『少年と犬』で、今年の第163回直木賞を受賞した馳 星周さん。『少年と犬』『比ぶ者なき』に続いて、『陽だまりの天使たちーソウルメイトII』を読みました。いつもながら「感動!」。
<秀樹杉松>9/6の馳星周『少年と犬』でも言及したように、私は「犬は怖い」(子犬は可愛いが)と思ってきました。犬を散歩させている人を、複雑な気持ち(いいなあ。だけど俺はやらない)で見てきました。
それが『少年と犬』を読んで、大きな衝撃と感動を覚えたのです。自分の知らない世界、犬と人間の関わりを知り、何よりも「犬」そのものを見る目が転換したのです。今回の『陽だまりの天使たち ーソウルメイトII』で、その感を強くしました。
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本書の表紙カバーには「人間が犬を選び、犬が人間を選ぶ。その先に生まれる信頼関係が ”ソウルメイト”の証」とあります。
本書冒頭の<いつもそばにいるよ>に、6ページにわたって、犬のぼくちゃんの語りが書かれています。
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ぼくたちはね、人間と違って今を生きるんだ。その瞬間、瞬間に、楽しかったり嬉しかったり怖かったり悲しかったり。・・・今がすべて。大切なのは今だけ。せっかくぼくらと暮らしているんだから、あなたたちも今を楽しもうよ。
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ぼくはずっとあなたたちのそばにいるんだよ。ぼくとあなたたちは魂で繋がっているんだから。魂の絆は永遠なんだから。だから、約束してよ。新しい子を迎えるって。その子に、ぼくにしてくれたのと同じことをしてあげて。
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本文から2箇所だけ紹介します。
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エマは天使だ。犬はみんな天使だ。傲り高ぶって汚れた人間たちを癒すために神様が遣わした天使なのだ。「ありがとう、エマ」(p.260 安楽死されるエマへ )
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そう。出会った瞬間から、ぼくたちは魂の伴侶なんだよ。「魂の伴侶……」。そう。英語じゃソウルメイトって言うんだって。(p.359 バーニーズ・マウンテン・ドッグ ー魂の伴侶ー)
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(写真:Atelier秀樹)
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『秀樹杉松』116巻3052号 2020.9.19/ hideki-sansho.hatenablog.com #692