秀樹杉松

祖父と孫、禾と木、松と杉

読書

門井慶喜『銀河鉄道の父』を読む ~ 宮沢賢治、銀河鉄道の夜、雨ニモマケズ、風の又三郎、春と修羅、永訣の朝、注文の多い料理店、イーハトヴ(イーハトブ)、よだかの星、どんぐりと山猫、セロ弾きのゴーシュ、花巻農学校、本郷区菊坂町……

門井慶喜『銀河鉄道の父』 (講談社 2017年刊。第158回直木賞受賞作) 石川啄木と宮沢賢治は、私の高校(当時は中学校)の偉大なる大先輩です。郷土の天才ですから、経歴・生涯・作品は一応は知ってるつもりでした。だが、先日書店で購入した『銀河鉄道の父』(…

内田康夫さんの訃報に接し、驚きと悲しみでいっぱいです。『孤道』続編 刊行を見られずに、無念だったでしょう。心から哀悼の誠を捧げます。

今朝の朝刊の1面に、内閣支持率の急落が報道されている。やっと国民も「殿の乱心」に気がついてきたんだな、と感じつつ社会面を開いたら、次のような記事が出ているのに驚いた。 内田康夫さん死去 83歳 作家、浅見光彦シリーズ 記事によると、13日、敗血症…

葉室麟『大獄 西郷青嵐賦』を読む。維新前夜の西郷吉之助(隆盛)、いま必読の歴史小説。

葉室 麟『大獄 西郷青嵐賦』(文藝春秋 2017) 名作を次々に発表した葉室麟(1951-2017)は、昨年暮れの2017年12月23日に逝去されました。訃報に接した私は、直後から今日まで図書館から貸し出して既に35冊以上を読み、幾つかについてはこの『秀樹杉松』で取…

葉室 麟『この君なくば』を読む。ーこの君なくば一日もあらじ。懸命に生きる男女の清冽な想い。勤皇佐幕で揺れ動く幕末が舞台。

葉室 麟『この君なくば』(朝日新聞出版、2012) 私は特定の作家の作品を集中的に読むことが多い。その際はできるだけ、発行年順に読むようにしている。最初から全冊読むつもりなら機械的になるが、面白そうなものを選ぶとなれば、やはり書名が気になる。『…

葉室 麟『あおなり道場始末』を読む。仲良し3きょうだいが主人公。運命のいたずら、思いがけない展開と興奮、壮烈な派閥争い。息つまる波乱万丈の、推理時代小説!

葉室 麟『あおなり道場始末』(双葉社、2016) 葉室小説の出だし(序章)がいつも絶妙である。特に主人公などの登場人物の描写が優れており、わかりやすい。最後まで読み切ってから念のため冒頭に戻ってみると、なるほど全てはここから出発している、と思い…

葉室 麟『草雲雀』を読む。~ブログ『秀樹杉松』投稿200号記念に、名作をお届けします。

葉室 麟『草雲雀』(実業之日本社、2015) 「草雲雀(くさひばり)」という美しい書名にひかれて読もうとした。やっと「利用中」が解けて、図書館から借りだして読むことができた。 主人公は幼馴染の清吾と伊八郎。そして、伊八郎の父・清吾の妻。藩首脳の派閥…

葉室 麟『はだれ雪』を読む。「忠臣蔵を独自の視点で切り取った勇気と希望の物語」(www.bookbang.jp)。いつものセリフで恐縮ですが「感動しました」。

葉室麟『はだれ雪』(角川書店、2015) 葉室麟作品を30冊も読んだ私ですが、書名だけでは主題や内容はわかりません。この際だから正直白状しますが、魅力的な書名の『花や散るらん』を読もうかと思ってネットで調べたら、赤穂浪士事件がテーマだとわかり、…

葉室 麟『潮騒はるか』を読む。亡くなる年の作品。シーボルトの娘「いね」も登場。

葉室麟『潮騒はるか』(幻冬舎、2017) 前号の葉室麟『星火瞬く』に続いて、『潮騒はるか』を取り上げます。前回の主人公アレクサンダー・シーボルトは、シーボルト事件で日本を追われたシーボルトの息子でしたが、今回登場の「いね」はその姉(腹違い)です…

葉室麟『星火瞬く』を読む。幕末を舞台とした「革命家」たちの登場。シーボルト父子、バクーニン、清河八郎、小栗忠順、勝麟太郎、高杉晋作。~葉室麟、異色の歴史小説。

葉室麟『星火瞬く』(講談社、2011) これまで読んできた葉室麟の「時代小説」の感動とはやや異なるが、幕末の日本を舞台とした国際色豊かな「歴史小説」として、面白く為になった。小説の「わたくし」役はシーボルトの息子で、語り手でもある。その意味では…

感動と衝撃の名作・若竹千佐子『おらおらでひとりいぐも』(芥川賞受賞)を読む。おばあさんの「哲学」、老いと死を真正面から取り上げた、人生哲学小説!

第158回芥川賞受賞作(河出書房新社) 若竹千佐子『おらおらでひとりいぐも』 158回芥川賞受賞の若竹千佐子『おらおらでひとりいぐも』(河出書房新社2017刊)を読みました。葉室麟の小説に感動を覚えている私ですが、この若竹さんの作品には感動を超えた衝撃…

葉室麟『霖雨』を読む。広瀬淡窓と私塾「咸宜園」。漢詩「休道他郷多苦辛…」

私の注目点の一つは、葉室麟の小説の書名。「風」と「花」のワードが多い。 → 風渡る、風の王国、風花帖、風かおる、風の軍師黒田官兵衛、 花や散るらん、柚子の花咲く、橘花抄、無双の花、辛夷の花 今回読んだ『霖雨』(りんう)の書名も珍しい。霖雨は長く降…

<桃栗三年、柿八年。柚子は九年で花が咲く> ~葉室麟『柚子の花咲く』を読む〜「われらは先生が丹精こめて育ててくださった柚子の花でございます」

葉室麟『柚子の花咲く』(ゆずのはなさく。朝日文庫版,2013)を読みました。柚子は九年で花が咲く。葉室麟の小説には珍しく、殺人事件の発生から始まる推理小説でもある。巻末の江上剛氏の「解説」を引用します。「主人公の筒井恭平のまっすぐな生き方が魅力で…

『山月庵茶会記』(葉室麟著)を読みました。~牀前月光を看る(李白) / 少年老い易く学成り難し(池塘春草の夢) / 色よりも香こそあはれ(古今集) / 百花春至為誰開(碧眼録) / 空蝉の世にも似たるか花桜(古今集) / 巨勢山のつらつら椿(万葉集) / 照りもせず曇りもはてぬ春の世の朧月夜(源氏物語)、、、

葉室麟の小説の書名は、私には抽象的・簡潔・華麗に思われますが、今回の書名『山月庵茶会記』(講談社,2015)は、具体的で字数も6字。葉室作品のもう一つの特徴は、小説の中に和歌や漢詩などの挿入が多いことでしょう。小説のストーリーの面白さだけでなく、…

葉室麟『峠しぐれ』 『春雷』『秋霜』を読む。「革命」をもって「王道」をまもる ~『孟子』の<湯武放伐>。経世済民、惻隠の情、忍びざるの心……。

葉室麟の『峠しぐれ』『春雷』『秋霜』 の3冊を読みました。これで計14冊を読んだことになります。今回の3冊も名作で、感動しました。『蜩之記』『潮鳴り』『春雷』『秋霜』の4冊は、豊後・羽根藩を舞台とする「羽根藩シリーズ」と呼ぶそうです。小説の内…

続・安岡章太郎『流離譚』。「安岡覚之助正義」(章太郎の曽祖父) の人物像と功績。

冠雪の庭木 (今日東京に雪が降りました。東北生まれの私(Atelier秀樹)は、「♪ 犬は喜び庭駆け回る...」心持ちです。急遽、写真を載せました。) 前号で、作家安岡章太郎の曽祖父「安岡覚之助正義」を取り上げ、戊辰戦争時に棚倉で一人で泣いていた少女を…

安岡章太郎『流離譚』を読む。主人公の一人で、戊辰戦争で板垣退助総督率いる「東山道先鋒迅衝隊」の軍監を務めた「安岡覚之助正義」(安岡章太郎の曽祖父)に注目。現地で少女を助けた人物は誰か?

<安岡章太郎> 安岡章太郎は有名な小説家なので知っているが、その作品はあまり読んだことはなかった。今回ちょっと調べたいことがあり、『流離譚』(上下二冊、講談社文芸文庫)を読んだ。 安岡章太郎(1920~2013)は、吉行淳之介、遠藤周作らと「第三の新…

葉室麟『蛍草』を読む。 月草の仮なる命にある人をいかに知りてか後も逢はむと言ふ(万葉集)

葉室麟『蛍草』(2012双葉社)を読みました。その美しい書名:蛍草(ほたるぐさ)に惹かれて。魅力的なのはきれいな書名だけではない、小説の内容も素晴らしい。風早家の女中「奈々」が主人公で、奥方「佐知」、嫡男「正助」、娘「とよ」、当主の「風早市之進」…

葉室麟『おもかげ橋』を読む。高田村、姿見橋=俤の橋=面影橋、於戸姫、南蔵院、氷川神社、太田道灌、山吹の里、高田馬場、堀部安兵衛の仇討ち、赤穂義士、穴八幡宮、流鏑馬

葉室麟『おもかげ橋』を読んだ。葉室氏の作品の特徴の一つが「美しい書名」にあることは以前にも書いた。『蜩ノ記』『さわらびの譜』『辛夷の花』『風のかたみ』『柚子の花咲く」『蛍草』『峠しぐれ』『橘花抄』『恋しぐれ』『風渡る』『陽炎の門』『霖雨』…

葉室麟『さわらびの譜』『辛夷の花』『風のかたみ』を読む

葉室麟氏は昨年12月23日に逝去された。悲報を知った直後から葉室氏の作品を読み始め、これまで乾山晩愁・いのちなりけり・秋月記・蜩ノ記・散り椿 の5冊を読み、さらに今回、さわらびの譜・辛夷の花・風のかたみ という美しい書名の最近作3冊を読みました…

葉室麟『散り椿』は名作ですね。映画化され、9月公開。岡田准一・西島秀俊の共演で!

前々号で葉室麟『蜩ノ記』の感動を書きました。さすがは直木賞受賞作品でした。今回取り上げる葉室麟『散り椿』は『蜩ノ記』の翌年に書かれたものですが、私はまたまた「感動しました」。どちらも甲乙つけがたい卓越した作品ですが、わたし的には『散り椿』…

葉室麟『蜩ノ記』(ひぐらしのき) を読んで感動しました!

本ブログ『秀樹杉松』2521,2522号 (17年12月) で、葉室麟『銀漢の賦』(松本清張賞)を取り上げ、その後『いのちなりけり』(直木賞候補)と『蜩ノ記』(直木賞受賞)を読みました。今回は、葉室氏が5度目でついに直木賞を受賞した『蜩ノ記』を取り上げます。私は…

白川悠紀『白河大戦争』を読む。待望の歴史小説、期待の大型新人。

昨年(2017)11月25日に『白河大戦争』(栄光出版社) が出版された。著者は白川悠紀氏。新聞広告に気づいてすぐに買って読んだ。しかし、昨年12月の私は連日のように坂めぐりに出かけ、その結果を写真付きでブログに投稿するのに「忙しく」、今やっとこの…

島内景二「 友情の味は、恋に似て」 ~葉室麟『銀漢の賦』の解説~

前号で葉室麟『銀漢の賦』をとりあげ、文春文庫版巻末の島内景二氏の「解説」の冒頭部分を紹介しました。この作品を感動の裡に読み終えた私ですが、とても感想など書けません。しかし、島内景二氏の名解説はまことに素晴らしく、どうしても紹介したいのです…

葉室麟氏の逝去を悼み、作品を読む

遅ればせながら読んで、感動しています。 / Atelier秀樹 ◉葉室麟氏の訃報に接しました。1951年生まれなのでまだまだお若い。ご冥福をお祈りします。実は私は人並みに本は読んでいるつもりですが、恥ずかしながら、葉室氏の作品を1冊も読んでいませんでした…

作家・佐伯一麦と作品『二十六夜待ち」

映画化され、12月上映されるそうです。 / Atelier秀樹 Wikipediaによれば、佐伯一麦(さえきかずみ)は1951年宮城県生まれ、仙台一高卒。私小説の書き手として知られるそうですが、私は初めて知りました。歴史小説、時代小説愛好者の自分には手が届かなかっ…

 大川周明 『日本二千六百年史』 を読む (補遺No.2)

削除箇所の「全貌」を明らかにしました。/ Atelier秀樹 『日本二千六百年史』(大川周明著)が削除を余儀なくされた文章。上・下・補遺の3号にほぼ全部収めたつもりでしたが、遺漏があったので、この号に補遺No.2として収録します。これを含む4号で、削除箇…

大川周明 『日本二千六百年史』 を読む (補遺)

天皇と幕府に関する文章の削除が多いですね。 / Atelier秀樹 『日本二千六百年史』(大川周明著 )が削除を余儀なくされた箇所と文章。これは歴史的な資料価値があると思います。なるたけ「全容」が明らかになるよう、前2号(上・下)に本号を追加することにし…

 大川周明 『日本二千六百年史』 を読む(下)

「東亜新秩序の建設」「世界維新の実現」を訴えた / Atelier秀樹 <『日本二千六百年史』について> 戦前戦時を思想的にリードした本で、非常に難しい専門書であり、新書版で293ページという大著作である。数10万冊のベストセラーとなったそうだが、当時の国…

 大川周明 『日本二千六百年史』 を読む (上)

一緒に裁判中の東条英機の頭を叩いた大川 / Atelier秀樹 戦争教育と平和教育の両方を受けた「戦争と国民学校を知る世代」です。先日の新聞広告で大川周明『日本二千六百年史』を見て、是非読んでみたく早速購入した。著者の名前は有名なので知っているが、正…

「日本プロ野球界に革命を!」~広岡達朗『広岡イズム』を読む

広岡さんを 巨人監督 &「副コミッショナー」にしたかったですね / Atelier秀樹 私の好きな監督は、三原脩・広岡達朗・落合博満・栗山英樹の4氏です。その広岡達郎氏が『広岡イズム』という本をつい先日出しました(ワニブックスPLUS新書)。サブタイトルは…