秀樹杉松

祖父と孫、禾と木、松と杉

言の葉 秘話 〜 マクドナルド、ドンキホーテ、カフェオレ、おお それ見よ!、Sophia University、ちえき

 言葉で苦労しました  /  Atelier秀樹

 東北の農村で生まれ育った私が、東京に出てきて一番困ったのは言葉(語彙不足)とズーズー弁でした。「秀樹杉松」の14号ぐらい前の「モリとカケ/キツネとタヌキ」で白状したように、初めて蕎麦屋に入って「モリカケ下さい」と注文したら、「どちらですか?」「両方ですか?」と訊かれて、初めてモリとカケが別物であることを知ったのでした。

 自給自足の農村には食堂や蕎麦屋はなかったので、モリ、カケは全く知らなかったのです。今では「もり・かけ」といえば、総理や夫人を巻き込んだ大騒動として、全国いや全世界に鳴り響いているようで、隔世の感を覚えます。

 

 マクドナルド >

 宣伝でも逆宣伝でもありません。私が正確な呼称を知らなかった例です。つまり私はある時まで、マクド・ナルドと覚えてそう読(呼)んでいたのです。実際には「マクドナルド」と綴られているので、どう読もうが関係ないわけですが、マクドとナルドを分けたのは間違いでした。MacDonald’s だとわかったのは、だいぶ経ってからでした。

 <ドンキホーテ

 ドンキホーテも「ドンキ・ホーテ」だと一時思っていたが、「ドン・キホーテ」でした。セルバンテスの小説も「ドン・キホーテ」です。大学ではロシア語とスペイン語を学びましたので、Don Quijote をちゃんと覚えました。スペイン語ではjoはジョやヨではなくホです。従って、Japonはジャポンではなくハポンですね。

 <カフェオレ>

 昔の農村には食堂や蕎麦屋だけでなく、喫茶店はもちろんなかった。東京で若い連中が喫茶店に入った時の話です。私はいつも「コーヒー」だが、その時女の子が「わたし、カフェオレ」といったのにびっくり。「カフェオレ」ってどんなコーヒーかと訊いたら、ミルクコーヒーだとこっそり教えてくれた。なるほど彼女はフランス語に強かったなー。

 私は大学でロシア語とスペイン語をやったので、英語には自信があり、他の人が読めないロシア語スペイン語は知っていたが、誰でもが学ぶ独・仏語に弱かったのです。恥をかいたので、一念発起してフランス語を独学でマスターし、遅まきながら au lait の読み方や意味がわかるようになった。なお、ネットでは「カフェ・オ・レ」と厳密に書かれています。

 <おお、それ見よ!>

 有名なイタリアのカンツォーネナポリ民謡)は「おお、それ見よ!」だと思っていた時代もありました。ナポリ語 ’O sole mio で、sole mio は my sun。’Oは感嘆詞ではなく冠詞なそうです。イタリア語だと il sole mio。(Wikipedia)。

「おお、それ見よ!」は大間違いで、「オー・ソレ・ミオ」(私の太陽)が正解でした。でも、もしかして、似た経験は私以外にもあるのでは?

 <チエキ>

 高校時代、国語の漢字には自信があった。テストで100点満点だと思ったら、一箇所だけ赤×がついて戻ってきた。そんな筈がないと先生に言ったら、「地域」へのカナ振りチエキ」が間違いで正解は「チイキ」だった。実はそれまで、自分は「チエキ」と読んできたのだった。田舎のズーズー弁だと、「イ」と「エ」の発音はどちらも同じ「エ」だったのです。恥ずかしい話ですが、こんな苦労はあなたにはお分りいただけないでしょう。

 Sophia University>

 仕事で文書・郵便物の仕分けを手伝っていた時の話。宛名が Sophia University の封書を見つけた。「あ、外国行きのものが紛れ込んでいる」と呟いたら、反応する人がいない。どうしてかと思ったら、何の事はない、Sophia University は上智大学のことでした。

 

◉挙げればキリがないつまらない事例ですが、こんな失敗例・恥ずかしい体験を書くのも、「加齢」のもたらす現象でしょうか。お読みいただきありがとうございました。

                   (秀樹杉松 87巻/2476号)2017.11.7   # blog116