秀樹杉松

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悲しい坂名「女殺し坂」〜 坂研究メモ No.11:岩手県の坂(7)

 

 

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坂の名前の中には、「男坂」「女坂」「夫婦坂」「女夫坂」など、微笑ましい名称が見受けられます。ところが、今回「岩手県の坂」を調べていたら、思いもしなかった悲しい坂名に遭遇しました。

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一関市の「女殺し坂」です。「いちのせき市民活動センター」資料によると、

「昔、暗がりの坂で男が愛する女を誤って殺してしまったという悲しい民話が名称の由来とされている。」

 

<註>調査メモには、もう少し具体的に書かれてもいます。

「昔、夕暮れに坂を登っていた男が怪女に出くわし、恐怖で殺してしまったが、よく見ると自分が愛する妻だった、という悲しい民話が名称の由来とされています。」

 

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<民話の詳細>

「今から約400年前、栗原から中里村に嫁いだ娘がいました。夫婦となった中里の男とは離縁したものの、別れた後も夫婦の愛は続いていました

ある時娘は再婚祈願のために舞草観世音に願掛けに出かけました。その夕暮れ時の帰り道、娘が山中で石に座り休憩していた所、偶然にもそこに旦那だった男が通りかかりました。暗さで娘を怪女と見間違えた男は、驚きと恐怖のあまりその場で女を殺してしまいました。

殺した後に顔をよく見ると自分が愛する元妻だとわかり、男は嘆き悲しみ、出家して生涯妻の冥福を祈りました。」(「いちのせき市民活動センター」調査資料から)

 

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実に悲しい民話に由来する坂名ですね。泣けてきます!  

なお、同センター資料によると、この山道は芭蕉行脚の道で、昔は旅人や商人が利用していた道とも、言われているそうです。

 

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写真:Atelier秀樹

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『秀樹杉松』123巻3793号 2021.6.19/ hideki-sansho.hatenablog.com #833

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