秀樹杉松

祖父と孫、禾と木、松と杉

読書

北方謙三『楠木正成』を読む

北方謙三『楠木正成』 中央公論新社 2000年刊 読んでみようと思ったきっかけは、 1)『チンギス記』と『杖下に死す』に感動したので、もう少し読んでみたい。 2)南北朝、14世紀の時代に興味がある。 3)何よりも、楠木正成への関心。

征西大将軍・懐良親王(後醍醐天皇の皇子)の九州統一と、壮大な「夢」~北方謙三『武王の門』を読む~

北方謙三『武王の門』(新潮文庫) 1)『チンギス記』(一、二) に続いて、北方謙三氏の歴史小説第1作とされる 『武王の門』を読みました。文庫版2冊・970ページの長編で、坂めぐりなどの合間を縫い、図書館の返却期限を気にしながら、毎日少しずつ読んだ…

北方謙三『杖下に死す』(文春文庫)を読みました。あの「大塩平八郎の乱」です。

先般『チンギス紀』を読んで感激したので、北方謙三氏の小説を図書館から借り出して読んでいるところです。今回は『杖下に死す』の感想ですが、自分の手ではうまくいかないので、文庫本の解説者(末國善己氏)の解説に依拠しました。いま大相撲の熱戦がくり…

「火眼」「鳴動」 /『チンギス紀』一、二 (北方謙三著)を読む。壮大な歴史長編の開幕!

北方謙三『チンギス紀』(一) 火眼、(二) 鳴動 集英社 2018年5月30日 刊 2週間ばかり前 (8/7) のブログ『秀樹杉松』で、北方謙三著『チンギス紀』(一)「火眼」を読んだことを書きました。 もっとも内容は、幼児の頃「あ、モーコが来たぞ!」=「アモコ!…

北方謙三著『チンギス紀』一. 火眼』を読む。そして、成吉思汗 / 蒙古 / 蒙古襲来 / モンゴル /大相撲 / 強い白鵬・朝青龍 ……を思う。

◉前号にも書いたように、坂巡りなどで読むのが進まなかった『チンギス紀』(北方謙三著・集英社刊)の初巻「火眼」(かがん)を、今やっと読了しました。前号にアップした本書の表紙のオビに書かれているように、 →「ユーラシア大陸に拡がる大帝国の礎を築いた英…

坂めぐり一服 〜北方謙三『チンギス紀』(一、二)を読了できるかな?

今日は8月6日。広島原爆から73年が経った。今夜から雨が降り、9日までは傘模様がついており、台風も来るとか。8月に入ってから、1日・3日・5日と3回続けて東京の南端の大田区の坂を歩きめぐりました。「落穂拾い」の感があるので、三日間で歩いたのは10…

星 亮一著『斗南藩』(となみはん) ー「朝敵」会津藩士たちの苦難と再起ー を読む。〜もう一つの明治維新史〜

今放映中の大河ドラマは観たことがない。関心がないからではない。ブログのプロフィールにあるように、私(Atelier秀樹)は「東北出身」です。誰よりも戊辰戦争には強い関心を持ち、自分なりの確固とした考えを懐いているつもりです。何はともあれ、お読みく…

『東京「スリバチ」地形散歩』(皆川典久著)を読む。〜素晴らしい本に出会いました。分かりやすくて、しかも専門的。見やすい写真・地図もたっぷりです!

著者:皆川典久(東京スリバチ学会会長) 書名:凹凸を楽しむ 東京「スリバチ」地形散歩 洋泉社 2012年2月15日初版、2017年6月2日第7刷発行 一風変わった面白い書名だが、私には身近に感じられる本です。「なるほど、その通り」と共感共鳴できることが多い…

子母澤寛『父子鷹』を読む ~ 勝海舟(麟太郎)の父:勝小吉を中心とした小説

三週間ばかり前に「歴史動かした超弩級時代劇『2018年6月12日』」のタイトルで、トラさんとキンさんの歴史的会談を取り上げました。キンさん(坂田金時=金太郎)とトラさん(虎ことふうてんの寅)。私のいつもの手法で、本名は伏せ、両人を“父子鷹”に仕立…

帚木蓬生『安楽病棟』を読み、終末期医療、安楽死問題を考える。

ブログ『秀樹杉松』前号で、劇団青年座の公演「安楽病棟」観劇記を書きました。会場の本多劇場に行く前に図書館に立ち寄って、芝居の原作本『安楽病院』(帚木蓬生著)を借り出しました。本は観劇を終えて帰宅後に読みました。つまり、青年座の芝居を観た後に…

劇団青年座の232回公演「安楽病棟」を観て感動しました。 〜 原作:帚木蓬生、脚本:シライケイタ、演出:磯村純

週2回ばかり早朝パート(シルバー人材センター就業)をしています。やっている仕事は別ですが、そこで元気良く働いている人がおられます。その方から教わり、昨日の午後下北沢の本多劇場へ行き、劇団青年座の第232回公演「安楽病棟」を観劇してきました。 / …

『水滸伝』と「梁山泊」 ~ 津本陽氏のご逝去を悼み、『新釈 水滸伝』を読む

直木賞・吉川英治文学賞・菊池寛賞などを受賞した、時代小説作家の津本陽さん(1929~2018)が先月末に亡くなられたのを、新聞の報道で知った。哀悼の気持ちを胸に近くの図書館へ行った。所定の書架に作品が見当たらないので館員に訊いたら、津本陽コーナー…

門井慶喜『銀河鉄道の父』を読む ~ 宮沢賢治、銀河鉄道の夜、雨ニモマケズ、風の又三郎、春と修羅、永訣の朝、注文の多い料理店、イーハトヴ(イーハトブ)、よだかの星、どんぐりと山猫、セロ弾きのゴーシュ、花巻農学校、本郷区菊坂町……

門井慶喜『銀河鉄道の父』 (講談社 2017年刊。第158回直木賞受賞作) 石川啄木と宮沢賢治は、私の高校(当時は中学校)の偉大なる大先輩です。郷土の天才ですから、経歴・生涯・作品は一応は知ってるつもりでした。だが、先日書店で購入した『銀河鉄道の父』(…

内田康夫さんの訃報に接し、驚きと悲しみでいっぱいです。『孤道』続編 刊行を見られずに、無念だったでしょう。心から哀悼の誠を捧げます。

今朝の朝刊の1面に、内閣支持率の急落が報道されている。やっと国民も「殿の乱心」に気がついてきたんだな、と感じつつ社会面を開いたら、次のような記事が出ているのに驚いた。 内田康夫さん死去 83歳 作家、浅見光彦シリーズ 記事によると、13日、敗血症…

葉室麟『大獄 西郷青嵐賦』を読む。維新前夜の西郷吉之助(隆盛)、いま必読の歴史小説。

葉室 麟『大獄 西郷青嵐賦』(文藝春秋 2017) 名作を次々に発表した葉室麟(1951-2017)は、昨年暮れの2017年12月23日に逝去されました。訃報に接した私は、直後から今日まで図書館から貸し出して既に35冊以上を読み、幾つかについてはこの『秀樹杉松』で取…

葉室 麟『この君なくば』を読む。ーこの君なくば一日もあらじ。懸命に生きる男女の清冽な想い。勤皇佐幕で揺れ動く幕末が舞台。

葉室 麟『この君なくば』(朝日新聞出版、2012) 私は特定の作家の作品を集中的に読むことが多い。その際はできるだけ、発行年順に読むようにしている。最初から全冊読むつもりなら機械的になるが、面白そうなものを選ぶとなれば、やはり書名が気になる。『…

葉室 麟『あおなり道場始末』を読む。仲良し3きょうだいが主人公。運命のいたずら、思いがけない展開と興奮、壮烈な派閥争い。息つまる波乱万丈の、推理時代小説!

葉室 麟『あおなり道場始末』(双葉社、2016) 葉室小説の出だし(序章)がいつも絶妙である。特に主人公などの登場人物の描写が優れており、わかりやすい。最後まで読み切ってから念のため冒頭に戻ってみると、なるほど全てはここから出発している、と思い…

葉室 麟『草雲雀』を読む。~ブログ『秀樹杉松』投稿200号記念に、名作をお届けします。

葉室 麟『草雲雀』(実業之日本社、2015) 「草雲雀(くさひばり)」という美しい書名にひかれて読もうとした。やっと「利用中」が解けて、図書館から借りだして読むことができた。 主人公は幼馴染の清吾と伊八郎。そして、伊八郎の父・清吾の妻。藩首脳の派閥…

葉室 麟『はだれ雪』を読む。「忠臣蔵を独自の視点で切り取った勇気と希望の物語」(www.bookbang.jp)。いつものセリフで恐縮ですが「感動しました」。

葉室麟『はだれ雪』(角川書店、2015) 葉室麟作品を30冊も読んだ私ですが、書名だけでは主題や内容はわかりません。この際だから正直白状しますが、魅力的な書名の『花や散るらん』を読もうかと思ってネットで調べたら、赤穂浪士事件がテーマだとわかり、…

葉室 麟『潮騒はるか』を読む。亡くなる年の作品。シーボルトの娘「いね」も登場。

葉室麟『潮騒はるか』(幻冬舎、2017) 前号の葉室麟『星火瞬く』に続いて、『潮騒はるか』を取り上げます。前回の主人公アレクサンダー・シーボルトは、シーボルト事件で日本を追われたシーボルトの息子でしたが、今回登場の「いね」はその姉(腹違い)です…

葉室麟『星火瞬く』を読む。幕末を舞台とした「革命家」たちの登場。シーボルト父子、バクーニン、清河八郎、小栗忠順、勝麟太郎、高杉晋作。~葉室麟、異色の歴史小説。

葉室麟『星火瞬く』(講談社、2011) これまで読んできた葉室麟の「時代小説」の感動とはやや異なるが、幕末の日本を舞台とした国際色豊かな「歴史小説」として、面白く為になった。小説の「わたくし」役はシーボルトの息子で、語り手でもある。その意味では…

感動と衝撃の名作・若竹千佐子『おらおらでひとりいぐも』(芥川賞受賞)を読む。おばあさんの「哲学」、老いと死を真正面から取り上げた、人生哲学小説!

第158回芥川賞受賞作(河出書房新社) 若竹千佐子『おらおらでひとりいぐも』 158回芥川賞受賞の若竹千佐子『おらおらでひとりいぐも』(河出書房新社2017刊)を読みました。葉室麟の小説に感動を覚えている私ですが、この若竹さんの作品には感動を超えた衝撃…

葉室麟『霖雨』を読む。広瀬淡窓と私塾「咸宜園」。漢詩「休道他郷多苦辛…」

私の注目点の一つは、葉室麟の小説の書名。「風」と「花」のワードが多い。 → 風渡る、風の王国、風花帖、風かおる、風の軍師黒田官兵衛、 花や散るらん、柚子の花咲く、橘花抄、無双の花、辛夷の花 今回読んだ『霖雨』(りんう)の書名も珍しい。霖雨は長く降…

<桃栗三年、柿八年。柚子は九年で花が咲く> ~葉室麟『柚子の花咲く』を読む〜「われらは先生が丹精こめて育ててくださった柚子の花でございます」

葉室麟『柚子の花咲く』(ゆずのはなさく。朝日文庫版,2013)を読みました。柚子は九年で花が咲く。葉室麟の小説には珍しく、殺人事件の発生から始まる推理小説でもある。巻末の江上剛氏の「解説」を引用します。「主人公の筒井恭平のまっすぐな生き方が魅力で…

『山月庵茶会記』(葉室麟著)を読みました。~牀前月光を看る(李白) / 少年老い易く学成り難し(池塘春草の夢) / 色よりも香こそあはれ(古今集) / 百花春至為誰開(碧眼録) / 空蝉の世にも似たるか花桜(古今集) / 巨勢山のつらつら椿(万葉集) / 照りもせず曇りもはてぬ春の世の朧月夜(源氏物語)、、、

葉室麟の小説の書名は、私には抽象的・簡潔・華麗に思われますが、今回の書名『山月庵茶会記』(講談社,2015)は、具体的で字数も6字。葉室作品のもう一つの特徴は、小説の中に和歌や漢詩などの挿入が多いことでしょう。小説のストーリーの面白さだけでなく、…

葉室麟『峠しぐれ』 『春雷』『秋霜』を読む。「革命」をもって「王道」をまもる ~『孟子』の<湯武放伐>。経世済民、惻隠の情、忍びざるの心……。

葉室麟の『峠しぐれ』『春雷』『秋霜』 の3冊を読みました。これで計14冊を読んだことになります。今回の3冊も名作で、感動しました。『蜩之記』『潮鳴り』『春雷』『秋霜』の4冊は、豊後・羽根藩を舞台とする「羽根藩シリーズ」と呼ぶそうです。小説の内…

続・安岡章太郎『流離譚』。「安岡覚之助正義」(章太郎の曽祖父) の人物像と功績。

冠雪の庭木 (今日東京に雪が降りました。東北生まれの私(Atelier秀樹)は、「♪ 犬は喜び庭駆け回る...」心持ちです。急遽、写真を載せました。) 前号で、作家安岡章太郎の曽祖父「安岡覚之助正義」を取り上げ、戊辰戦争時に棚倉で一人で泣いていた少女を…

安岡章太郎『流離譚』を読む。主人公の一人で、戊辰戦争で板垣退助総督率いる「東山道先鋒迅衝隊」の軍監を務めた「安岡覚之助正義」(安岡章太郎の曽祖父)に注目。現地で少女を助けた人物は誰か?

<安岡章太郎> 安岡章太郎は有名な小説家なので知っているが、その作品はあまり読んだことはなかった。今回ちょっと調べたいことがあり、『流離譚』(上下二冊、講談社文芸文庫)を読んだ。 安岡章太郎(1920~2013)は、吉行淳之介、遠藤周作らと「第三の新…

葉室麟『蛍草』を読む。 月草の仮なる命にある人をいかに知りてか後も逢はむと言ふ(万葉集)

葉室麟『蛍草』(2012双葉社)を読みました。その美しい書名:蛍草(ほたるぐさ)に惹かれて。魅力的なのはきれいな書名だけではない、小説の内容も素晴らしい。風早家の女中「奈々」が主人公で、奥方「佐知」、嫡男「正助」、娘「とよ」、当主の「風早市之進」…

葉室麟『おもかげ橋』を読む。高田村、姿見橋=俤の橋=面影橋、於戸姫、南蔵院、氷川神社、太田道灌、山吹の里、高田馬場、堀部安兵衛の仇討ち、赤穂義士、穴八幡宮、流鏑馬

葉室麟『おもかげ橋』を読んだ。葉室氏の作品の特徴の一つが「美しい書名」にあることは以前にも書いた。『蜩ノ記』『さわらびの譜』『辛夷の花』『風のかたみ』『柚子の花咲く」『蛍草』『峠しぐれ』『橘花抄』『恋しぐれ』『風渡る』『陽炎の門』『霖雨』…