠データベース 御代坂

御代坂(みしろ)小名浜/鹿島町

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二本松市の坂】 

久保丁坂 福島県二本松市Googleマップ

久保丁坂二本松城

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西郷村の坂】

幻覚坂(西白河郡西郷村)- 福島県心霊スポット情報 

幻覚坂

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写真:Atelier秀樹

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『秀樹杉松』122巻3780号 2021.5.16/ hideki-sansho.hatenablog.com #820

「坂研究メモ」No.1 〜 新シリーズのスタートです。 〜 東北地方(当面、岩手と福島)の坂でお会いしましょう。

 

 

「坂研究まねごと」シリーズ(1~32)を引き継ぎ、

新シリーズ「坂研究メモ」No.1をお届けします

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私は、2017年11月から翌年11月までの1年間、東京23区内の坂歩きをしました。(最初からそんな積りはなかったのですが)気がついたら111回出かけ、876坂を歩き巡りました。100回以上で900近い坂巡りをしたのには、自分でもびっくりしました(今でもそう思っています)。

 

この坂巡りはその都度(111回)、ブログ『秀樹杉松』に「秀樹杉松 坂めぐり」と題して投稿しました。「坂めぐりを終えて」を書きあげたのを機に、念願の「坂学会」に入会。会員の坂歩き「この指とまれ」にも参加するとともに、横関英一著『江戸の坂 東京の坂』(ちくま学芸文庫)を読み、その読書メモを「坂研究まねごと」と題して『秀樹杉松』に32回シリーズで投稿しました。

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今回、「坂研究まねごと」シリーズ (1~32)を発展的に引き継ぎ新シリーズ

「坂研究メモ」の投稿を始めることにしました。坂学会会員になったというものの、件の567(コロナ)騒動もあり、ままならぬ活動状況にありますが、先般の坂学会総会で、

HP全国の坂リスト充実プロジェクト(全国版コレ)が決まりました。

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坂学会会員となって2年半ばかり経ちますが、東京以外の坂リストには関心が薄く、HPの「全国の坂リスト」は(東京以外)ほとんど見たことはなかった。実を申せば、坂学会のHPなのだから、全国各地の坂が網羅されているものと思い込んでいました。ですが、そうでもないことが最近分かってビックリ。

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下記リストのように、坂ファイル0坂の県が8県(福井、鳥取、山口、徳島、香川、高知、佐賀、宮崎)、たったの1坂も4県(岩手、富山、三重、岡山)。今改めて坂学会HPを開いたら、〔 全国・坂のプロフィール 〕に、以下の説明が注記されており、私の勉強・認識不足でした。

「数ある全国の坂道(名前のついた坂道)について,でき得る限りのデータを集積して,坂道の研究者・坂の愛好家の便に供したい。そんな思いで このリストを整備することにしました。最初は 東京を中心とした 一部の地域のデータでスタートしますが,今後 皆様のご協力をいただいて,できる限りデータを充実させていきたいと考えています」

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坂学会HP「全国坂のプロフィール」/ 全国の坂リスト

   都道府県別の登載坂数 (2021.5.11現在)/

 

   北海道   65

 青森     3

岩手     1

 宮城     5

 秋田     2

 山形     2

福島     3

 茨城    20

 栃木     5

 群馬    73

 埼玉   135

 千葉    74

 東京23区 922

 多摩地区  315

 神奈川横浜 202

 横浜以外  323

 山梨     2

 新潟     9

 富山     1

 石川    53

福井     0

 長野     9

 静岡    27

 愛知    22

 岐阜     6

 三重     1

 滋賀     3

 京都    17

 大阪    27

 兵庫    28

 奈良    24

 和歌山    4

鳥取     0

 島根     2

 岡山     1

 広島     3

山口     0

徳島     0

香川     0

 愛媛     5

高知     0

 福岡     2

佐賀     0

 長崎    87

 熊本    97

 大分    24

宮崎     0

 鹿児島    2

 沖縄    46

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 合計  2652

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先般の坂学会総会で、HP全国の坂リスト充実プロジェクト(全国版コレ)が決まりました。私も当然参加しますが、東北出身者でもあるので、親近感のある東北地方の坂(当面は岩手、福島)を手がけてみたい。上記坂リストには、岩手県は1坂、福島県は3坂しか登載されていませんので、調査勉強によって、全国版コレに参加したいと考えているところです。

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ついては、一連の調査勉強の過程はこのブログ『秀樹杉松」に執筆投稿することにしたい。本稿は、そのNo.1です。よろしかったら、どうぞお読みください。「東北地方(当面は、岩手県福島県)の坂」でお会いましょう

 

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写真:Atelier秀樹

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『秀樹杉松』122巻3779号 2021.5.11/ hideki-sansho.hatenablog.com #819

浅田次郎『長く高い壁 The Great Wall』(角川文庫) を読む。~昭和13年(1938)の中国大陸、万里の長城・張飛嶺が舞台。浅田次郎初の戦場ミステリー!

 

浅田次郎は私の大好きな作家で、これまで『蒼穹の昴』『壬生義士伝』『鉄道員』『流人道中記』『神座す山の物語』を読んだ。浅田次郎直木賞吉川英治文学新人賞柴田錬三郎賞中央公論文芸賞司馬遼太郎賞、吉川英治文学賞大佛次郎賞菊池寛賞など数々の賞を受賞し、2015年には紫綬褒賞を受賞。

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書店の新刊書コーナーで、

浅田次郎著『長く高い壁』(角川文庫)を見つけた。正直この本は知らなかった(単行本が3年前に出ている、というのに)。書名の『長く高い壁』って何だろう?と一瞬思ったが、英語名The Great Wallも併記されているので固有名詞だろう。となれば、小説の舞台が中国のようなので、「万里の長城」に違いない。

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私は今回この本を初めて知ったので、予備知識や先入観は全くのゼロでした。加えて、本作品の内容や構成の特徴もあり、1回読んだだけでは完全に理解しきれず、最初から最後まで時間をかけて再読し、やっと「読んだ」「判った」と納得しました。結局この読書メモは、本書の表紙カバーや出版社、書評などの一部引用にとどめました。

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本書巻末に、五味渕典嗣氏による「解説」が出ていますので、ほんの一部を紹介します。

作者が初めて手がけた戦場ミステリー小説(p.312) 

小説の舞台は、1938年(昭和13年)の中国大陸

前年7月に盧溝橋で火がついた戦争は一挙に中国各地に飛び火。開戦直後に北京と天津を占領した日本軍は、1937年上海と南京を占領。1938年春には徐州、秋には中部の武漢と南部の広東を目指した大規模な軍事作戦を展開。(p.313)

◉日本の軍と政府が文芸春秋社菊池寛に声をかけ、文学者たちを国費で戦地に派遣する「従軍ペン部隊」を作らせたのは、この武漢作戦のとき。(p.313)

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本書冒頭にこの小説の主な登場人物が掲載されているが、頻繁に出てくるのは次の3人。

小柳逸馬(当代きっての流行探偵作家従軍作家として北京へ派遣される) 

川津中尉(北支方面軍司令部の検閲班長。東京帝大仏文科卒)

小田島八郎(十四年間、憲兵一筋の曹長二等兵からの叩き上げ)

<編注>

作家(小柳逸馬)の派遣には、検閲官(川津中尉)も同行させたんですね。従軍作家の金科玉条とするのは、内務省警保局による出版警察時報第一〇七号。戦争報道に関する「新聞掲載禁止事項ノ標準」を示した指導要項

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主な登場人物の次には、「1936年当時における軍隊の階級」の一覧が出ている。

兵卒二等兵一等兵上等兵)、下士官(伍長、軍曹、曹長)、准士官(准尉)、尉官(少尉、中尉、大尉)、佐官(少佐、中佐、大佐)、将官(少将、中将、大将)。なお、 尉官・佐官・将官の3官は将校とも呼ばれた。

 

<編注1>

士官学校などにおいて、用兵などの初級士官教育を受けた軍人で、階級が少尉以上の武官を「士官」(commissioned officer)と呼ぶ。将校ともいう。なお、1868年の「officer」の日本語訳は士官であったが、1887年ごろから将校に変わった。下士官の上となる。(ja.m.wikipedia).

 

<編注2>

子どもの頃、集落の若者が「死んで帰れ!」と励まされて出征し、しばらくすると白箱で無言の帰還をした。墓碑には、上等兵、軍曹、曹長など、故人の「兵隊の位」も添えられていた。田舎の青年だったので、兵卒や下士官ばかりで士官(将校)は見当たりませんでした。

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本書の冒頭の文章を紹介します。

北京雑感(第一回)小柳逸馬

従軍ペン部隊を志願すること多年、そのつど探偵作家等は任務にふさわしからずと却けられて来たが、念願叶って出征の運びとなった。(中略)皇軍占領下の北京にてペンの初陣を飾る次第となった」(本書p.7)

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本書の作品紹介・書評を、ちょっとだけネットで見てみましょう。

万里の長城を舞台に、従軍作家が日本軍の闇に挑む、浅田次郎作品初の戦場ミステリー(カドブン kadobun.jp)

 

日中戦を捉えなおす衝撃ミステリーbookbanng.jp

 

◉ここは戦場か、それとも殺人現場かーー。従軍作家が日本軍の闇に挑む日中戦争中の万里の長城。探偵役を命じられた従軍作家が辿り着く驚愕の真相とは?浅田作品初の戦場ミステリー。(amazon.co.jp)

 

◉軍の論理では割り切れぬ、人の心を従軍記者が解き明かす。戦場の人間ドラマ

1938年秋。従軍作家として北京に派遣されていた探偵小説家の小柳逸馬は、軍からの突然の要請で前線へ向かう。検閲班長・川津中尉と赴いた先は、万里の長城張飛。そこでは分隊10名が全員死亡、しかも戦死ではないらしいという不可解な事件が起きていた。(kadokawa.co.jp

 

◉久々の浅田次郎。彼には珍しく推理小説である。支那に駐屯する1000人の独立歩兵大隊が新作戦のために移動。匪賊対策のために残されたのは僅か30名。そのうち一個分隊、10名が殺される。果たして共匪による犯罪なのか・・・(同上)

 

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写真:Atelier秀樹

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『秀樹杉松』122巻3777号 2021.5.9/ hideki-sansho.hatenablog.com #818

早朝の神田川十六景 〜 久しぶりで、神田川の早朝散歩をしました。雨の中、ヘマをしでかしました。

 

 

私の家は、西から東へ流れる神田川善福寺川の中間にあり、直線距離では神田川まで180メートル、善福寺川まで280メートルの近距離です。このところ善福寺川散歩に集中していたので、たまには神田川も歩かなければ(?)と、今朝久しぶりに神田川へ行ってきました

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早朝(5時台)は小雨が降っていたので、右手に傘、左手に杖、首にスマホの出立ち。いつものように悠然たる神田川の流れ、犬連れのウォーカー、雨に濡れた草花、新緑の樹木、誰もいない公園、水中で餌探しする鴨(マガモ?)の親子、などを撮影しました。

 

撮影しようとカメラ構えたら鴨が逃げたので、慌てて追いかけました。その時、咄嗟に川べりの柵に杖を立てかけたが、その杖が柵の隙間から神田川の流れへ落下しました。あっという間の瞬間的な出来事でした。

写真でお分かりのように、川と歩道を隔てる鉄製の枠には隙間がありますが、そこから立てかけた傘が川ヘ落下したのです

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いつもならこんなヘマはしないのですが、今朝は雨だったので傘と杖で両手が塞がっていました。逃げる鴨を追いかけて撮影しようと、杖を川縁の柵に立てかけてスマホに持ち替えたのです。その柵の隙間から杖が川中へ落ちて、川底へ沈んでしまったのです。水害防止のため川は深く掘り込まれており、回収はとてもじゃないが不可能。

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杖は買い換えれば済む話ですが、物を投げ込んではいけない川に杖を落としてしまったのです。情けないような、申し訳ないような気持ちに襲われています。お許しください!せっかく久しぶりに出かけた神田川、喜びで終わるはずの早朝散歩が、残念なことになりました。神田川に沈んだ私の杖も、もしかしたら寂しい思いをしているかも。「杖さん、いつも一緒にありがとうございました!

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もちろんのこと、逃げた鴨に文句は言いません。いつもそうなので、それを追いかけて撮影しており、鴨には愛情さえ覚えています4年前の「川歩き」の時は、鴨・鯉・亀と友達になり、Kで始まる動物なので「3K」と愛称していました。だから、亀さん、鴨さん、鯉さんは私の仲間なのです。(『秀樹杉松』のカテゴリー「親川記」に収録)

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今朝もきっと、「あいにくの雨ですね。あっちへ移動しますから、いつものように追いかけてください!」だったと思います。「鴨さん、ありがとう!

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写真:Atelier秀樹

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『秀樹杉松』122巻3777号 2021.5.6/ hideki-sansho.hatenablog.com #817

『鎮魂と再生』東日本大震災・東北からの声100(赤坂憲雄【編】)を読みました。大震災の被災者の生々しい声を知り、改めて鎮魂と再生の気持ちを強くしました。

 

本ブログ『秀樹杉松』の前号(5/3)で、真山仁『それでも、陽は登る』(震災三部作完結編)を取り上げ、遅まきながら、神戸と東北の被災地の復興活動の一端に触れることができました。そして、何年か前に買い求めて途中まで読んでいた本を思い出して、今回読みました。

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3.11東北大震災の翌年(2012年2月)に出版された

赤坂憲雄【編】『鎮魂と再生』東日本大震災・東北からの声100 です。

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赤坂憲雄【編】『鎮魂と再生』東日本大震災・東北からの声100藤原書店 2012.3.30刊)/本書表紙カバー

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485ページの分厚い本で、東日本大震災の被災4県(宮城・岩手・福島・青森)で行われた、100人余の「聞き書き」の集録です。

 

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(本書表紙カバー)

 

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(本書表紙カバー)

 

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(本書表紙カバー)

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本稿では、『鎮魂と再生』100余人の中から、岩手県の25人に絞って、聞き書きの対象となった方々のお名前とタイトルを紹介することにします。私が岩手出身者であることもあり、岩手の聞き書きを読み、被災者自身が語る大震災の災害の大きさ、生々しさを知ることができました。恥ずかしながら、私のささやかな「復興支援」の気持ちを込めて。

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<本書の構成>

宮城県(p.19~288) 語り手  61人

岩手県(p.289~398)    25人

福島県(p.399~410)      2人

青森県(p.411~478)    20人

 4県合計            108人

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岩手県

宮古市

忘れず生きていく」 田澤しのぶさん   [聞き手=手塚さや香]

 

山田町>(聞き手=手塚さや香

『「アカモク』を山田復興のシンボルに」 大杉繁雄さん  [聞き手=手塚さや香]

もう一度、山田に家を」 白戸 哲さん  [聞き手=手塚さや香

 

大槌町

本で古里の未来の一頁を開きたい」 木村 薫さん  [聞き手=滝沢真喜子]

いろんな悲しみを持つ人と共に生きる」 吉崎金弘さん  [聞き手=手塚さや香]

 

釜石市

津波にめげず生き抜く」 雁部英寿さん  [聞き手=小笠原 矗] 

 

大船渡市

北限の鰹節屋と一通の手紙」 川原宰己さん [聞き手=木瀬公二] 

死んでたまるか」 小松 格さん [聞き手=木瀬公二] 

大船渡と大家族から離れて」 佐藤喜和子さん   [聞き手=手塚さや香] 

生き残った証に」 本間文麿さん   [聞き手=木瀬公二] 

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陸前高田市

陸前高田と盛岡をつなぐ」 斎藤 純さん(作家) 

高田病院の生還」 石木幹人さん   [聞き手=千葉由香] 

震災の街で」 伊藤紗智子さん  [聞き手=千葉由香] 

ぬぐえぬ思い」 大和田美和子さん   [聞き手=千葉由香] 

歴史は語る」 荻原一也さん  [聞き手=千葉由香]

観音様が『急ぎなさい』と言った」 菅野カウ(こう)さん   [聞き手=木瀬公二]  

孫が家族の命を救った」 菅野高志さん   [聞き手=木瀬公二]  

文化財レスキューの現場から」 熊谷 賢さん   [聞き手=千葉由香]

忘れない / 忘れられないために」 佐藤一男さん   [聞き手=千葉由香] 

『天国風呂』の宿」 鈴木繁治さん   [聞き手=千葉由香] 

前を向くということ」 高澤公省さん   [聞き手=千葉由香] 

ピアノの『ピ』が生まれた日」 田村尚子さん   [聞き手=千葉由香] 

『ついていたから』できたこと」 田村 満さん   [聞き手=木瀬公二]

気仙大工がみた震災」 藤原出穂さん   [聞き手=千葉由香] 

 

一関市

人は一人では生きていけない」 佐々木隆さん   [聞き手=滝沢真喜子] 

 

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写真:Atelier秀樹

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『秀樹杉松』122巻3776号 2021.5.4/ hideki-sansho.hatenablog.com #816

真山 仁『それでも、陽は登る』~神戸と東北 ー 二つの被災地をつなぐ震災三部作(完結編)~を読みました。

 

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真山 仁『それでも、陽は登る』震災三部作 完結編)/ 祥伝社 本書表紙カバー
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1.17阪神淡路大震災(1955)3.11東日本大震災(2011)には大きな衝撃を受けました。東北出身者ということもあり、また津波災害・原発事故でもあった東日本大震災には、特に大きな関心を持っています。

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新聞広告で見つけた

『それでも、陽は登る』(真山 仁著)を買って読みました。書名が「陽はまた登る」に似ているのと、「震災三部作」の完結編にあたる、というのが決め手でした。

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本書表紙カバー

 

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本書表紙カバー

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災害支援・復旧・復興の活動に、私は参加したことはありません。いろんな報道、レポート、文献などで、ある程度は知ってるつもりでしたが、今回の読書で、復興支援活動ににたずさわる人々の姿を知りました。(しかし、今回読んだのは、震災三部作の完結編のみです)

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震災三部作の構成と書名は、次の通りです。

第1弾 『そして、星の輝く夜がくる』

第2弾 『海は見えるか』

完結編 『それでも、陽は登る』

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本書に差し込まれている栞「祥伝社 文芸書*2月の新刊」には、こう書かれています。

住宅、五輪、ボランティア、産業誘致など、被災地「復興」の掛け声の下で生じる新たな課題

俺は何をするべきか ー 主人公がたどり着いたひとつの結論とは。

未来への希望を描く珠玉の物語

「3.11」から10年。著者入魂の物語。

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写真:Atelier秀樹

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『秀樹杉松』122巻3775号 2021.5.3/ hideki-sansho.hatenablog.com #815

馳星周『帰らずの海』を読みました。「警察小説」というジャンルの小説、とは知らずに。でも、読んでよかったです。

 

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馳星周『帰らずの海』(徳間文庫)

 

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本書カバー

 

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本書カバー

 

警察小説

本書カバーのキャッチコピーは「警察小説の傑作」。松本清張とか森村誠一の「推理小説」は愛読しましたが、「警察小説」なるものは読んだことがありませんでした。そもそもこう言う呼び名は、最近ではないでしょうか。

 

ウィキペディアja.m.wikipedia.org)に伺いをたてると、こうでてきました。

推理小説(ミステリー)の一つの形式であり、警察官もしくは刑事、あるいは彼らを含む警察機構や組織の事件・犯罪に対する捜査活動を軸に展開する小説のジャンル。

推理小説の中で主役を張ることが多い探偵に対して「脇役」的存在であることの多かった「警察官と言うポジションを主人公、またはそれを中心とした立場に置いたもの

 

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本書を読み、そして今紹介したウィキペディアの定義で、「警察小説」なるものを知りました。正直言えば、この種の小説にはあまり関心がなく、読むこともないと思いますが、次の理由・契機で本書を紐解きました。

1)『少年と犬』『四神の旗』『比ぶものなき』『陽だまりの天使たち』を読んで感動した馳星周の作品であるから

2)書名の『帰らずの海』に惹かれて

 

読んだ感想を言えば、これまで知らなかったジャンルの小説、「なるほど、こう言う世界もあるのか」。どう言う世界かは、本書の内容に関わるので触れませんが、馳星周氏はなかなかの作家ですね。色んな小説を書いているので、どれか一つでもお読みくださることを、お薦めします。

 

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写真:Atelier秀樹

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『秀樹杉松』122巻3774号 2021.5.1/ hideki-sansho.hatenablog.com #814