作家・佐伯一麦と作品『二十六夜待ち」
映画化され、12月上映されるそうです。 / Atelier秀樹
Wikipediaによれば、佐伯一麦(さえきかずみ)は1951年宮城県生まれ、仙台一高卒。私小説の書き手として知られるそうですが、私は初めて知りました。歴史小説、時代小説愛好者の自分には手が届かなかったようです。昨日の「秀樹杉松」11/17号「二十六夜待ち」を書いたのが縁となって、同名の小説の存在を知った。知ってよかったです。
<輝かしい文学賞受賞暦>
先ずびっくりしたのは、佐伯一麦の文学賞受賞歴がすごいことです。
1990 野間文芸新人賞(ショート・サーキット)
1991 三島由紀夫賞(ア・ルース・ボーイ)
2004 大佛次郎賞(鉄塔家族)
2007 野間文芸賞(ノルゲ Norge)
2014 毎日文芸賞(還れぬ家)
2014 伊藤整文学賞(渡良瀬)
早速「二十六夜待ち」を読んだが、純文学作品に疎い私には、簡単に内容把握はできませんでした。今年12月に映画化されると知ったので、ネットで調べたら格好の情報にアクセスできました。これを読んで、小説の内容がやっと理解出ました。
<ブログKINENOTE >から
由美(黒川芽以)は、震災で何もかも失い、今は福島県いわき市の叔母の工務店にひとり身を寄せている。心に傷を抱えた由美だったが、少しは外に出なければと叔母に促されるように、路地裏の小さな飲み屋”杉谷”で働き始める。だが店主の杉谷(井浦新)には、謎めいたところがあった。彼は、記憶を全て失い、失踪届けも出されていなかったため、どこの誰ともわからない。はっきりしているのは、手が料理をしていたことを覚えていることだけであった。今では小料理屋を任されるまでになったが、・・・・。
<作者の解説から>
「二十六夜待ち」所収の『光の闇』の<あとがき>で、作者の佐伯一麦は次のように書いている。これを読んで、さらに理解が深まりました。
→ ずいぶん前から、欠損感覚を通して身体感覚を探ってみる小説を書いてみたいと思い続けてきた。身近に、聴覚や視覚をうしなった知人がいたこともある。また、自分自身がアスペスト禍に遭い、身体の内側に思いを寄せることが多くなったせいもあるかもしれない。(中略)
末尾に収録した「二十六夜待ち」は、十六年前に、院外処方を受けた喘息の薬の包み紙 にしてあった地元紙の記事で、山中で記憶を失った男の話を偶然目にしてから、いつか小説にしたい、とスクラップしてずっと温めてきた。(後略)
(秀樹杉松 88巻/2491号)2017.11.18 #blog131