秀樹杉松

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「女遊坂」と「女遊部」/「女遊戸」~ 坂研究メモNo.15:岩手県の坂(11)

 

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このところ毎日のように、ネットで坂情報を検索していますが、先日「女遊坂」が見つかりました。

普通に読めばオンナアソビ坂かジョユウ坂。女が遊ぶのか、男が女遊びするのか、どっちにしても面白い坂名。よく見たらカナが振ってある。あまりに小さいので、虫眼鏡使っても読めない。どう見ても、オンナアソビやジョユウではない。

 

翌日でもじっくり調べようかと、他の検索に移った。ところが、翌日いくら検索しても「女遊坂」は出てこない。代わりに「女遊部」「女遊戸」が出てくる。どちらも岩手県がらみ。

どういう場面で「女遊坂」に出会ったのか、三日間も考えたが思い出せないし、いろいいろな検索を試みてもアクセスできない。致し方ないので、「女遊部」と「女遊戸」に取り掛かることにしました。

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「女遊部」オナッペイ、オナッペ、オナッベという苗字で、岩手県釜石市宮古市地名が見られる。語源はアイヌ語で「オ、サッ、ペ」(註=誤植にあらず)」に由来し、「川口の・乾く・川」の意味(myoji-yurai.net)。釜石市両石町に「女遊部」という集落があり、「おなっぺ」と読むそうです(google.co.jp)。

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「女遊戸」を調べたら、こちらは「おなつべ」と読み、岩手県宮古市のバス停(宮古市崎山第5地割)が出てきました。それにとどまらず、宮古市

「女遊戸海水浴場」(おなつべ) があるのです。(city.miyako.iwate.jp)。

この女遊海水浴場は、環境省選定の「海水浴場百選」にも指定されているそうです。(water-pub.env.go.jp

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「女遊戸」(岩手県宮古市)地名の由来

 

Y! 知恵袋 (detail.chiebukuro.yahoo.co.jp)への質問へのベストアンサー(潤呂弾さん)

「諸説あり。アイヌ語で「川の末端の方が切れるもの」という説があるそうです。

また、むかし流行病が広まったとき、女やこどもを守るために保護施設を建て、一時的に隔離したが、元来が健康な人間だから、なかで遊んでいるように見えた。それで女遊戸という名称が生まれて地名になった、という説もある」

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随想 アイヌ語地名考st.rim.or.jp

アイヌ語系の古地名で、オ・ナ・ツィ・ペ = オナツィペ = 川尻・の方が・きれる・者(川)

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◉ ”諸説ある”は当然でしょう。ついでに、私も参加。

はっきりしているのは、アイヌ語のオナッペ(オナツィペ=川尻が切れる川?)に、似た発音の日本語の漢字を当てたのでしょう。つまり、「オナ」に「女」を。私は東北出身なので、子供の頃はよく方言を使いました。

 

一つの特徴は、語尾に「コ」とか「ベ」、「ぺ」をつけました(今でも?)。児童=童(わらし)を「わらしッコ」、を「むすめッコ」、女を「おなゴ」。そして、馬の子を「うまのこッコ」。「そうだね」を「そうだンベ」「うんだベ」、「無いだろう」を「なかッペ」「なかんベ」。

 

女遊部や女遊戸の語尾の「部」や「戸」は大した意味はなく、部・戸はどちらも「へ」と読める。部屋(へや)、二戸(にのへ)、、。だから「へ」は「ぺ」「べ」に通じる。私には、「オナッペ」「女遊び野郎」ぐらいにしか響かない

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◉それにしても、「女遊坂」はどこに隠れてしまったのか?

記憶違いではない。このとき一緒にメモした「乙部坂」「級坂」「待敷坂」も出てこないのだから、、、、。

 

後日補記

女遊坂は隠れたのではなくちゃんとありました国立国会図書館の蔵書検索システムで「女遊坂」を見つけたのでしたが、翌日うっかりして一般のネット検索で探したので、出てこなかったのでした。つまり、間違った検索をしたのでアクセスできなかっただけのことで、お騒がせいたしました

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写真:Atelier秀樹

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『秀樹杉松』123巻3797号 2021.6.30/ hideki-sansho.hatenablog.com #837