西條奈加『心淋し川』を読む ~ さすが「直木賞」受賞作品ですね、読んでよかった!
書店の新刊書コーナーで目に止まり、(著者の名は知らなかったが)三つの理由で選択しました。①直木賞受賞作品、②書名(心淋し川=うらさびしがわ)、③著者のお名前「奈加」。
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私は、芥川賞よりも直木賞受賞作品の方が好きです。もちろん、書名や著者名も重視します。しかし初めて聞く(見る)お名前:西條奈加に一瞬戸惑ったが、母の「ナカ」と同じなので、ぜひ読んでみよう!と。
「うらさびしい」という言葉を知ってはいたが、「心淋しい」と書くとは(正直)知らなかった!
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表紙カバーの帯に目をやると、「江戸の片隅、どぶ川沿いで懸命に生きる人々のささやかな喜びと深い哀しみが胸に沁みる感動連作!」とある。
ここまでわかれば、1600円は安い。実際に読んだ感想は、期待以上であった。久しぶりで、心温まる小説を読んだので、ブログ<秀樹杉松>に投稿したくなりました。皆さま、よろしかったら本作品『心淋し川』をお読みください。
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<著者:西條奈加さん>
著者の西條奈加さんは、(私が知らなかっただけで) 1964年生まれの56歳。日本ファンタジーノベル大賞受賞で2005年にデビュー。中山義秀文学賞、吉川英治文学新人賞。そして、本書『心淋し川』で第164回直木賞受賞(2021)。初期はファンタジー要素のある時代小説であったが、のちに一般の時代小説に移行したそうです。
(作品リスト)
金春屋シリーズ、善人長屋シリーズ、神楽坂日記シリーズ、南星シリーズ、その他の作品
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<六つの短編連作>
本書の内容にわたる紹介は控えますが、一つだけ。この小説は六つの短編からなっています。
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○心淋し川(うらさびしがわ) ○閨仏(ねやぼとけ) ○はじめましょ ○冬虫夏草(とうちゅうかそう) ○明けぬ里 ○灰の男
全く別の短編だと思って読みはじめましたが、読み進めるうちに「なんかおかしい」。別々ではあるが、関連しているような妙な感じ。最後の「灰の男」を読んでやっと分かりました。「別々だが関連をもっている」のです。表紙カバー帯の「・・・胸に沁みる感動連作!」、つまり「連作」なんですね。
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本書の舞台は、以下のように賑やか(静か?)な町や川などが登場します。私は東京在住66年ですが、川歩きや坂めぐりなどで行ったことのある場所が多いです。
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千駄木町、心町、心淋し川、曙川、藍染川、根津門前町、根津権現、護国寺、宮永町、駒込浅嘉町、白山権現、ヤッチャ場(青物市)、浜町川、八丁堀、不忍池、南北の町奉行所、日本橋通り二丁目、、、。
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写真:Atelier秀樹
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『秀樹杉松』121巻3745号 2021.3.2/ hideki-sansho.hatenablog.com #785