明治維新 ~ 【第一部】維新の煌めく群像、【第二部】津田左右吉『明治維新の研究』の「サイゴウ・タカモリ」論
このところ「政治」と「歴史」が多かったですが、この号の「明治維新」で締めます。
明治維新といえば知らない人がいないほど、日本歴史上の画期的な時代でしょう。視点・観点などでいろんな見方があると思います。その中でも関心が高い「明治維新の煌めく群像」と「西郷隆盛」論を取り上げます。
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【第一部】維新の煌めく群像 ~ ネット情報から
1)維新の三傑 ~ ウィキペディア( ja.m.wikipedia.org)
1. 西郷 隆盛(薩摩藩 1827~77)
2)維新の十傑 ~ ウィキペディア( ja.m.wikipedia.org)
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4. 小松 帯刀(薩摩藩)
6. 前原 一成(長州藩)
7. 広沢 真臣(長州藩)
8. 江藤 新平(肥前藩)
9. 横井 小楠(肥前藩)
10. 岩倉 具視(公家)
3)維新の十傑 〜 DIAMOND (diamonnd.jp)
1. 後藤象二郎
2. 木戸 孝允
3. 小松 帯刀
4. 江藤 新平
5. 西郷 隆盛
6. 大村益次郎
7. 広沢 真臣
8. 岩倉 具視
9. 横井 小楠
10. 大久保利通
4)明治維新を引き起こした中心的人物15人 ~ ホンシェルジェ
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11. 伊藤 博文(最初の内閣総理大臣)
12. 高杉 晋作(壮絶たる男の生きざま)
13. 坂本 龍馬(幕末の異端児で人気者)
14. 吉田 松陰(奇人変人といわれた男)
15. 勝 海舟(粋な江戸っ子で龍馬の師)
5)明治維新の重要な人物 ~ 歴史人(history-men.com)
1. 坂本 龍馬
2. 西郷 隆盛
3. 大久保利通
4. 木戸 孝允(桂小五郎)
5. 高杉 晋作
6. 徳川 慶喜
7. 岩倉 具視
6)幕末・維新の人々 (1) ~ 国立国会図書館(ndl.go.jp)
1. 吉田 松陰
2. 坂本 龍馬
3. 中岡慎太郎
4. 高杉 晋作
5. 藤田 東湖
6. 木戸 孝允(桂小五郎)
7. 大山 綱良(格之助)
8. 板垣 退助
9. 三条 実美
10. 岩倉 具視
7)幕末四賢候
1. 松平 慶永(春嶽)福井藩14代藩主
2. 伊達 宗城 宇和島藩8代藩主
3. 山内 豊信(容堂)土佐藩15代藩主
4. 島津 斉彬 薩摩藩11代藩主
8) 歴史人物イラスト〜幕末・明治維新 〜 RICOH PrintOut (printout.jp)
1. 徳川 慶喜
2. 松平 容保
3. 土方 歳三
4. 桂 太郎(藩士時代)
5. 渋沢 栄一
6. 南方 熊楠
7. 東郷平八郎
8. 陸奥 亮子
9. 桂 小五郎(木戸孝允)
10. 西郷 隆盛(西郷どん)
11. 坂本 龍馬
12. 勝 海舟
13. 大久保利通
14. ペリー提督
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【第二部】津田左右吉の「サイゴウ・タカモリ」論 ~『明治維新の研究』から
秀樹杉松(11/8)で津田左右吉『古事記及び日本書紀の研究』を取り上げました。今回は『明治維新の研究』巻末の「おわりに―サイゴウ・タカモリ」を部分引用します。津田さんの西郷隆盛論をお読みください。冷静沈着で客観的な歴史家のサイゴウ・タカモリ論を。
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サイゴウ・タカモリは明治時代になってから、維新の元勲と言われ、一般には非常な英傑のように思われてきたらしく、いわゆる征韓論の実現せられなかったことを遺憾とし、または十年の役(西南戦争)を起こした心事を種々に忖度して彼を弁護せんとするものもあった。(p.282)
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もし初めから英雄視していないならば、征韓論の実現せられなかったことは日本の幸いであったとも考えられようし、十年の役に失敗したのは、失敗を予想することができなかったほどに、当時の日本の情勢と彼みずからの能力とに対する明察が彼になかったからだとも見られよう。(p.282)
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当時のサイゴウは思慮の周到な実行家ではなく、ある程度の空想的傾向を帯びているとともに、おのが欲するところに適合するような、または志を同じくするものから伝えられた風説をばその真偽を慎重に判断することなくして軽信する人物であったことが知られるようである。(p.285)
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彼の外交に関する言葉が後までも浅薄軽浮なものであることを思うと、彼は当時の世界の形勢などはほとんど知らなかったのではないかと推せられる。(p.285)
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彼が浪人輩と共通な思想を持っていたというのは、武力によってでも幕府に反抗しようとする点であり、心理的に共通の点があるというのは、自己及び自己に与するものの主張と行動とを正論正義とし、それに反するものを奸謀奸策とするところに、その主なるものがある。(p.286)
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彼が維新の元勲と言われるに値する人物であったかどうかは知らぬが、
幕府の政権を顛覆させるためにはたらいた点において、維新という政治上の変革の行われる一つの力となったことは、承認せられるであろう。(p.296)
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ただサイゴウのトクガワ氏の処置に関する意見には慶応四年になってから幾らかの変化があったようにも思われるので、それがカツ・カイシュウの働いたためであるかどうかはよし明らかではないにせよ、東征軍を東下させた時の考えとは変わってきたことがほぼ推測せられるようでもある。(p.296)
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しかし明治時代になってからのいわゆる征韓の主張にも、また十年の役を企てたことにも、維新前の彼の言動となって現れたのと同じ心理がそれにはたらいていたのではなかろうか。(p.296)
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日本人とは全く異なる心理を持っている朝鮮民族に関する知識が彼にどれだけあったか、十年の役を起こすに当たって、彼は当時の日本が維新前に彼の行ったような権謀をはたらかせ得る情勢であると思っていなかったのか、あるいはまた彼は、部下などの報告するところを軽信して、われ一歩足を挙げれば天下の事忽ち成るという空想を抱かなかったか。(p.296)
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要するに明治時代の彼も依然たる維新前の彼ではなかったか。明治時代の彼の背後には依然として封建勢力としてのサツマがあり、その部下は服装と武器とを新しくしただけの昔ながらの武士であり、彼の行動にはどことなく明朗でない空気が伴っていたのではなかろうか。(p.296~297)
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<編注>
カナ書きは原文通りに引用しました。本書『明治維新の研究』の「はじめに」の末尾に、以下のように書かれています。
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付記
わたくしは人名や地名をカナで書くことにしているが、人名の漢字を当ててあることばのわかりかねる場合には字音で書き、また字音は普通の発音に近いカナで記す。
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写真:Atelier秀樹
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『秀樹杉松』126巻3856号 2021.11.24/ hideki-sansho.hatenablog.com #896