秀樹杉松

祖父と孫、禾と木、松と杉

【コロナ読書】カミュ『ペスト』を読む。コロナとの闘いをしながら、ペストとの壮大で激烈な闘いを偲びました。

 

 

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1)カミュ『ペスト』(宮崎嶺雄訳、新潮文庫)を、やっと読み終えました。初めて読むノーベル文学賞作家カミュの小説、しかも歴史的巨編とも言える『ペスト』への挑戦。正直、読むのに苦労し、時間もかかりましたが、読んでよかったです。

 

 

2)いま国内と世界で展開されている「新型コロナウィルス」との闘い。今回少し調べて、SARSコロナウィルス(2002年)、MERSコロナウィルス(2012年)を詳しく知りました。そういえば、当時ニュースで報道されていました。現在当面している新型コロナウィルスは、SARSコロナウィルス2(COVID-19:コビッド・ナインティーン)なそうです。

 

3)私はいつものように、予備知識なしにいきなり読みましたが、本書に関する限り、著者・小説について事前の情報があったほうがよろしいかと思います。本書の表紙、カバー、帯の写真をご覧ください。
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4)『ペスト』(カミュ著)の読後感を書きたいのですが、とてもじゃないが、私の手には負えません。私の稚拙な文章に代えて、権威あるWikipediaja.m.wikipedia.orgさんによる、著者・作品紹介の引用をお許しください。
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アルベール・カミュ(著者)>

 

アルベール・カミュAlbert Camus:1913年11月7日 - 1960年1月4日)は、フランス小説家劇作家哲学者フランス領アルジェリア出身。第二次世界大戦中に刊行された小説『異邦人』、エッセイ『シーシュポスの神話』などで不条理の哲学を打ち出して注目され、戦後はレジスタンスにおける戦闘的なジャーナリストとして活躍した。

 

戦後に発表した小説『ペスト』はベストセラーとなり、1957年、史上2番目の若さでノーベル文学賞を受賞した。カミュの著作は不条理という概念によって特徴付けられている。カミュの言う不条理とは、明晰な理性を保ったまま世界に対峙するときに現れる不合理性のことである。そのような不条理な運命を目をそむけず見つめ続ける態度が「反抗」と呼ばれる。そして人間性を脅かすものに対する反抗の態度が人々の間で連帯を生むとされる。
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<『ペスト』(カミュ著)>

 

『ペスト』(: La Peste)は、フランスの作家・アルベール・カミュが書いた小説。出版は1947年1957年に40歳台前半でノーベル文学賞を受賞したカミュの代表作の一つである。

 

フランツ・カフカの『変身』とともに代表的な不条理文学として知られる。カミュは、中世ヨーロッパで人口の3割以上が死亡したペストを、不条理が人間を襲う代表例と考え、自らが生まれ育った北アフリカのフランス領を舞台にしたこの小説を書いた。

 

物語は、フランスの植民地であるアルジェリアオラン市をペストが襲い、苦境の中、団結する民衆たちを描き、無慈悲な運命と人間との関係性が問題提起される。医者、市民、よそ者、逃亡者と、登場人物たちはさまざまだが、全員が民衆を襲うペストの脅威に、助けあいながら立ち向かう。
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<宮崎嶺雄>(翻訳+解説)
本書の翻訳者:宮崎嶺雄氏の日本語訳文も素晴らしいです。また、巻末に宮崎嶺雄氏による長文(17ページ)の「解説」が掲載されているので、少しだけ紹介します。

 

アルベール・カミュは今度の大戦中にはじめて現れた新人であったが、わずか数年にして早くも世界的な声価を担う作家となり、その作品は一作ごとに世界の視聴を聚(あつ)めつつあったと言っても過言ではない。(「解説」冒頭  p.459)

 

○青年時代から十分な文学的修練を積んだカミュの文体が、ジッドを通じて象徴派を継承しつつフランス古典の伝統につながっていることが、フランス文学の主流を代表する作家として、彼に大きな期待をいだかせる有力な理由となっているものと思われる。(p.459-460)

 

○彼の名声が急速に世界的なものとなり、一九五七年四十四歳という異例の若さでノーベル文学賞を受けるに至ったことは偶然ではない。(p.460)

 

○『ペスト』はカミュ「不条理の哲学」が初めて十全の具象的表現をもちえたものとして、彼の作家生活に一段階を劃した最も重要な作品である。(p.475)

 

○ペストの象徴するものが、なによりも戦争の体験によってもっとも痛切に理解されることは、最初に述べたとおりであるが、しかしここに描かれたものと戦争との重大な相違は、それがまったく殺戮(さつりく)のない戦いだということである。(p.475)
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写真:Atelier秀樹
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『秀樹杉松』113巻2995号 2020.5.15/ hideki-sansho.hatenablog.com #635